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卵巣年齢がわかる?AMH検査のリアルな費用と、結果を無駄にしないための年齢別ステップアップ術【専門医が解説】

  • 公開日:2026.02.27
  • 更新日:2026.02.27
卵巣年齢がわかる?AMH検査のリアルな費用と、結果を無駄にしないための年齢別ステップアップ術【専門医が解説】|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院

「いつかは子どもが欲しいけれど、今の自分の年齢で自然に妊娠できるのだろうか…」 「仕事も充実しているけれど、年齢を考えるとタイムリミットが迫っている気がして焦ってしまう…」

診察室のドアを開け、私の前に座る30代、40代の女性の多くが、このような切実な不安を抱えていらっしゃいます。周りの友人の妊娠報告を心から喜べない自分に罪悪感を抱いたり、インターネット上の情報に一喜一憂して疲れてしまったり。そんな風に、見えない「時間」というプレッシャーと一人で戦っているのではないでしょうか。

「不妊治療はハードルが高いけど、まずは自分が妊娠できる状態なのか、検査だけ受けてみたい」と考える方は決して少なくありません。生殖医療専門医として、私はその「まずは知ろうとする一歩」を心から歓迎します。ご自身の体の現在地を知ることは、決して怖いことではありません。

その第一歩として非常に注目されているのが「AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査」です。「卵巣年齢がわかる」と話題のこの検査ですが、「費用はどれくらいかかるの?」「保険は効くの?」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。

この記事では、AMH検査の費用のリアルな相場から、その数値が意味する真実、そして検査結果をあなたの人生にどう活かしていくべきかまで、生殖医療専門医の視点で徹底的に、そして温かく解説していきます。あなたが少しでも心穏やかに、そして前向きに未来を描けるよう、全力でサポートさせていただきます。

AMH検査とは?30代・40代女性が今すぐ知っておきたい基本知識

卵子の「在庫」がわかる?AMH(抗ミュラー管ホルモン)の役割

AMH検査とは、卵巣内に残されている卵子の「在庫数」を推定するための血液検査です。正式名称を「抗ミュラー管ホルモン(Anti-Mullerian Hormone)」といい、卵巣の中でこれから育とうとしている発育途中の小さな卵胞から分泌されるホルモンです。

女性は、お母さんの胎内にいる胎児の時期に一生分の卵子(原始卵胞)を作り、産まれた後は新しく卵子が作られることはありません。つまり、卵子は年齢とともに一方的に減っていく「限られた資源」なのです。AMH検査は、今のあなたの卵巣に「あとどれくらいの卵子が待機しているか」という卵巣の予備能(卵巣の中に残っている卵子の目安)を数値化して教えてくれる、非常に画期的な検査です。日本生殖医学会(Q21)でも、現在の生殖医療においてAMHは卵巣予備能の評価として一般的に測定されていると解説されています【※1】。

この数値を知ることで、「私はあとどれくらい妊娠のチャンスがあるのか」「急いで治療を始めるべきか、もう少し自然に任せても良いのか」といった、時間軸を持ったライフプランを立てることが可能になります。

「卵子の数」であって「卵子の質」ではないという真実

AMH検査の結果をお渡しすると、数値が実年齢の平均より低かった場合に「私はもう妊娠できないのでしょうか…」と泣き崩れてしまう患者様がいらっしゃいます。ここで私が最も強く、そして何度でもお伝えしたい非常に重要なこと。

それは、「AMHは卵子の『量(残りの数)』を示す指標であって、卵子の『質』を反映するものではない」ということです。日本産科婦人科学会の生殖・内分泌委員会もAMH測定の留意事項として「AMHは卵子の質とは関連しない」「測定値から妊娠できる可能性を判定するのは不適切」と明記しています【※2】。

妊娠できるかどうか、そして無事に元気な赤ちゃんを出産できるかどうかを決定づける最大の要因は、卵子の「数」ではなく「質」です。そして、卵子の質はAMH値ではなく「女性の実年齢」に最も強く比例します。 例えば、30歳でAMH値が極端に低く卵子の残りが少ないと診断された方でも、採卵できた数少ない卵子は「30歳の若くて染色体異常の少ない質の高い卵子」であるため、十分に妊娠・出産の可能性があります。逆に、40代でAMH値が高く、卵子の数がたくさん残っていても、年齢による卵子の老化(染色体異常の増加など)は避けられないため、妊娠には時間がかかることが多いのです。

