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卵子凍結保存で後悔しない!現役胚培養士が解説する20代・30代・40代年齢別選択ガイド

  • 公開日:2025.12.24
  • 更新日:2025.12.25
卵子凍結保存で後悔しない!現役胚培養士が解説する20代・30代・40代年齢別選択ガイド|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院

「仕事は楽しいし充実している!でもいつかは子どもも欲しい!」「最良のパートナーになかなか巡り合えないけど、いつかは母親になりたい!」そんな思いを抱えながらも、ただただ時間が経過していくことに焦りを感じていませんか?

私は長年、胚培養士として臨床に携わって来た中で、多くの女性たちの「いつか妊娠したい」という願いに寄り添ってきました。近年、メディアなどでも取り上げられる機会が増えてきた『卵子凍結』は、そんなあなたの「いつか」を叶える可能性を秘めた選択肢になるのかもしれません。

今回のコラムでは、生殖医療に携わる専門家という視点から、卵子凍結について知っておいていただきたいことをできるだけわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

卵子凍結とは?胚培養士が解説する基礎知識 

卵子凍結の考え方

卵子凍結とは、採卵という手術によって女性の卵巣から採取した卵子を、マイナス196度の液体窒素中で凍結保存する技術です。

女性の卵子は、母親から生まれた段階で、すでにその一生に使うことができる数が決まっており、言うなれば「限られた資源」でもあります。卵子は新しく作られることが無い細胞のため、年齢とともに卵巣に残っている数も、そして細胞としての“質”も一方的にどんどん低下していきます。おおよそ35歳頃になると、この変化は加速度的に進行し、以降は妊娠の可能性が低くなっていきます。卵子凍結は、この自然な老化に伴う妊娠率の減少を一時的に止める技術であるといえます。

卵子凍結の目的

卵子凍結の目的には大きく2つあります。1つは[医学的卵子凍結]で、がん治療などで卵巣機能が低下する可能性がある方が、妊孕性を温存するために治療の前に行うもの。もう1つは[社会的卵子凍結]と呼ばれ、健康な女性が将来の妊娠に備えて行うものです。

最近では、キャリアを重視しながらも将来の選択肢を残したいという女性が増え、社会的卵子凍結を選択される方が増加してきています。

受精卵凍結との違い

よく混同されてしまうのですが、卵子凍結と受精卵凍結はまったく別の手法になります。卵子凍結は、未媒精の卵子をそのまま凍結するのに対して、受精卵凍結は精子を媒精させた後の受精卵を凍結します。技術的な視点からいうと、受精卵の方が圧倒的に凍結・融解に強く、妊娠率も顕著に高いという特徴があります。

卵子は、単体の細胞で水分含有量も多く凍結時のダメージを受けやすいです。その一方で、受精卵の場合は細胞分裂が進んだ数十~数百の細胞の重合体であるため、凍結時のダメージを受けにくく、たとえ数個の細胞がダメージを受けても他の多くの細胞が生きていれば問題無く赤ちゃんになります。

ただし、受精卵の凍結にはパートナーの存在が必須であるため、独身の方やまだパートナーと子どもを持つ決断ができていない方にとっては、卵子凍結は自分一人の意思で将来に備えられる選択肢でもあります。

対象となる方と推奨年齢

卵子凍結を検討される方は様々で、キャリアを優先したい方、まだ理想のパートナーに出会えていない方、重い病気を抱えており治療に専念したい方、などそれぞれの事情があります。

推奨年齢については、日本生殖医学会ならびに日本産科婦人科学会のガイドラインでは、採卵時の年齢は原則として40歳未満とされています。ただし、これはあくまでガイドラインであり、40歳を超えて希望される方が一定数いらっしゃるのも事実です。

私自身の経験から言えば、35~39歳で検討される方が多くいらっしゃる一方で、34歳以下で実施された方のほうが、やはり良い結果が得られやすい傾向にあります。

また重要となるのは年齢の面だけではなく、卵巣予備能(AMH値;卵巣内に残っている卵子の数を知るための指標となる検査)も含めて総合的に判断することです。20代後半でもAMH値が低い方もいれば、30代後半で高い方もいらっしゃいます。まずは初歩的な検査を受けて、ご自身のお身体の状態や卵巣機能を知ることから始めることが大事です。

