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ブライダルチェックの内容パーフェクトガイド|生殖医療専門医が推奨する検査項目【2025年版】

  • 公開日:2025.12.24
  • 更新日:2025.12.25
ブライダルチェックの内容パーフェクトガイド|生殖医療専門医が推奨する検査項目【2025年版】|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院


結婚を控えている、あるいは妊娠を考え始めた30~40代の女性の皆さま。「ブライダルチェックって何を検査するの?」「私の年齢だと、どんな検査が必要なの?」そんな不安や疑問を抱えていらっしゃいませんか。

これまでの診療経験上、特に30代後半から40代の方々からは「もっと早く検査を受けておけばよかった」というお声をよく耳にします。しかし、今からでも決して遅くありません。適切な検査を受けることで、ご自身の体の状態を正確に把握し、必要な対策を立てることができます。

この記事では、単なる検査項目の羅列ではなく、生殖医療の最前線で培った知識と経験を基に、本当に必要な検査内容と、年齢に応じた優先順位について詳しく解説していきます。

ブライダルチェックとは?生殖医療専門医が解説する本当の意味

従来の健康診断との違い

ブライダルチェックは、単なる健康状態の確認ではありません。将来の妊娠・出産を視野に入れた、より専門的な検査です。一般的な健康診断では、生活習慣病のリスクや現在の健康状態を調べますが、ブライダルチェックでは「妊娠力」に焦点を当てます。

特に重要なのは、卵巣機能や子宮の状態、ホルモンバランスなど、妊娠に直接関わる要素を詳しく調べることです。例えば、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査は通常の健康診断には含まれませんが、卵巣予備能を知る上で極めて重要な検査です。30代後半以降の女性にとって、この数値は今後の人生設計を考える上での重要な指標となります。

また、感染症検査も妊娠前に必ず確認すべき項目です。風疹など、妊娠中に感染すると胎児に影響を与える可能性がある疾患を事前に把握し、必要に応じてワクチン接種を行うことができます。

なぜ今、ブライダルチェックが重要なのか

晩婚化・晩産化が進む現代において、ブライダルチェックの重要性はますます高まっています。2025年の最新データでは、第一子出産時の母親の平均年齢は31.5歳を超え、35歳以上の高齢出産の割合も30%に迫っています。

35歳を過ぎると卵子の質が急速に低下し始め、妊娠しづらくなり、40歳を過ぎると自然妊娠率は著しく低下します。しかし、早期に自身の状態を把握することで、適切な治療や生活習慣の改善により、妊娠の可能性を高めることは十分可能です。

また、不妊の原因の約半数は男性側にあることも忘れてはいけません。カップルで検査を受けることで、より包括的な評価が可能になり、効率的な妊活計画を立てることができます。早期発見・早期対応が、将来の選択肢を広げる鍵となるのです。

ブライダルチェックの基本検査内容

必須の検査項目

血液検査

血液検査では、貧血の有無、肝機能、腎機能、脂質代謝、血糖値などの基本項目に加え、甲状腺機能検査が特に重要です。甲状腺ホルモンの異常は不妊や流産のリスクを高めるため、TSH、FT3、FT4の値を確認します。

また、ビタミンD欠乏症も妊娠率に影響するため、血中ビタミンD濃度の測定もおすすめします。

また、感染症検査として、B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、風疹抗体価、麻疹抗体価、ムンプス抗体価、水痘抗体価を調べます。特に風疹は、妊娠中の感染により先天性風疹症候群のリスクがあるため、抗体価が低い場合は妊娠前のワクチン接種が必須です。最近では、サイトメガロウイルスやトキソプラズマの抗体検査も推奨されています。

婦人科検診

婦人科検診では、まず内診と経腟超音波検査を行います。子宮筋腫、子宮内膜症、卵巣嚢腫などの器質的疾患の有無を確認し、子宮や卵巣のサイズ、形状を評価します。特に30代以降は子宮筋腫の発生率が高くなるため、詳細な観察が必要です。

子宮頸がん検査(細胞診)とHPV検査も推奨されます。

また、性感染症検査として、クラミジアなどの検査も行います。クラミジア感染症は不妊の原因となる可能性があるため、早期発見・治療が重要です。

子宮内膜の厚さや卵胞の発育状況も超音波で確認し、月経周期に応じた変化が正常かどうかを評価します。

感染症検査

妊娠前に確認すべき感染症は多岐にわたります。特に注意すべきは、母子感染のリスクがある疾患です。TORCH症候群(トキソプラズマ、風疹、サイトメガロウイルス、ヘルペス)の検査は、妊娠前の段階で行うことが理想的です。

