目次
「不妊治療中だけど、コーヒーや紅茶を飲んでもいいの?」「カフェインはどのくらいまでなら大丈夫?」——不妊治療を頑張っている方の多くが、毎日の飲み物選びに悩んでいます。
結論からお伝えすると、不妊治療中でもカフェインを完全にゼロにする必要はありません。ただし、1日の摂取量には注意が必要です。そして今は、味も香りも本格的なデカフェ・カフェインレスドリンクがたくさん発売されています。
不妊治療中にカフェインを控えたほうがいい理由
カフェインが妊娠率・着床率に与える影響とは?
カフェインと不妊治療の関係については、世界中でさまざまな研究が行われています。ハーバード大学が実施した大規模研究(EARTH Study)では、体外受精を受けた約300人の女性を調査し、1日200mg程度のカフェイン摂取であれば、妊娠率や着床率に悪影響は認められなかったと報告されています。
一方で、注意すべきデータもあります。デンマークの大規模研究では、1日5杯以上のコーヒー(約500mg以上)を飲む女性は、臨床妊娠率が約50%低下したと報告されました。また、米国国立衛生研究所(NIH)の研究では、1日200mg以上のカフェインを摂取していた女性は流産リスクが約2倍になるというデータも示されています。
つまり、「少量なら問題ないが、摂りすぎはリスクがある」というのが現在の医学的な見解です。
1日のカフェイン摂取量の目安は「200mg」まで
では、具体的にどのくらいまでならOKなのでしょうか?各国の機関が推奨する上限量をまとめました。
| WHO(世界保健機関) | 妊婦は1日300mg以下 |
| ACOG(米国産科婦人科学会) | 妊婦は1日200mg以下 |
| EFSA(欧州食品安全機関) | 妊婦は1日200mg以下 |
| 厚生労働省・農林水産省 | 公式な数値基準は未設定。海外データを参考に200〜300mgを目安として案内」または「多くの日本の産婦人科クリニックが海外基準に準じて200mg以下を目安として指導」 |
日本では厚生労働省による明確な数値基準は定められていませんが、多くの不妊治療クリニックでは海外の基準を参考に「1日200mg以下(コーヒー約2杯まで)」を推奨しています。特に胚移植後から妊娠判定日までの期間は、より慎重に100〜200mgに抑えるのがおすすめです。
主な飲み物のカフェイン含有量一覧
毎日飲んでいるものに、実はどのくらいカフェインが入っているか知っておきましょう。
| 飲み物(150mlあたり) | カフェイン量 |
| ドリップコーヒー | 約90mg |
| インスタントコーヒー | 約60mg |
| 玉露 | 約240mg |
| 紅茶 | 約45mg |
| 煎茶(緑茶) | 約30mg |
| ほうじ茶 | 約30mg |
| ウーロン茶 | 約30mg |
| 玄米茶 | 約15mg |
| コーラ(350ml) | 約34mg |
| エナジードリンク(250ml) | 約80mg |
| デカフェコーヒー | 約3〜9mg |
意外に見落としがちなのが玉露です。150mlあたり約240mgと、コーヒーの2.5倍以上のカフェインを含んでいます。「お茶だから安心」と思い込まず、種類ごとのカフェイン量を把握しておくことが大切です。
「デカフェ」「カフェインレス」「ノンカフェイン」の違いを知ろう

飲み物を選ぶとき、パッケージに書かれた「デカフェ」「カフェインレス」「ノンカフェイン」の表記に迷ったことはありませんか?この3つは似ているようで、実は意味が異なります。
デカフェ・カフェインレスとは、もともとカフェインを含んでいるコーヒーや紅茶からカフェインを除去したものです。日本では全日本コーヒー公正取引協議会の規約により、カフェインを90%以上除去したものに「カフェインレス」の表示が認められています。つまり、微量のカフェイン(1杯あたり約3〜9mg)は残っていますが、通常のコーヒーと比べるとごくわずかです。
一方、ノンカフェインとは、原料自体にカフェインを一切含まない飲み物を指します。ルイボスティーや麦茶、たんぽぽコーヒーなどがこれにあたります。カフェインを完全にゼロにしたい方は「ノンカフェイン」の飲み物を選びましょう。
また、デカフェコーヒーのカフェイン除去方法にもいくつか種類があります。「超臨界CO2プロセス」や「ウォータープロセス(スイスウォーター製法)」は、化学薬品を使わない安全な方法として知られています。日本で販売されているデカフェコーヒーのほとんどがこれらの方法を採用しているため、安心して選ぶことができます。
不妊治療中におすすめのデカフェ・ノンカフェインドリンク15選
ここからは、日本で購入できるおすすめのデカフェ・ノンカフェインドリンクを、カテゴリー別に15商品ご紹介します。
【デカフェコーヒー】コーヒー好きでも安心の4選
① UCC おいしいカフェインレスコーヒー
