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【2026年最新】体外受精の費用はいくら?保険適用で変わる自己負担額から東京都の新助成制度まで徹底解説【専門医監修】

  • 公開日:2026.09.29
  • 更新日:2026.09.29
【2026年最新】体外受精の費用はいくら?保険適用で変わる自己負担額から東京都の新助成制度まで徹底解説【専門医監修】|不妊治療・体外受精・卵子凍結なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院
この記事の監修者
松見 泰宇 学術顧問(医師)
松見 泰宇学術顧問(医師)

生殖医療クリニック錦糸町駅前院の学術顧問を拝命いたしました、松見泰宇(まつみ ひろたか)と申します。

わたくしはこれまで、東京大学関連の大学病院や基幹病院において、尊敬する同窓の諸先輩方のもとで研鑽を積んでまいりました。その一方で、著名なプライベートクリニックに勤務する機会にも恵まれ、クリニックならではの、身近できめ細やかな診療も学んでまいりました。

これまでに培った知見が、当クリニックの患者さまのお役に少しでも立てば幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

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「そろそろ体外受精を考えたほうがいいのかな」

そう思いながらも、最初に頭をよぎるのは、やはりお金のことではないでしょうか。

「保険が使えるようになったと聞いたけれど、結局いくらかかるの?」
「年齢や回数に制限があるなら、私はまだ間に合う?」
「何回も挑戦することになったら、家計はどうなるんだろう」

診察室でも、こうした不安を口にされる方はとても多くいらっしゃいます。治療そのものへの不安に加えて、費用の見通しが立たないことは、心にも大きな負担になりますよね。

2022年4月から体外受精は保険適用となり、原則3割負担で受けられるようになりました。さらに2026年は、高額療養費制度の見直しや東京都の助成拡充など、費用に関わる制度が大きく動いた年でもあります。

この記事では、生殖医療専門医の立場から、体外受精の保険適用の条件、実際にかかる費用の目安、そして自己負担をさらに軽くする制度までをできるだけわかりやすくお伝えします。

体外受精の保険適用とは?2022年4月からの制度の基本

保険適用で何が変わったのか

2022年4月、人工授精などの「一般不妊治療」と、体外受精・顕微授精などの「生殖補助医療」が公的医療保険の対象になりました。それまで体外受精は自由診療で、1回あたり30万〜0万円前後かかるのが一般的でした。保険適用後は窓口負担が原則3割になり、高額療養費制度も使えるようになっています。

こども家庭庁によると、この保険適用は日本生殖医学会がまとめた生殖医療ガイドラインでのエビデンス評価を踏まえて決められました。つまり、保険で受けられる治療は「有効性と安全性が確認された標準的な治療」ということです。どの施設でも一定の質の治療を、共通の価格で受けられるようになったことも大きな変化といえます。

治療を受ける人も確実に増えています。日本産科婦人科学会の集計では、2024年の生殖補助医療の治療周期数は550,265周期となっています。この年に生まれた赤ちゃんのうち83,491人が生殖補助医療によるもので、およそ8〜9人に1人にあたります。体外受精は、もう特別な治療ではありません。

保険の対象になる治療・ならない治療

保険が適用される主な治療(採卵〜胚移植)

体外受精は「採卵周期」と「移植周期」に分かれます。保険の対象となるのは、その一連の基本的な診療です。

  • 卵巣刺激(排卵誘発剤)、超音波検査、ホルモン検査、AMH検査
  • 採卵術、採精・精子調整
  • 体外受精・顕微授精
  • 受精卵・胚の培養、胚盤胞までの培養
  • 胚の凍結保存・維持管理
  • 新鮮胚移植・凍結融解胚移植、アシステッドハッチング(孵化補助)など
  • 男性不妊の手術(精巣内精子採取術=TESEなど)

保険診療と併用できる「先進医療」(令和8年9月1日時点)

「先進医療」とは、保険適用の前段階として国が認めた技術で、その部分は全額自己負担ですが、保険診療と組み合わせて受けられます。こども家庭庁の広報サイトでは、令和8年9月1日時点で次の技術が掲載されています。

先進医療の名称どんな技術か(ひとことで)
タイムラプス撮像法による受精卵・胚培養培養器内のカメラで胚の成長を連続撮影し、取り出さずに評価
子宮内膜受容能検査1又は2(ERAなど)子宮内膜が着床に適した時期かを遺伝子レベルで調べる
子宮内細菌叢検査1又は2(EMMA/ALICEなど)子宮内の細菌のバランスを調べる
子宮内膜刺激術(SEET法)胚の培養液を移植前に子宮に入れ、着床しやすい環境をつくる
子宮内膜擦過術(スクラッチ)移植前周期に子宮内膜に軽い刺激を加える
二段階胚移植術初期胚と胚盤胞を時期をずらして移植する
ヒアルロン酸を用いた生理学的精子選択術ヒアルロン酸に結合する成熟精子を選ぶ
膜構造を用いた生理学的精子選択術特殊な膜で運動性のよい精子を選ぶ
強拡大顕微鏡を用いた形態学的精子選択術(IMSI)高倍率で形のよい精子を選ぶ
着床前胚異数性検査(PGT-A)胚の染色体の数を調べ、移植する胚を選ぶ