なぜ不妊治療やブライダルチェックでAMH検査が重要なのか

近年、不妊治療の相談だけではなく、妊娠に対する漠然とした不安を抱く方が増えており、「まずは検査だけ」と希望されて受診されることが多くなっています。これを「ブライダルチェック」や「プレコンセプションケア(妊娠前検査)」と呼びます。こども家庭庁でも、妊娠前からの健康管理の重要性を「母子保健」施策として推進しています【※8】。

AMH検査がこれほどまでに重要視される理由は、不妊治療における「設計図」を描くための必須アイテムだからです。 もしAMH値が低ければ、のんびりタイミング法を続けている時間はありません。一刻も早く体外受精などの高度生殖医療にステップアップするか、将来のために卵子凍結を急ぐ必要があります。逆にAMH値が十分に高ければ、仕事との両立を考慮しながら、まずは自然妊娠や人工授精といった負担の少ない方法から始めてみるという「心の余裕」を持つことができます。 つまり、AMH検査は、あなたが後悔しない選択をするためのナビゲーターとお考えください。

生理周期は関係ある?検査を受けるベストなタイミング

「AMH検査を受けたいけれど、生理中に行ってもいいの?それとも排卵日付近が良いの?」というご質問をよくいただきます。 結論から言うと、AMH検査は「月経周期(生理周期)のどのタイミングで受けても大丈夫」です。日本産婦人科医会の研修ノートでも、AMHは他の女性ホルモンに比べ変動が少なく月経周期にかかわらず測定してよいとされています【※3】。

FSHやLHといった他の女性ホルモンの検査は、月経開始から3〜5日目という特定の時期に採血しなければ正確な値が出ません。しかし、AMHは発育途中の小さな卵胞から常に一定量分泌され続けているため、生理中であっても、排卵期であっても、いつ測定しても数値はほぼ一定という素晴らしい特徴を持っています。 そのため、お仕事が忙しい30代・40代の女性にとって、自分の都合の良いスケジュールでいつでも検査の予約を入れられるというのは、非常に大きなメリットです。

AMH検査の費用はいくら?保険適用と自費診療の違い

保険適用になるケースと費用の目安(3割負担の場合)

AMH検査を受けようと思った時、皆さんが一番気になるのが「費用」のことだと思います。「不妊治療の検査って、なんだかすごく高そう…」というイメージを持たれている方も多いでしょう。

実は、2022年4月に不妊治療が広く保険適用となったことに伴い(厚生労働省「不妊治療に関する取組」)【※4】、AMH検査も一定の条件を満たせば「健康保険(3割負担)」で受けられるようになりました。 保険適用となる主なケースは、「不妊症の診断や治療方針の決定を目的として、生殖補助医療(体外受精や顕微授精など)の管理下で行われる場合」などです。 この場合、AMH検査単体の費用は、3割負担でおおよそ「2,000円程度」が目安となります。以前は自費で1万円近くかかっていた時代を考えると、経済的なハードルは大きく下がったと言えます。

自費診療(ブライダルチェックや妊活前の検査)になるケースと費用の相場

一方で、すべての人が保険適用でAMH検査を受けられるわけではありません。「まだ結婚していないけれど、将来のために自分の卵巣年齢を知っておきたい」「妊活を始めたばかりで、とりあえず検査だけ受けたい」といった、いわゆるブライダルチェックや予防的な目的での検査は、原則として「自費診療(全額自己負担)」となります。

自費診療の場合、AMH検査の費用はクリニックによって自由に設定できるため幅がありますが、一般的には「1万円円程度」が相場となっています。 「病気の治療ではない」ため全額負担にはなりますが、将来の不妊治療にかかる莫大な時間とお金のリスクを考えれば、1万円の投資でご自身の身体のタイムリミットを知ることができるのは、非常に費用対効果の高い自己投資だと言えるでしょう。