二酸化炭素抽出法(CO2プロセス)でカフェインを97%カット。ブラジル・コロンビア産アラビカ豆100%を使用し、コクと香りをしっかり残しています。ドリップ・インスタント・ペットボトルなどラインナップが豊富で、ライフスタイルに合わせて選べるのが魅力です。スーパーやコンビニでも手に入りやすい定番商品です。
② ネスカフェ ゴールドブレンド カフェインレス
「自然の水の力」を使ったウォータープロセスでカフェイン97%カット。ネスカフェ独自の「挽き豆包み製法」により、淹れたてのような香りとマイルドな味わいを実現しています。ネスカフェバリスタにも対応しているので、自宅でカフェ気分を楽しめます。
③ 無印良品 オーガニックコーヒー カフェインレス
オーガニック認証を取得したホンジュラス産豆を使用し、カフェインを97%除去。酸味が控えめで飲みやすいと口コミで好評です。ドリップタイプ(7袋入りのほか、豆・粉・カフェオレベースなど種類も豊富。「添加物が気になる」という方にもおすすめです。
④ スターバックス ディカフェ ハウスブレンド
スターバックスの原点「ハウスブレンド」のデカフェ版。ラテンアメリカ産の豆をブレンドし、ナッツとココアの風味にローストの甘みが特徴です。粉タイプ(140g)がスーパーやAmazonで購入できます。スタバの味を自宅で楽しみたい方におすすめです。
【カフェインレス紅茶】香りを楽しめる3選
⑤ AHMAD TEA デカフェ アールグレイ
超臨界CO2抽出法でカフェインを96%以上カット。デカフェとは思えないしっかりした味わいと、ベルガモットの華やかな香りが人気です。コスパも抜群。アルミ個包装で風味が長持ちします。
⑥ ルピシア デカフェ紅茶シリーズ
アールグレイ、マスカット、チョコレート、キャラメルなどフレーバーの種類が非常に豊富。超臨界CO2抽出法で紅茶本来の風味を損なわずにカフェインを除去しています。季節限定商品もあり、飽きずに楽しめるのが魅力です。
⑦ 日東紅茶 カフェインレスアールグレイ
手軽にスーパーで買えるカフェインレス紅茶の定番。ティーバッグタイプで忙しい朝にもぴったりです。
【ルイボスティー】妊活の定番ドリンク3選
ルイボスティーは、原料自体にカフェインを一切含まないノンカフェインドリンクです。南アフリカ原産のマメ科植物「ルイボス」から作られ、抗酸化作用のあるポリフェノールや、鉄分・亜鉛・カルシウムなどのミネラルが豊富に含まれています。妊活中の女性に最も人気のある飲み物の一つです。
⑧ 伊藤園 ヘルシールイボスティー
南アフリカ産ルイボス100%使用。ペットボトル・ティーバッグ・粉末と種類が豊富で、日常的に取り入れやすいのが魅力です。乳児用規格適用食品なので安全性も高く、クセが少なく飲みやすいと評判です。
⑨ ティーライフ ルイボスティー
蒸気製法で旨味と成分を抽出しやすくしたルイボスティー。水出し・お湯出し両用で便利です。
⑩ ルピシア ルイボスティー
フレーバー付きのルイボスティーも多数展開。バニラやピーチなどの甘い香りが付いたタイプなら、甘い飲み物が欲しくなったときにも満足感があります。
【ハーブティー・たんぽぽコーヒー】栄養豊富な3選
⑪ AMOMA たんぽぽコーヒー
たんぽぽの根を焙煎した完全ノンカフェインのコーヒー代替飲料です。コーヒーに似た香ばしさとコクがあり、カフェオレにしても美味しく飲めます。たんぽぽは漢方でも「蒲公英(ほこうえい)」として使われ、血行促進やデトックス効果が期待されています。農薬・化学肥料不使用の原料を使い、日本国内で焙煎。妊活・妊娠中のママ向けブランドとして信頼されています。
⑫ ポンパドール ローズヒップ&ハイビスカス
鮮やかな赤色とフルーティーな酸味が特徴のハーブティー。ローズヒップにはレモンの20〜40倍のビタミンCが含まれ、抗酸化作用も期待できます。完全ノンカフェインで、スーパーやAmazonで手軽に購入できます。
⑬ 日東紅茶 アロマハウス カモミール
カモミールの優しい香りでリラックスできる、手軽なティーバッグタイプ。不妊治療中のストレス緩和におすすめです。ただし、カモミール(特にローマンカモミール)には子宮を刺激する作用があるとされるため、妊娠が判明したら摂取量を控えめにしましょう。
【カフェインレス緑茶】毎日の食事に合う2選
⑭ キリン 生茶 おいしいカフェインゼロ
キリン独自の「カフェインクリア製法」で、緑茶のうまみとコクを残しながらカフェインをほぼゼロ(0.001g/100ml未満)に。国産茶葉100%使用。ペットボトル入り緑茶史上初のカフェインゼロ商品で、コンビニやスーパーで手軽に買えます。食事のお供にぴったりです。
⑮ 伊藤園 お〜いお茶 カフェインゼロ
おなじみ「お〜いお茶」ブランドのカフェインゼロタイプ。国産素材を使用し、緑茶らしいすっきりとした味わいが楽しめます。
不妊治療中に避けるべき飲み物5つ
安心して飲めるドリンクを知ることと同じくらい、避けるべき飲み物を知ることも重要です。
カフェインの多い飲み物(エナジードリンク・玉露など)
エナジードリンクは1本(250ml)で約80mgのカフェインを含み、製品によってはコーヒーの2倍以上になるものも。玉露は150mlあたり約240mgと非常に高カフェインです。「お茶だから安心」と思わず、カフェイン量を確認しましょう。
