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CD138検査(慢性子宮内膜炎検査)

慢性子宮内膜炎とは?

慢性子宮内膜炎(CE: Chronic Endometritis)とは、子宮内膜の深部である基底層に軽度な炎症が長期間持続している状態を指します。主な原因としては細菌感染をはじめ、子宮内膜ポリープといった要因も挙げられ、これらが重なることで発症すると考えられています。月経のたびに表層は剥がれ落ちるものの、基底層の炎症は残り続けることから自然治癒することはほとんどありません。最大の特徴は「ほぼ無症状」であることであり、痛みや発熱はないうえに、まれに軽度の不正出血や性交痛がある程度であるため、多くの方が気づかずに過ごしています。

本疾患は、不妊症患者の2.8~39%や反復着床不全患者の30~60%、さらには反復流産患者の9.3~67.6%に認められるという報告があることから、不妊治療において見逃せない疾患といえます。なお原因菌としては大腸菌や連鎖球菌、ブドウ球菌、あるいはクラミジア、マイコプラズマなどが挙げられます。

慢性子宮内膜炎が不妊の原因になる理由

反復着床不全との関係

慢性子宮内膜炎があると着床に必要な子宮内膜の環境が大きく損なわれてしまいます。炎症が持続することでエストロゲンやプロゲステロンといった女性ホルモンに反応する受容体が減少し、その結果として子宮内膜の胚受容能(着床する力)が低下します。さらに炎症性サイトカインなどの炎症物質が過剰に分泌されることにより、胚の発育に必要な栄養素やホルモンが不足する恐れがあります。また免疫活動も活発になるため、受精卵を異物として攻撃してしまう可能性も指摘されています。体外受精で良好胚を複数回移植しても妊娠に至らない「反復着床不全(RIF)」の患者さんの14~67.5%に慢性子宮内膜炎が認められていることから、着床障害の重要な原因のひとつとして位置づけられています。

流産・早産へのリスク拡大

慢性子宮内膜炎は着床障害のみならず、妊娠後の流産や早産のリスクも高めます。子宮内膜の炎症が続くと絨毛膜羊膜炎(胎盤の炎症)を引き起こす可能性が生じるほか、これが胎盤形成不全や胎児発育不全の原因となり得ます。また炎症により子宮収縮が頻発することや、子宮頸管の熟化(柔らかくなること)あるいは破水が早期に起こるといった影響により、早産につながる可能性も報告されています。反復流産患者の9.3~67.6%に慢性子宮内膜炎が認められていることからも、「何度も流産してしまう」という悩みの背景にこの疾患が隠れているケースは少なくありません。したがって適切な診断および治療を行うことにより、こうしたリスクを大幅に軽減できる可能性があります。

CD138検査を受けるべき人

CD138検査は、以下のような状況にある方に特に推奨されます。

【対象者チェックリスト】

① 体外受精で良好胚を2~3回以上移植しても妊娠しない(反復着床不全)

② 流産を2回以上繰り返している(反復流産・習慣流産)

③ タイミング法や人工授精を長期間続けても妊娠しない

④ 不妊の原因が明確にわからない(原因不明不妊)

⑤ 早産の経験がある

⑥ 生化学的妊娠(化学流産)を繰り返している。

CD138検査の方法と流れ

検査のタイミング

CD138検査の実施時期は、クリニックによって考え方が異なります。

【パターン1】高温期(黄体期)実施

受精卵が着床する時期である黄体期に子宮内膜を採取することで、実際の着床環境に近い状態を評価できるという考え方です。排卵後から次の月経までの間に実施します。

【パターン2】月経終了後~排卵前実施

月経の出血が完全に止まってから排卵までの卵胞期に実施します。この時期は子宮内膜が再生される時期で、組織採取の負担が少ないとされます。どちらの時期でも診断は可能ですが、月経中や不正出血がある時期は正確な結果が出ない可能性があるため避ける必要があります。検査予約は月経中に行い、個々の月経周期に合わせて最適な日程を調整します。