また場合により、パルボウイルスB19(りんご病)の抗体検査を検討することもあります。妊娠中の感染は胎児水腫のリスクがあるため、医療従事者や保育士など、感染リスクの高い職業の方には特に推奨されます。

検査にかかる時間と費用の目安

基本的なブライダルチェックは、検査自体は1~2時間程度で完了します。ただし、検査結果が出るまでには1~2週間かかることが一般的です。費用は医療機関により異なりますが、基本パッケージで3~5万円が相場となります。

一部の検査は保険適用となる場合があります。例えば、月経不順や不正出血などの症状がある場合、診療の一環として行われる検査は保険診療の対象となることがあります。事前に医療機関に確認することをお勧めします。

30~40代女性が追加すべき生殖医療検査

AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査の重要性

AMH検査は、卵巣予備能を評価する最も信頼性の高い検査です。AMHは卵巣からでるホルモンで、残存する卵子の数を反映します。30歳を過ぎると徐々に低下し、特に35歳以降は急速に減少する傾向があります。

AMH値が1.0ng/ml未満の場合、自然妊娠が困難になる可能性が高く、早期の不妊治療を検討すべきです。ただし、AMHは卵子の「量」を示す指標であり、「質」を反映するものではないことに注意が必要です。AMH値が低くても、年齢が若ければ妊娠の可能性は十分にあります。

2025年の最新研究では、AMH値と体外受精の成功率に強い相関があることが示されています。AMH値0.5ng/ml未満の場合、採卵数が少なくなる傾向があり、治療計画を慎重に立てる必要があります。定期的なAMH測定により、卵巣機能の変化を把握し、適切なタイミングで治療を開始することが可能です。

ホルモン検査の詳細

月経周期に応じたホルモン検査は、不妊の原因を特定する上で極めて重要です。月経3日目頃のFSH(卵胞刺激ホルモン)、LH(黄体形成ホルモン)、E2(エストラジオール)を測定することで、卵巣機能を評価します。FSHが10mIU/ml以上の場合、卵巣機能の低下が疑われます。

プロラクチン値の測定も重要です。高プロラクチン血症は排卵障害の原因となり、約20%の不妊女性に認められます。

また、排卵後1週間程度で測定する黄体期(高温期)のプロゲステロン測定により、排卵の有無と黄体機能を評価することができます。プロゲステロン値が10ng/ml未満の場合、黄体機能不全が疑われ、着床障害や初期流産のリスクが高まります。

年齢別に見るブライダルチェックの優先順位

30~34歳の方へのアドバイス

30代前半は、妊娠力がまだ比較的保たれている時期ですが、油断は禁物です。この年代では、基本的な検査に加えて、AMH検査を必ず受けることをお勧めします。AMH値が年齢相応であれば、まずは半年程度自然妊娠を試みていただくといいでしょう。

しかし、AMH値が低い場合や、月経不順がある場合は、早期の専門医受診を検討すべきです。特に、月経周期が35日以上または25日未満の場合、排卵障害の可能性があります。基礎体温の測定と併せて、ホルモン検査を受けることで、原因を特定できます。

生活習慣の改善も重要です。適正体重の維持(BMI 18.5~25)、禁煙、過度の飲酒を避ける、葉酸サプリメントの摂取(400μg/日)を開始することをお勧めします。ストレス管理も妊娠に影響するため、適度な運動やリラクゼーションを心がけましょう。

35~39歳の方へのアドバイス

35歳以降は、妊娠率の低下と流産率の上昇が顕著になります。この年代では、時間との勝負となるため、包括的な検査を速やかに行うことが重要です。基本検査に加え、AMH、詳細なホルモン検査を推奨します。

3ヶ月間の自然妊娠を試みて妊娠しない場合は、不妊治療を検討していただくといいでしょう。特にAMH値が1.0ng/ml未満の場合は、早期の体外受精を検討すべきです。

40歳以上の方へのアドバイス

40歳以上では、自然妊娠率は5%未満まで低下し、流産率は40%を超えます。この年代では、検査と同時に治療を開始する積極的なアプローチが必要です。検査とともに、不妊治療の準備を進めることをお勧めします。

体外受精が第一選択となることが多く、複数回の採卵が必要になる場合があります。併存疾患のスクリーニングも重要です。高血圧、糖尿病、甲状腺疾患などは妊娠合併症のリスクを高めるため、妊娠前の管理が必須です。

パートナーも一緒に受けるべき検査内容

男性不妊の可能性を見逃さない

不妊の原因の48%は男性側にあるという最新のWHOデータがあります。しかし、多くのカップルが女性側の検査のみを行い、男性側の問題を見逃しているのが現状です。男性の基本検査として、精液検査は必須です。