アルコール飲料
WHOは「妊娠を目指す期間に安全なアルコール摂取量は不明」と明言しています。米国生殖医学会も、1日2単位以上(缶ビール500ml・1缶相当)の飲酒で不妊リスクが上昇すると報告。特に胚移植後から判定日までは完全に控えましょう。
糖分の多い清涼飲料水
砂糖やぶどう糖果糖液糖を多く含む飲み物は、血糖値を急上昇させます。これが繰り返されるとインスリン抵抗性を引き起こし、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)など不妊の原因にもつながります。ジュースや甘い缶コーヒーは控えめにしましょう。
冷たい飲み物の飲みすぎ
体が冷えると血行が悪くなり、子宮や卵巣に十分な酸素や栄養が届きにくくなります。特に冷房が効いた室内では、常温や温かい飲み物を意識的に選ぶことが大切です。ただし、暑い日に冷たいものを絶対に飲んではいけないわけではありません。無理のない範囲で温かい飲み物を取り入れましょう。
注意が必要なハーブティー
ハーブティーはノンカフェインのものが多く安心なイメージがありますが、一部のハーブには子宮収縮作用があるため注意が必要です。セージ、セントジョーンズワート、ハトムギ、ローズマリー(大量摂取)などは避けるか、少量にとどめましょう。ラズベリーリーフティーも子宮収縮作用があるため、妊娠初期には適しません。安全に飲めるハーブとしては、ルイボス、ネトル、ローズヒップ、たんぽぽ(ダンディライオン)が挙げられます。
不妊治療中の飲み物選びで大切な3つのポイント
温かい飲み物で「温活」を意識する
冷えは不妊治療の大敵と言われています。温かい飲み物を意識的に取り入れることで、子宮や卵巣への血流を改善する効果が期待できます。朝起きたらまず白湯を1杯飲むのがおすすめ。睡眠中に下がった体温を上げ、1日の冷え対策のスタートになります。生姜湯や黒豆茶、ごぼう茶なども温活に効果的な飲み物です。
こまめな水分補給で1日1.2リットルを目指す
人は1日に約2.5リットルの水分を必要としますが、食事から約1リットルを摂取するため、飲み物としては約1.2〜1.5リットルが目安です。一度にたくさん飲むのではなく、1日7〜8回に分けてこまめに飲むのがコツです。「喉が渇いた」と感じたときには、すでに軽い脱水が始まっています。水分補給の基本は水・白湯・麦茶で、カフェインレスのお茶は1日2〜3杯程度を目安にしましょう。
我慢しすぎず、ストレスをためないことも大切
不妊治療中は飲み物に限らず、食事や生活習慣で「あれもダメ、これもダメ」と制限ばかり意識してしまいがちです。しかし、過度な制限によるストレスは、ホルモンバランスを乱す原因にもなりかねません。コーヒーが好きな方はデカフェに切り替え、紅茶が好きな方はカフェインレス紅茶を楽しむなど、我慢するのではなく「置き換える」発想が大切です。今のデカフェ商品は味も香りも格段に進化しています。お気に入りの一杯を見つけて、治療期間を少しでも快適に過ごしましょう。
参考・引用元
WHO(世界保健機関):妊婦は1日300mg以下
公式URL: https://www.who.int/tools/elena/interventions/caffeine-pregnancy
WHOの栄養ガイドラインライブラリに掲載されているページで、「1日300mg以上のカフェインを摂取している妊婦は、妊娠損失・低出生体重リスク軽減のため摂取量を減らすよう推奨する」と明記されています。
ACOG(米国産科婦人科学会):妊婦は1日200mg以下
ACOGのQ&Aページで「1日200mg以下」を推奨する旨が確認できます。また学術論文としての出典はACOG Committee Opinion No. 462(2010年)です。
EFSA(欧州食品安全機関):妊婦は1日200mg以下
公式URL(トピックページ): https://www.efsa.europa.eu/en/topics/topic/caffeine
公式URL(学術的見解・原文PDF): https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4102
2015年に発表した科学的見解で「妊婦の習慣的なカフェイン摂取量が1日200mg以下であれば、胎児に対して安全上の懸念を生じさせない」と明記されています。
厚生労働省・農林水産省とも、妊婦向けの公式カフェイン摂取上限値を数値で定めていません。
海外データ(WHO・FSA・カナダ保健省)を参照して「200〜300mgを目安に」と案内しています。
厚生労働省公式URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
「200mg以下が望ましい」という表現は、日本助産学会の2020年ガイドライン(エビデンスに基づく助産ガイドライン)や、多くの産婦人科クリニックが海外基準を参考に案内しているものです。