追加でかかる可能性のある初診料や他の不妊検査費用

AMH検査の費用を考える際、注意していただきたいのは「AMH検査単体の料金だけで済むわけではない」ということです。 初めてクリニックを受診する場合、当然ながら「初診料」がかかります。保険適用なら1,000円程度、自費診療だと3,000円程度の費用が追加されます。

さらに、不妊専門クリニックを受診した場合、AMH検査だけでなく、子宮や卵巣の状態を直接確認する「経腟超音波検査(エコー)」や、他の女性ホルモンを調べる基本的な血液検査を同時に行うことがほとんどです。これらをセットで行うことで、初めて正確な診断が可能になるからです。 基本的な不妊検査を一通り行った場合の総額は、夫婦合わせて保険適用(3割負担)で約3〜5万円、全額自費診療の場合は約10〜15万円が目安となります。

当院では東京都の検査助成金で収まるプラン設計をしておりますのでお気軽にご相談ください。

東京都などの自治体による不妊検査の助成金制度を活用しよう

「やっぱり少し高いな…」と思われた方に朗報です。近年、少子化対策の一環として、不妊検査にかかる費用を助成してくれる自治体が急増しています。

例えば東京都では、将来の妊娠に向けたプレコンセプションケアの推進として、ご夫婦(事実婚含む)で不妊検査を受けた場合、検査費用に対して「最大5万円」まで助成する制度を設けています。この助成金を活用すれば、AMH検査を含む初期の不妊スクリーニング検査の自己負担を実質的に大幅に抑えることが可能です。 東京都以外でも、様々な都道府県や市区町村が独自の助成金制度を展開しています。制度の利用には「夫婦そろって受診すること」などの条件がある場合が多いため、受診前にご自身のお住まいの自治体のホームページを必ずチェックし、賢く制度を活用してください。

AMH値の「基準値」と結果の正しい受け止め方

年齢別AMH基準値の目安と、個人差の大きさについて

AMH値には年齢ごとの「平均値(基準値)」が存在しますが、これはあくまで目安であり、個人差が非常に大きいことを強調しておきます。 2025年の最新データ等に基づく一般的な基準値の目安は以下のようになります。

20代後半約4.0〜5.0 ng/ml
30代前半約3.0〜4.0 ng/ml
30代後半約1.5〜3.0 ng/ml
40代前半約0.5〜1.5 ng/ml
40代後半0.5 ng/ml未満

しかし、同じ35歳の方でも、AMH値が6.0ng/mlという20代並みの豊富な数値を示す方もいれば、1.0ng/ml未満と40代相当の数値を示す方もいらっしゃいます。これは遺伝的要因や、過去の卵巣の手術歴、子宮内膜症の有無、さらには喫煙習慣など、様々な要因が複雑に絡み合って生じます。「平均より低いからダメだ」と自分を責める必要は全くありません。

ピル服用中やストレスがAMHの数値に与える影響

よく質問でもいただくのですが、検査を受ける前に知っておくべき重要な注意点として、服用しているお薬や生活習慣の影響があります。 特に、生理痛の緩和や避妊目的で「低用量ピル(経口避妊薬)」を継続的に服用している場合、卵巣の働きがお休み状態になっているため、AMHの値が本来の数値よりも「20〜30%程度低く出てしまう」ことが医学的に知られています。正確な評価を希望する場合は、ピル中止後3ヶ月程度経過してから検査することをお勧めします。

また、極度のストレスや急激な体重減少(過度なダイエット)も、一時的にAMH値を低下させることがあります。心身ともに安定した状態で検査に臨むのがベストです。また、検査キット(測定試薬)によっても数値が20%程度異なる場合があるため、別の病院で再検査して数値が変わっても、必ずしも卵巣機能が急変したわけではありません。

「数値が低い=妊娠できない」ではない!前向きな捉え方

前述でも書きましたが検査の結果、医師から「AMH値が年齢の平均よりかなり低いです」と告げられた時のショックは計り知れないでしょう。しかし、どうか絶望しないでください。