先進医療は、国に届け出た医療機関でしか実施できません。同じ名称の検査でも、施設によっては先進医療ではなく自由診療として行われていることがあるため、受診先で必ず確認しましょう。

保険が使えない自由診療

先進医療に位置づけられていない検査や治療を、保険診療と同じ治療周期で行うことは原則できません(混合診療の禁止)。どうしても希望する場合は、その周期の採卵や移植も含めて全額自費になります。また、年齢や回数の条件から外れた場合も自費診療です。

体外受精が保険適用になる条件|年齢・回数・婚姻の3つのルール

体外受精の保険適用には「年齢」「回数」「婚姻関係」の3つの条件があります。一般不妊治療(タイミング法・人工授精)には年齢・回数の制限はありませんが、体外受精・顕微授精には明確な上限があるため、治療を始める前に必ず確認しておきましょう。

治療開始時の女性の年齢保険適用の回数(胚移植)数え方
40歳未満6回まで1子ごと
40歳以上43歳未満3回まで1子ごと
43歳以上保険適用なし(自費)―

年齢条件:治療開始日に女性が43歳未満

保険が使えるのは、生殖補助医療を始める日に女性が43歳未満の場合です。基準になるのは「治療開始日」なので、43歳の誕生日を迎える前に始めた治療周期は、途中で43歳になってもその周期は保険で続けられます。

一方、43歳を過ぎてから新たに治療計画を立てる場合は保険の対象外です。誕生日が近い方は、「いつ治療を始めるか」で数十万円単位の差が出ることもあります。検査や準備に時間がかかることもあるため、早めに受診して主治医とスケジュールを相談しておくと安心です。

回数制限:数えるのは「採卵」ではなく「胚移植」

誤解が多いのですが、回数制限は「採卵の回数」ではなく「胚移植の回数」で数えます。採卵は、回数の上限の範囲内であれば何度でも保険で行えます。

回数の上限(6回か3回か)は、初めての胚移植に向けた治療計画を作成した日の女性の年齢で決まります。たとえば39歳で治療を始めた方は、途中で40歳を超えても6回まで保険が使えます。また回数は「1子ごと」なので、出産(妊娠12週以降の死産を含む)するとリセットされ、第2子の治療では改めて6回(または3回)使えます。

回数カウントの具体例

  • 採卵したが受精卵ができず、移植できなかった → カウントされない
  • 採卵した周期に新鮮胚を移植した → 1回
  • 凍結しておいた胚を、別の周期に融解して移植した → 1回
  • 移植後に妊娠したが流産となった → 1回(リセットされない)

「採卵1回で胚がたくさん凍結できた」場合は、移植回数を使いながら追加の採卵費用をかけずに治療を続けられます。この仕組みを知っておくと、費用の見通しがぐっと立てやすくなります。

婚姻要件:事実婚のカップルも対象

保険適用は、法律上の婚姻関係にあるご夫婦だけでなく、事実婚のカップルも対象です。ただし事実婚の場合は、重婚でないこと、同一世帯であること(別世帯の場合はその理由)、生まれた子を認知する意向があることなどを、医療機関で確認します。

また、保険診療の体外受精では、お二人で治療計画を作成し、同意したうえで治療を進めることが求められます。初診の段階から、パートナーと一緒に説明を聞いていただくのがおすすめです。

体外受精の費用はいくら?保険適用後の自己負担の目安

保険適用後の体外受精は、採卵から1回目の移植まででおおよそ15万〜25万円(3割負担)が目安です。保険診療は全国共通の点数で計算されるため、「1点=10円、3割負担なら1点=3円」と覚えておくと、明細の読み解きがぐっと楽になります。

採卵周期にかかる費用(保険点数と3割負担額)

採卵周期の費用は、採れた卵子や育った胚の「個数」で段階的に変わるのが特徴です。主な項目は次のとおりです。

項目保険点数3割負担の目安
採卵術(基本)3,200点9,600円
採卵数加算(1個/2〜5個/6〜9個/10個以上)2,400/3,600/5,500/7,200点7,200/10,800/16,500/21,600円
体外受精管理料3,200点9,600円
顕微授精管理料(1個/2〜5個/6〜9個/10個以上)3,800/5,800/9,000/11,800点11,400/17,400/27,000/35,400円
受精卵・胚培養管理料(1個〜)4,500点〜13,500円〜
胚盤胞加算(1個〜)1,500点〜4,500円〜
胚凍結保存管理料・導入時(1個〜)5,000点〜15,000円〜