【年齢別】卵子凍結を考えるべきタイミング

AMH検査でわかる卵巣予備能

卵子凍結を検討する上で、年齢とともに非常に重要となるのが個々の卵巣予備能です。先述した通り、卵子は一方的に減っていく細胞であるため、いまの時点で卵巣にどのくらいの卵子が残っているのかを知っておくことは、卵子凍結を進める上では必須の項目です。卵巣予備能を知る検査として行われるのが「AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査」で、この検査では卵巣に残っている卵子の数の“推定値”を調べることができます。

AMH値が高い方は、一度の採卵で多くの卵子の獲得が期待でき、目標とする卵子の凍結個数までに必要となる採卵回数も少なくて済む可能性があります。反対に、AMH値が低い方は、早めの決断と計画的な治療が必要になります。

AMH値は、当然ながら年齢とともに現状していきますが、年齢が若くても40代の平均値を示すという方も数多くいらっしゃいます。ただし、AMH値は卵子の「残りの数」を示すものであり、卵子の「質」を表すものではありません。AMH値が低くても、年齢が若ければ質の良い卵子が得られる可能性は十分にあります。逆に、AMH値が高くても、年齢を重ねるほど卵子の質は著しく低下していきます。

年齢別の卵子凍結の考え方

20代の女性

20代での卵子凍結は、卵巣予備能が高いこと、卵子の細胞の質が高いこと、が期待できるため将来の妊娠に備えるという卵子凍結の本質から言えば、最も理想的な時期であると言えます。

メリットとしては、少ない採卵回数で目標とする凍結卵子個数まで辿り着ける可能性も高いため、お身体の負担や費用面が最小限に抑えられる可能性が高くなるという点です。しかしながら、年齢は20代であってもAMHの値が40代の平均値を示す方(早発閉経の可能性がある)も想像以上に多くいらっしゃいます。

また、実際のところ20代での卵子凍結は「今の年齢ではまだ早いかも‥‥」「将来どうなるかわからないし‥‥」と考える女性が多く、コストの面で余裕が無い女性も少なくないため、必要性やメリットを理解していても卵子凍結に踏み切れない方が大半を占めるというのが現状です。

30代の女性

臨床データでも、私自身の経験においても、卵子凍結を検討あるいは実行する女性が最も多いのがこの年齢です。日本産科婦人科学会のデータによると、女性の妊娠率は34歳頃まではおおよそ横ばいなのですが、35歳から低下し始め、40歳を超えると急激に低下することが知られているため、『早めに行動を起こすことができるか?』が将来の妊娠の可能性を決定づけると言っても過言ではありません。

この年齢に限ったことではありませんが、卵子凍結は、妊娠・出産にいたらないリスクを十分に理解した上で実施を検討する必要があります。卵子1個あたりの妊娠率はかなり低いため、最低でも採卵時の年齢に相当する数以上の卵子を凍結保存することが一つの目標になります。

例えば、採卵時に35歳であれば、35個の卵子を凍結保存しておくというのが指標です。高齢になるほど、目標の数に届くまでに採卵の回数が増える傾向にあり、過去に私自身が受け持った患者様では10回以上採卵を繰り返された方もいます。

40代の女性

40代での卵子凍結は、かなり難易度の高いチャレンジングなものとなります。そもそも、卵子凍結が妊娠を目指すための有効な方法になるとは言い難く、加えて、仮に妊娠をしても高齢出産となるため胎児にも母体にも極めてリスクの高い妊娠となります。

WHO(世界保健機関)のデータでは、42歳以上では30歳未満の妊娠と比較して妊産婦死亡率が4.7倍も上昇することが報告されており、卵子凍結をする上では、卵子の“質”や妊娠を目指すことも考慮することはもちろんですが、実際に妊娠した後に控えている周産期管理や出産までをも必ず考慮しなければなりません。

また、40代での卵子凍結は心理的なサポートも特に重要になります。「もっと早く始めていれば」という後悔の念を抱く方も少なくありませんが、いま行動を起こすということ、そして、その目標に伴走してくれる周囲のサポートが非常に大事です。