AMH値が極端に低い(例えば0.1ng/ml未満で測定限界に近い)状態であっても、排卵が毎月きちんと起こっており、その排卵された1個の卵子の質が良ければ、自然妊娠は十分に可能です。私自身、AMH値が測定できないレベルだった30代の患者様が、見事に自然妊娠し元気な赤ちゃんを出産された姿を何度も見てきました。 ただし、AMH値が低いということは「残された時間が少ない(閉経が平均より早く訪れる可能性がある)」というサイレンです。ここからは、のんびり様子を見るのではなく、年齢に応じた迅速な戦略が必要になります。

AMH値が「低い」と言われたら?年齢別の妊活・治療戦略

30代前半でAMHが低い場合|早期のステップアップを視野に

30代前半(30歳〜34歳)でAMH値が低い(例えば1.0ng/ml未満)と判明した場合、あなたの最大の武器は「年齢の若さ=卵子の質の高さ」です。

卵子の数は少なくとも、質の良い卵子が残っている確率が非常に高いため、体外受精などの高度な治療に進めば、少ない採卵数であっても高い確率で良好な受精卵(胚盤胞)を獲得でき、妊娠に至るケースが多いのです。 そのため、この年代の方には「タイミング法や人工授精は長引かせず(3回程度に留め)、早めに体外受精へステップアップすること」をおすすめしております。 また、現在パートナーがいない場合は、若くて質の良い卵子を今のうちに確保しておく「社会的卵子凍結」も検討いただいてもいいかもしれません。

35歳~39歳でAMHが低い場合|時間との勝負、体外受精の検討

35歳〜39歳でAMH値が低い場合は、まさに「時間との勝負」になります。この年代は、AMH値の低下(卵子の数の減少)に加えて、年齢による卵子の質の低下(染色体異常の増加)という2つの壁が立ちはだかり始めるからです。

この状況では、のんびりと自然妊娠を待つ余裕はあまりありません。生殖医療専門医としては、タイミング法や人工授精を省略し、最初から「体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)」を推奨することが多くなります。 AMH値が低い場合、強い排卵誘発剤をたくさん使っても一度に多くの卵子を採ることは難しいため、身体に負担の少ない「低刺激法」や「自然周期」を用いて、毎月コツコツと質の良い卵子を1〜2個ずつ採卵し、凍結して貯めていくという地道な戦略をとることが、成功への近道となります。

40代でAMHが低い場合|限られた時間を無駄にしない高度生殖医療の選択

40代でAMH値が低い場合は、生殖医療においても最も難易度が高く、シビアな現実と向き合う必要があります。40歳を超えると、採卵できたとしてもその卵子の約70%以上が染色体異常を持っているというデータがあります。日本生殖医学会(Q24)も、加齢に伴い卵子の染色体分配エラーが起こりやすくなり、これが流産や染色体異常の原因となると解説しています【※7】。

したがって、この年代の方には、迷わずすぐに体外受精や顕微授精といった高度生殖医療を開始することをお勧めします。時間は1ヶ月単位で貴重です。経済的・精神的な負担は大きくなりますが、限られた時間を一切無駄にしないよう、専門医と二人三脚で全力で治療に臨む必要があります。

AMH値が「高い」場合の注意点と多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

高いからといって安心できない?PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の可能性

では、AMH値が平均より高かった場合はどうでしょうか。「卵子がいっぱい残っているから、妊娠しやすいんだ!」「妊活は後回しでも大丈夫」と安心される方がいますが、実はこれも大きな誤解です。

AMH値が異常に高い場合(例えば30代で8.0ng/mlや10.0ng/mlを超えるような場合)、不妊の原因となる「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」という疾患が隠れている可能性を疑います。日本産婦人科医会でも、PCOSではAMHが過剰に分泌され卵胞発育が阻害されることから、AMH高値がPCOSの診断基準に組み込まれたと解説しています【※3】。 PCOSとは、卵巣内に小さな卵胞が数珠つなぎのようにたくさんできているものの、どれも上手く成熟できず、結果として「排卵が起こりにくい(排卵障害)」状態になってしまう病気です。 つまり、卵子の「在庫」はたくさんあっても、肝心の排卵が自力でできないため、結果的に自然妊娠が難しくなっているケースが多いのです。