精液検査では、精液量、精子濃度、運動率、正常形態率を評価します。WHO基準(2021年版)では、精子濃度1600万/ml以上、運動率42%以上、正常形態率4%以上が正常とされています。ただし、精液所見は変動が大きいため、異常があった場合は複数回の検査が必要となることがあります。

また、感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒)も男性にも必要です。

精液検査に異常がある場合は、精索静脈瘤の有無を確認する触診や超音波検査、ホルモン検査(テストステロン、FSH、LH)も追加で行います。最近では、精子DNA断片化検査も、原因不明不妊の評価として注目されています。

カップルで受ける検査のメリット

カップルで検査を受けることには、医学的にも心理的にも大きなメリットがあります。まず、不妊原因の全体像を把握できるため、最適な治療方針を立てることができます。

心理的な面では、「不妊は二人の問題」という認識を共有することで、治療への協力体制が構築されます。パートナーが検査や治療に協力的なカップルほど、治療成績が良好であることが知られています。また、男性側に問題がない場合でも、「一緒に頑張っている」という連帯感が、長期にわたる治療のストレスを軽減します。

検査結果の説明も、カップル同席で行うことで、情報の共有がスムーズになります。治療方針の決定においても、両者の意見を聞きながら進めることで、後悔のない選択ができます。

検査結果の見方と次のステップ

異常が見つかった場合の対処法

検査で異常が見つかっても、決して絶望する必要はありません。多くの問題は適切な治療により改善可能です。

例えば、甲状腺機能異常は、甲状腺ホルモン補充により速やかに改善します。

男性不妊の場合も、精索静脈瘤手術やホルモン補充療法により改善する可能性があります。ただし、重度の男性不妊では、体外受精や顕微授精による治療が必要となる場合があります。

生活習慣の改善ポイント

検査結果が正常でも、生活習慣の改善により妊娠率を向上させるようにしましょう。まず、適正体重の維持が重要です。BMI 25以上の肥満は、排卵障害や流産率の上昇につながります。一方、BMI 18.5未満のやせも、無月経や黄体機能不全の原因となります。

栄養面では、葉酸400μg/日の摂取を妊娠3ヶ月前から開始します。ビタミンD、鉄分、亜鉛の補充も有効です。地中海食(魚、野菜、オリーブオイル中心)は、妊娠率を向上させることが報告されています。カフェインは1日200mg(コーヒー2杯程度)までに制限し、アルコールは控えめにします。

運動は週3回、30分程度の中強度の有酸素運動が理想的です。ヨガやピラティスなども、ストレス軽減効果があり推奨されます。睡眠は7~8時間を確保し、規則正しい生活リズムを心がけます。禁煙は必須で、受動喫煙も避けるようにしましょう。

よくある質問(FAQ)

質問と回答

Q1. いつ受けるのがベストタイミング?

A1. ブライダルチェックのベストタイミングは、結婚の6ヶ月~1年前、または妊娠を希望する6ヶ月前です。この期間があれば、異常が見つかった場合の治療や、ワクチン接種(風疹など)を完了させることができます。風疹ワクチンは接種後2ヶ月間の避妊が必要なため、余裕を持ったスケジュールが重要です。

ただし、35歳以上の方は、時間的猶予が限られているため、妊娠を考えた時点ですぐに検査を受けることをお勧めします。月経周期のタイミングとしては、ホルモン検査は月経3日目頃が適しています。AMH検査は月経周期に関係なく、いつでも測定可能です。

Q2.生理中でも検査は受けられる?

A2.月経中でも受けられる検査と、避けるべき検査があります。血液検査の多くは月経中でも可能ですが、ホルモン検査は月経周期の特定の時期に行う必要があります。FSH、LH、E2は月経3日目頃、プロゲステロンは黄体期中期(排卵後7日目)に測定します。

内診や経腟超音波検査は、月経量が多い時期は避けた方が良いですが、月経終了間際であれば可能です。子宮頸がん検査や性感染症検査は、月経中は正確な結果が得られない可能性があるため、月経終了後に行います。

Q3.保険適用について

A3.ブライダルチェックは基本的に自費診療となりますが、一部の検査は保険適用となる場合があります。月経不順、不正出血、下腹部痛などの症状がある場合、診療の一環として行われる検査は保険診療の対象です。

2022年4月から不妊治療の保険適用が拡大され、不妊症の診断に必要な検査(精液検査、ホルモン検査など)は、条件を満たせば保険適用となります。ただし、予防的な検査としてのブライダルチェックは対象外です。

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