胚培養士が教える最新の凍結技術

急速ガラス化法(Vitrification)の仕組み

急速ガラス化法とは、卵子を瞬間的に凍結することで細胞内に氷の結晶ができるのを防ぎ、ガラスのような状態で保存する方法です。高濃度の凍結保護剤を使用し、液体窒素に直接浸漬することで、1分間にマイナス20,000℃という超高速で冷却します。この速さが、卵子の生存率を飛躍的に向上させる鍵となっています。

凍結保護剤の役割

凍結保護剤は、いわば卵子を守る「防護服」のような役割を果たします。エチレングリコールやDMSOなどの浸透性凍結保護剤は細胞内に入り込み、スクロースなどの非浸透性凍結保護剤は細胞外で水分を調整します。

培養室では、様々な工夫を凝らして凍結・融解の生存率の向上に努めています。例えば、採卵から凍結までを最適なタイミングで行うことはもちろん、凍結時・融解時の温度管理も極めて重要です。最新の研究では、凍結前の卵子の前処理方法にも注目が集まっています。特定の培養液で短時間処理することで、細胞膜の強度が増し、凍結耐性が向上することがわかってきました。

保管管理システムの重要性

凍結した卵子は、液体窒素タンクの中で大切に保管されます。マイナス196度という極低温では、生物学的な変化はほぼ停止し、理論上は半永久的に保存が可能です。しかし、実際の管理には細心の注意が必要で、液体窒素の定期的な補充、停電時のバックアップシステム、厳重なセキュリティ管理など、24時間365日の監視体制が欠かせません。また、個々の検体の取り違えを防ぐため、バーコード管理システムやダブルチェック体制も導入されています。

採卵から凍結保存までの流れ 

子宮検査

初診から採卵まで

初診では、まず詳しい問診と超音波検査、血液検査を行います。月経周期のどの時期に受診されても構いませんが、実際にスタートするのは月経3日目前後であるため、この時期にご来院いただければすぐに卵子凍結を始められる可能性があります。

ホルモン検査の結果とAMH値、年齢などを総合的に判断して、最適な卵巣刺激法を選択します。刺激開始後は、3~4日ごとに超音波検査とホルモン検査を行い、卵胞の成長を確認します。通常、月経開始から10~14日程度で採卵可能な状態になります。

採卵日の決定

主席卵胞が18~20mmに成長したら採卵日を決定します。採卵の約36時間前に、卵子の最終成熟を促すhCG注射またはGnRHアゴニスト点鼻薬を使用します。このタイミングは非常に重要で、早すぎても遅すぎても良い卵子が得られません。

採卵当日の流れ

採卵は午前中の早い時間帯に行われます。発育卵胞が多い場合は静脈麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。超音波ガイド下で膣から細い針を卵巣に刺し、卵胞液とともに卵子を吸引します。私たち胚培養士が、採取された卵胞液から顕微鏡下で卵子を探し出します。成熟した卵子のみが凍結保存の対象となります。

所要時間は10~30分程度です。採卵後は2~3時間程度安静にしていただき、麻酔が完全に覚めたことを確認したらご帰宅いただけます。朝早い時間に採卵し、安静後、お昼前に出勤されるという方もいらっしゃいます。当日は激しい運動は避け、ゆっくりとお過ごしください。

凍結保管

採卵から2~3時間経過後、成熟が確認された卵子の凍結処理を開始します。前述のガラス化法により、1個ずつ丁寧に凍結していきます。凍結が完了した卵子は、専用の保管容器(クライオトップ)に個人情報を記載したラベルを付け、液体窒素タンクで保管します。

費用と助成金制度【2025年最新版】

卵子凍結にかかる費用の内訳

卵子凍結の費用は、クリニックによって異なりますが一般的な内訳は以下の通りです。

  • 初診料・検査費用:3~5万円(超音波検査、血液検査、AMH検査など)
  • 卵巣刺激の薬剤費:5~15万円(使用する薬剤の種類と量による)
  • 採卵手術費用:15~25万円
  • 卵子凍結費用:5~10万円(凍結する卵子数による)
  • 年間保管料:3~5万円