検査の具体的な手順

CD138検査は内診台で行われる外来検査です。

【検査の流れ】

① 腟と子宮の入り口を洗浄し、清潔な状態にします

② キュレットまたはピペットと呼ばれる細い器具を子宮内に挿入

③ 子宮内膜組織を少量採取(所要時間:約1~5分)

④ 採取した組織を検査会社へ送付

⑤ CD138免疫染色という特殊な染色を実施

⑥ 400倍に拡大した顕微鏡下で形質細胞(CD138陽性細胞)の数をカウント

⑦ 10~20視野あたり5個以上の形質細胞が確認されれば「陽性」と診断。

検査当日は少量の出血が予想されるため、ナプキンの持参が推奨されます。検査を行った周期は、タイミング法、人工授精、胚移植などの妊活は実施できませんので、治療スケジュールとの調整が必要です。

結果が出るまでの期間

CD138検査の結果判定には、約2~3週間かかります。採取した子宮内膜組織は専門の検査会社に送られ、CD138免疫染色という特殊な染色処理が施されます。この染色により、形質細胞(CD138陽性細胞)だけが識別できるようになります。その後、病理医が顕微鏡下で丁寧に形質細胞の数を数え、診断を行います。結果が出たら再度クリニックを受診し、医師から詳しい説明を受けます。陽性だった場合は、その場で治療方針について相談できます。なお、採取した組織量が不十分だった場合は再検査が必要になることがあります。次周期に胚移植を予定している方は、検査結果が出るまでの期間を考慮して、早めに検査を受けることをお勧めします。

CD138検査の費用と保険適用

CD138検査は保険適用外の自費診療です。先進医療としても認められていないため、自治体の助成を受けることはできません。

検査の痛みと注意点

CD138検査は子宮内膜組織を採取するため、月経痛のような痛みを伴います。痛みの程度は個人差が大きく、「軽い違和感程度」と感じる方から「強い生理痛のような痛み」と感じる方までさまざまです。検査時間自体は1~5分程度と短時間で終わるため、多くの場合、痛みも数分で治まります。基本的には麻酔は使用しませんが、痛みが心配な方は事前に医師に相談すれば、痛み止めの坐薬を使用できる場合もあります。

【検査後の症状】

• 少量の出血(2~3日続くことがある)

• 軽い腹痛(子宮の一時的な収縮による)

• まれに子宮内感染のリスク

検査を行った周期とその後1週間は避妊が必要です。また、月経が予定より早まったり遅れたりすることもありますが、一時的なものです。

陽性だった場合の治療方法

抗生剤治療の内容

CD138検査で陽性と診断された場合、抗生剤による治療を行います。

【第一選択薬】 最も一般的なのはビブラマイシン(ドキシサイクリン)というテトラサイクリン系抗生剤です。用法は1日2回、14日間の内服が標準です。多くの種類の細菌に効果がある広域スペクトラム抗菌薬で、約90%の方がこの治療で改善します。

【第二選択薬】 第一選択薬で効果が不十分だった場合は、シプロキサシン(シプロキサン)200mg + メトロニダゾール(フラジール)250mgの併用療法を、同じく1日2回、14日間行います。その他、患者さんのアレルギーの有無によって、サワシリンやアジスロマイシンなどが選択されることもあります。治療中は必ず避妊が必要です。抗生剤は胎児に影響を与えるリスクがあるためです。

改善率と治療期間

CD138検査で陽性と診断された方が適切な抗生剤治療を受けた場合、約90~99.1%が改善するという極めて高い治療成功率が報告されています。ある研究では、慢性子宮内膜炎の35例全員が抗生剤治療で改善し、生児獲得率(赤ちゃんが生まれる確率)の上昇も確認されました。さらに重要なのは、治療後の妊娠成績です。適切な治療を受けた反復着床不全の方は、慢性子宮内膜炎がない方と同等の臨床妊娠率・生児獲得率にまで改善することが示されています。治療期間は、抗生剤内服14日間+再検査待機期間を含めて、トータルで2~4ヶ月程度かかります。治療を急ぐ場合でも、再検査で改善を確認してから胚移植を行うことが推奨されます。