PCOSの場合の不妊治療方針と排卵誘発剤の活用

PCOSと診断された場合、まずは自力で排卵を起こさせるための治療が必要になります。 治療の第一歩は、生活習慣の改善です。肥満を伴う方は、体重を5〜10%減らすだけで自然に排卵が回復することがあります。

生活習慣の改善でも排卵しない場合は、排卵誘発剤というお薬を使用します。かつてはクロミフェン(クロミッド)が主流でしたが、近年では、より副作用が少なく子宮内膜への影響も少ない「レトロゾール(フェマーラ)」というお薬が第一選択薬として推奨され、約70〜80%の方で排卵が起こるなど非常に高い効果を上げています。PCOSの場合、排卵のタイミングさえ合わせられれば、卵子の数自体は豊富にあるため、比較的早く妊娠に至るケースが多いのも特徴です。

高AMHの方の体外受精におけるOHSS(卵巣過剰刺激症候群)リスクと対策

PCOSや高AMHの方が体外受精に進む場合、専門医が最も警戒するのが「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」という副作用です。日本がん・生殖医療学会でも、AMH高値はOHSSの危険因子の一つであり、予防を考えた治療が不可欠と報告されています【※5】。

体外受精では多くの卵子を育てるために注射薬を使いますが、高AMHの方は卵巣がこの薬に過剰に反応してしまい、卵巣がパンパンに腫れ上がり、お腹や胸に水が溜まる重篤な状態(OHSS)を引き起こすリスクが高いのです。 そのため、私たち専門医は、高AMHの方に対しては「アンタゴニスト法」や「PPOS法」といったOHSSのリスクを劇的に下げる刺激法を選択し、採卵した周期には胚を子宮に戻さず、すべて凍結する「全胚凍結(フリーズオール)」という安全策を徹底します。医療側の高度なリスク管理が不可欠となります。

費用対効果を最大化する!AMH検査結果を将来のライフプランに活かす方法

検査結果から考える選択肢|社会的「卵子凍結」という将来への備え

AMH検査を受けてご自身の現在地を知ったなら、その情報を無駄にせず、具体的な行動に移すことが何よりの費用対効果を生み出します。

現在パートナーがいない、あるいはお仕事を優先したいという30代の女性にとって、最も有効な選択肢となるのが「社会的卵子凍結」です。特にAMH検査の結果、卵巣予備能が実年齢よりも低下していることが分かった場合、何もせずに時間が経つのを待つことは非常に危険です。 卵子凍結は、年齢が若く卵子の質が高い時期の卵子をマイナス196℃で凍結保存しておく技術です。採卵から凍結まで45万〜65万円程度の費用と、毎年の保管料がかかりますが、東京都などでは最大30万円の卵子凍結への助成金制度が始まっており、経済的なハードルは下がりつつあります。未来の自分へ「妊娠の可能性という時間」をプレゼントする意味でも、AMH検査をきっかけに真剣に検討していただきたい選択肢です。

当院では安心して卵子凍結をうけていただけるように明瞭である全て込みの一律料金となっております。また、当院は墨田区で唯一の東京都の卵子凍結の助成金がうけられる認定施設となっております。

卵子の「質」を下げないための生活習慣改善(食事・睡眠・運動)

AMHの数値に関わらず、これから妊娠を望むすべての女性が「今すぐ、無料で」取り組める最高の費用対効果の治療があります。それが「生活習慣の改善」です。 卵子の「数(AMH)」は増やせませんが、卵子の「質」の低下を緩やかにし、妊娠しやすい体を作ることは努力次第で可能です。

  1. 禁煙: 喫煙により卵巣機能が低下し閉経が1~4年早まることが知られています。パートナーの受動喫煙も含め、禁煙は絶対条件です。
  2. 食事: 地中海式食事療法(オリーブオイル、魚、野菜、ナッツ類などを中心とした食事)が、卵子の質を改善し体外受精の成績を向上させることが医学的に報告されています。
  3. 睡眠と運動: 睡眠中に分泌されるメラトニンには抗酸化作用があり、卵子をサビ(老化)から守ります。1日7〜8時間の良質な睡眠を心がけてください。また、1日30分程度のウォーキングなど適度な有酸素運動は、骨盤内の血流を良くし、卵巣にしっかりと栄養と酸素を届けます。