トータル1回の採卵・凍結に30~50万円程度かかることが多いです。複数回の採卵が必要な場合は、その分費用も増加します。

東京都の助成金制度について

2023年から東京都では卵子凍結にかかる助成制度がはじまりました。対象は都内在住の18~39歳の女性で、以下の助成が受けられます。

  • 卵子凍結時:最大20万円
  • 保管更新時:年2万円×最大5年間(計10万円)

合計で最大30万円の助成となり、経済的負担が大幅に軽減されます。ただし、事前に都が主催する説明会への参加が必須となっているため、計画的な準備が必要です。

その他の自治体の支援制度

東京都以外でも、独自の助成制度を設けている自治体が増えています。

  • 千葉県浦安市:最大10万円の助成
  • 三重県:最大10万円の助成
  • 福岡県:検査費用の一部助成

お住まいの自治体のホームページで、最新の情報を確認することをおすすめします。

民間保険の活用方法

一部の民間医療保険では、採卵手術が給付対象となる場合があります。「手術給付金」の対象として、1回あたり5~10万円程度が支給されることがあります。

加入している保険会社に、「採卵手術(K890-4)」が給付対象かどうか確認してみてください。自由診療でも給付される保険が増えており、経済的負担の軽減につながります。

卵子凍結のメリットとリスク 

卵子凍結のメリット

卵子凍結の最大のメリットは、やはり「時間的な余裕を得られる」ことが挙げられます。キャリア形成、パートナー探し、経済的準備など、人生の大切な局面でも焦ることなく、じっくりと向き合えるようになるでしょう。

実際に、過去に私が受け持った患者様で卵子凍結された方からは、

  • 「心の余裕ができた」
  • 「自分のやりたい仕事に集中できるようになった」
  • 「結婚に焦りを感じなくなった」

といった声を多く聞きました。

また医学的なメリットとしては、実年齢よりも若い時期の卵子を使用できるため、高齢になってから不妊治療を始めても、実際の年齢の妊娠率よりも高い妊娠率を期待できる可能性があります。ただし、これはあくまでも卵子の要因に限った話であり、高齢出産に伴う妊娠・出産のリスクは別途考慮が必要です。

知っておくべきリスクと対策

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

OHSSは、卵巣刺激によって卵巣が腫れ、腹水が溜まる症状です。軽度なものを含めると、3~5%の方に見られます。症状としては、お腹の張り、吐き気、体重増加などがあります。

予防策としては、OHSSのリスクが高い方には、マイルドな卵巣刺激法を選択します。また、採卵後は十分な水分摂取の指導を行うことが一般的です。重症化することはまれですが、症状を感じたらすぐに医療機関に連絡することが大切です。

凍結による卵子への負荷

急速ガラス化法の導入により、凍結による卵子へのダメージは大幅に減少しましたが、しかしながら100%安全ではないことも事実です。融解後に細胞が変性してしまう卵子も5~20%程度存在し、そのリスクは年齢によって増加します。このリスクをあらかじめ考慮し、必要と思われる数より少し多めに凍結しておくことをおすすめしています。

精神的な準備とサポート

卵子凍結は、技術的な側面だけでなく、精神的な準備も重要です。「本当に必要か?」「タイミングは適切か?」「経済的に無理がないか?」など、事前に十分なカウンセリングを受けることで、納得のいく決断をされることが望ましいです。また、同じ経験をした方々との交流も、大きな支えになります。最近では、オンラインコミュニティも充実しており、情報交換や励まし合いの場として活用されています。

凍結卵子を使った高度生殖医療と妊娠までの道のり

素敵なパートナーと出会い、子どもを持つ決断をされたら、いよいよ凍結卵子の出番です!

‥‥といっても、実際には凍結卵子を使わずに自然妊娠にいたる方もかなり多くいらっしゃいますが、ここでは凍結卵子を使った妊娠までの道のりを解説していきます。

治療計画の作成と初歩的な検査

まず、パートナーの精液検査を含む基本的な検査を行います。乏精子症や精子無力症など、男性側に不妊となる原因が見つかることもあるため、場合によってはより詳しい検査や治療を行うこともあります。

卵子の融解

精子の状態が問題無ければ、卵子を融解するスケジュールを決めていきます。融解した周期にそのまま胚移植を行う場合には、女性の月経周期に合わせて計画します。自然周期で行う場合もあれば、ホルモン補充周期で子宮内膜を整える場合もあります。どちらの方法も、妊娠率に大きな差はありません。