再検査の必要性

抗生剤治療後は、慢性子宮内膜炎が実際に改善しているかを確認するため再検査をおすすめします。再検査のタイミングは、内服終了後1ヶ月が経過した月経終了直後、または抗生剤内服終了後1週間空けた後に実施します。再検査でも陽性だった場合は、第二選択薬に変更して再度14日間の治療を行います。それでも2回連続で改善しない場合は「難治性」と判断され、子宮内膜掻爬術や子宮鏡下手術などの外科的治療を検討することもあります。また、再発率は20~30%と比較的高いため、改善後もラクトフェリンやラクトバチルス腟錠などのプロバイオティクスを継続使用することで再発予防を図ることが推奨されます。改善が確認できたら、期間を空けずに速やかに胚移植を行うことが望ましいとされています。

CD138・ALICE・EMMA検査の違いと使い分け

慢性子宮内膜炎に関連する検査として、ALICEやEMMAという名前も聞くかもしれません。これらは目的が異なります。

項目CD138検査ALICE検査EMMA検査
目的炎症の有無を診断原因菌の種類を特定菌のバランス(善玉菌率)を測定
手法免疫染色(細胞を見る)次世代シーケンサー(DNAを見る)次世代シーケンサー(DNAを見る)
わかること「今、病気(炎症)があるか」「どの菌が犯人か」「子宮環境が良いか」

使い分け

CD138「炎症があるかないか」を安価に確実に知るための第一選択(スクリーニング)として最適です。
ALICECD138で陽性となり治療しても治らない場合や、最初から原因菌を特定したい場合に検討します。

よくある質問(FAQ)

Q-A

Q1:検査は本当に痛いですか?

A1:個人差がありますが、多くの方は「月経痛のような痛み」と表現されます。検査時間は1~5分程度と短時間で、痛みも数分で治まることがほとんどです。痛みが心配な方は、事前に医師に相談すれば痛み止めの坐薬を使用できる場合もあります。

Q2:検査を受けた周期に妊娠活動はできますか?

A2:検査を行った周期は、タイミング法、人工授精、胚移植などの妊活は実施できません。子宮内膜を採取する検査のため、その周期は子宮を休ませる必要があります。治療スケジュールとの調整が必要ですので、事前に医師と相談しましょう。

Q3:陽性の場合、必ず妊娠できないのですか?

A3:いいえ、そうではありません。「陽性の9割が妊娠できない」という情報もありますが、これは治療しなかった場合の話です。適切な抗生剤治療を受けた方の90~99.1%は改善し、治療後は慢性子宮内膜炎がない方と同等の妊娠率・生児獲得率まで改善することが報告されています。早期発見・早期治療が重要です。

Q4:再発することはありますか?

A4:はい、再発率は20~30%と比較的高いです。一度改善しても数ヶ月後に再発する可能性があります。再発予防には、改善後もラクトフェリンやラクトバチルス腟錠などのプロバイオティクスを継続使用することが推奨されます。また、改善後は期間を空けずに速やかに胚移植を行うことが望ましいとされています。

Q5:他の検査方法との違いは?

A5:慢性子宮内膜炎の検査には、CD138検査の他に、子宮鏡検査、ALICE検査(次世代シークエンサー)、子宮内フローラ検査などがあります。CD138検査は組織学的に形質細胞を確認する方法で、多くのクリニックで実施されています。ALICE検査はより正確に原因菌を特定できますが、費用が高額(6~8万円)です。医師と相談して最適な検査方法を選びましょう。

Q6:保険は適用されますか?

A6:CD138検査は保険適用外の自費診療です。先進医療にも該当しないため、自治体の助成も受けられません。

Q7:治療中の注意点はありますか?

A7:抗生剤治療中は必ず避妊してください。抗生剤は胎児に影響を与えるリスクがあります。また、ヘム鉄や亜鉛のサプリメントは薬剤効果を弱めるため、治療中は中断する必要があります。副作用が出た場合はすぐに医師に相談してください。

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