卵子の質をサポートする抗酸化サプリメント(ビタミンD・葉酸など)

忙しい30代・40代の女性にとって、食事だけで完璧な栄養を摂るのは至難の業です。そこで、生殖医療の現場でも推奨されているサプリメントを賢く活用しましょう。

  • ビタミンD: 近年、最も注目されている栄養素です。日本人女性の多くが不足しており、ビタミンD不足がAMH値の低下と関連することが示されています。
  • 葉酸: 妊娠の1ヶ月以上前から1日400μg〜640μgを摂取することで、赤ちゃんの神経管閉鎖障害という先天異常のリスクを大幅に減らすことができます。厚生労働省のe-ヘルスネットでも、妊娠を計画している女性にサプリメントでの葉酸400μg/日の摂取が推奨されています【※6】。妊活の基本中の基本です。
  • 抗酸化サプリメント: コエンザイムQ10などは、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアの働きを助け、卵子の質(老化防止)をサポートする効果が期待されています。特に35歳以上の方にお勧めです。

AMH検査と費用に関するよくある質問(Q&A 5選)

質問と回答

Q1. AMH値は、生活習慣の改善やサプリメントで数値を上げることはできますか?

A1. 残念ながら、一度低下したAMH値を大幅に上昇させる確実な方法は現時点では確立されていません。AMH値は卵子の残り数を示すためです。ただし、ビタミンDの補充によりAMH値が10~20%改善したという研究もあります。最も大切なのは数値を上げる努力より、残された卵子の質を高めることです。

Q2. 不妊治療の保険適用でAMH検査を受けるには、どうすればいいですか?

A2. 法律婚または事実婚のパートナーがいらっしゃることが前提となります。その上で、不妊治療専門クリニックを受診し、「不妊症の診断」や「体外受精などの治療計画を立てるため」に医師が必要と判断した場合に、保険適用(3割負担、約2,000円)で検査を受けることができます。事前にお問い合わせください。

Q3. AMH検査を受けるのに、事前の予約や食事制限などは必要ですか?

A3. 食事制限は一切不要です。血液を少し採取するだけの簡単な検査ですので、空腹で行く必要はありません。生理周期のいつ受けても大丈夫です。クリニックの予約を取って受診してください。

Q4. ブライダルチェックでAMH検査だけを受けることは可能ですか?

A4. はい、可能です。ただし、その場合は自費診療となり、約1万円程度の費用がかかります。また、より正確に卵巣の状態を知るためには、超音波検査なども併せて行うことをお勧めします。

Q5. 費用を抑えるために、自宅でできるAMH検査キットを使っても正確ですか?

A5. 最近は指先から少量の血を採って郵送するキットも販売されています。大まかな傾向を知る手段としては有用ですが、クリニックにてしっかり採血して行う検査に比べると、血液の劣化や量の不足による誤差のリスクがあります。より正確な診断と、その後の具体的な医師のアドバイスを得るためには、クリニックでの受診をお勧めしております。

引用・参考文献

【※1】一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療Q&A:Q21. 女性の妊娠・分娩に最適な年齢」― AMHによる卵巣予備能評価

【※2】公益社団法人 日本産科婦人科学会 生殖・内分泌委員会「AMH測定に際しての留意事項」― AMHは卵子の質とは関連しない

【※3】公益社団法人 日本産婦人科医会「研修ノート:卵巣予備能とは?」― AMHの測定意義、PCOSとAMH高値

【※4】厚生労働省「不妊治療に関する取組」― 2022年4月からの保険適用開始と制度の概要

【※5】一般社団法人 日本がん・生殖医療学会「ARTの現状:薬物治療のリスク(OHSS)」― AMH高値のOHSSリスクと予防法

【※6】厚生労働省 e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ―神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果」

【※7】一般社団法人 日本生殖医学会「生殖医療Q&A:Q24. 加齢に伴う卵子の質の低下」― 染色体分配エラーと流産リスク

【※8】こども家庭庁「母子保健」― 妊娠前からの健康管理(プレコンセプションケア)の推進

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