媒精

凍結卵子を融解したら、精子と受精をさせていきます。これを媒精と呼びます。

媒精の方法には大きく体外受精(conventional IVF)と顕微授精(ICSI)という2つの方法がありますが、融解卵子を使用する場合には選択肢は顕微授精のみとなります。

顕微授精は、細いガラス針を使って1個の精子を卵子の細胞内に穿刺し、直接注入する方法です。受精率は、若い時期に凍結した卵子であれば70~80%が期待できます。

受精卵の培養

融解卵子と精子が受精したら、受精卵を培養して育てていきます。一般的には、胚盤胞と呼ばれる着床・妊娠をする直前のステージまで培養していきます。このステージまで育ってきたら子宮内に戻していく胚移植、あるいは一度凍結保存をする胚凍結が行われます。

胚移植

受精卵が育ってきたら子宮内に戻していきます。無事に子宮内膜に着床・妊娠したら成功です。胚移植一回当たりの妊娠率はおおよそ30%程度とされていますが、実年齢よりも若い時の卵子を使用している場合には、ある程度高い妊娠率が期待できます。

よくある質問~胚培養士がお答えします~

質問と回答

Q1. 卵子凍結を検討しているのですが、何個くらい凍結すればいいのでしょうか?

A1. これはよく聞かれる質問なのですが。一つの目安として、「採卵時の年齢の個数分は確保するべきだ」と案内する先生が多いです。30歳であれば30個、40歳であれば40個です。

ただし、40個あれば安心か?というとそうではなく、当然ながらこれだけの凍結卵子を持っていても、妊娠に至らない方も一定数いらっしゃいます。重要なのは、画一的な数字にとらわれず、個々の状況(年齢、AMH値、パートナーの有無など)を総合的に考慮することです。

Q2. 卵子凍結の凍結保管期間に制限や期限はありますか?

A2. 技術的には半永久的な保管が可能ですが、倫理的・社会的な観点から、一定の制限が設けられているのが現状です。法律的な制限はありませんが、多くの医療機関では、生殖可能年齢(おおよそ45~50歳まで)という基準を設けています。これは、卵子の質がどんなに若くても、妊娠時に生殖可能年齢を超えている場合では妊娠時のリスクが顕著に増加するためです。卵子凍結を行う際には、妊娠した時の年齢も考慮してプランニングを行う必要があります。

Q3. 転院や引っ越しの際は、保管してある卵子はどうなるのでしょうか?

A3. 都道府県、自治体などの助成金や支援制度を利用された場合、圏外への持ち出しは不可なことが多いです。完全に自費で行っている場合には、専門業者による輸送が可能です。輸送費用は自己負担で5~10万円程度です。液体窒素を充填した特殊な輸送容器を使用し、温度を保ったまま移送します。国内であれば、ほとんどの地域への輸送が可能ですが、受け入れ先をご自身で探す必要があります。施設によっては、他の施設からの移送を断っているクリニックもあります。

Q4. 凍結卵子を使わずに自然妊娠した場合には、卵子を廃棄することはできますか?

A4. 一年に一回、凍結保管の更新があります。この時に凍結保管期限の更新をしない旨をお伝えいただければ、保管期限が切れた時点で廃棄となります。施設によっては、特殊な症例について廃棄にかかる手数料を徴収しているクリニックもあるようですが、基本的には廃棄に際して別途費用がかかることがありません。

まとめ~あなたらしい選択のために~ 

卵子凍結は、100%の妊娠を確約するものでは決して無く、「完璧な解決策」とはならないのかもしれません。ですが、ここ数年で、多くの女性にとって人生の視野を広げる選択肢の一つになってきていることは間違いありません。

大切なのは、十分な情報を得た上で、ご自身の価値観に基づいて決断することです。周りの意見に流されず、最善の選択を見つけていただければと思います。

私たち胚培養士は、あなたの大切な卵子をお預かりし「いつか」を迎えた時に、最高の状態でお返しできるよう日々努力を続けています。

卵子凍結を選ぶにせよ、選ばないにせよ、まずは相談だけでも構いません。信頼できる医療チームと一緒に、あなたにとっての最善の道を探していきましょう。

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