これに加えて、排卵誘発剤などの薬剤費、超音波検査・血液検査、採卵時の麻酔などがかかります。薬の種類や量は卵巣の反応によって大きく変わり、採卵周期全体では10万〜20万円程度になる方が多い印象です。

移植周期にかかる費用

現在、日本の体外受精で生まれる赤ちゃんの95%は、凍結しておいた胚を融解して戻す「凍結融解胚移植」によるものです。凍結融解胚移植術は12,000点(3割で36,000円)、採卵周期にそのまま戻す新鮮胚移植は7,500点(22,500円)です。

孵化を助けるアシステッドハッチングや、着床を助ける高濃度ヒアルロン酸含有培養液を使う場合は、それぞれ1,000点(3,000円)が加算されます。子宮内膜を整えるホルモン剤や検査を含めると、移植周期は1回あたり5万〜8万円程度が目安です。

モデルケースで見る1周期の総額

35歳・採卵8個・体外受精で3個が胚盤胞になり凍結、その後1個を凍結融解胚移植した例で計算してみます(先進医療なし・3割負担)。

内訳自己負担の目安
採卵術+採卵数加算(6〜9個)26,100円
体外受精管理料+新鮮精子加算12,600円
胚培養管理料+胚盤胞加算(2〜5個)24,000円
胚凍結保存管理料・導入時(2〜5個)21,000円
薬剤費・検査・麻酔・診察など約40,000〜80,000円
凍結融解胚移植+AHA+ヒアルロン酸42,000円
移植周期の薬剤・検査約15,000〜30,000円
合計約18万〜23万円

凍結胚が残っていれば、2回目以降は移植周期の費用(5万〜8万円程度)だけで挑戦できます。なお凍結胚は、翌年以降も保存を続ける場合に維持管理料(3,500点=10,500円/年)がかかります。

自費診療との比較

保険適用前は、採卵から移植まで1周期で30万〜60万円程度かかるのが一般的でした。現在も年齢・回数の条件を外れた場合や、PGT-Aを自由診療で行う場合は自費となり、医療機関ごとに価格が大きく異なります。

保険診療では同じ内容なら全国どこでも同じ点数です。一方で、クリニックごとの差は「どの刺激法を選ぶか」「先進医療をどこまで追加するか」で生まれます。見積もりを比べるときは、総額だけでなく内訳を確認しましょう。

※点数は2026年9月時点で医療機関等が公表している資料をもとにした目安です。診療報酬改定で変わることがあり、実際の金額は治療内容によって異なります。

生殖医療専門医が解説|費用を左右する4つのポイント

同じ保険診療でも、人によって費用が2倍近く違うことは珍しくありません。その差を生むのは、主に次の4つです。「なぜ私はこの金額なのか」を理解しておくと、治療方針の相談もしやすくなります。

卵巣刺激の方法と薬剤

採卵周期でもっとも個人差が出るのが、卵巣刺激の薬剤費です。複数の卵子を育てる「調節卵巣刺激法」は、注射薬を10日前後使うため費用がかさみやすい一方、1回の採卵で多くの卵子が得られる可能性があります。飲み薬中心の「低刺激法」や、薬をほとんど使わない「自然周期」は1回あたりの費用は抑えられますが、採れる卵子は少なくなります。

大切なのは「1回の安さ」ではなく「赤ちゃんを授かるまでの総費用と時間」です。AMH(卵巣に残る卵子の目安となるホルモン)の値や年齢をもとに、ご自身に合った方法を主治医と選びましょう。

採卵数と受精方法(体外受精か顕微授精か)

採卵数や培養する胚の数が増えると、加算の段階が上がって費用も増えます。ただし、ここは「費用が増える=悪いこと」ではありません。胚がたくさん凍結できれば、次の採卵をせずに移植へ進めるため、結果的に総費用が下がることも多いのです。

受精方法も費用に影響します。卵子に精子をふりかける通常の体外受精は個数にかかわらず一律ですが、精子を1個ずつ卵子に注入する顕微授精は、処置する卵子の数に応じて費用が上がります。精子の数や運動率、過去の受精結果から医学的に選択します。

胚凍結と保存期間

胚を凍結すると凍結の個数に応じた管理料がかかります。凍結胚を長く保存するほど維持管理料も続くため、ご家族計画(第2子を考えているかなど)も含めて、主治医と保存方針を話し合っておくと安心です。

先進医療をどこまで追加するか

タイムラプスやERAなどの先進医療は、1項目あたり数万円から十数万円かかることがあり、費用の差を大きく広げる要因です。すべての方に必要なわけではなく、たとえば「良好な胚を複数回移植しても着床しない」といった場合に検討するのが一般的です。

「念のため全部」ではなく、「なぜ私にこの検査が必要か」を説明してもらい、納得したうえで選ぶことをおすすめします。

【2026年最新】自己負担をさらに軽くする制度

体外受精の実際の負担は「窓口の3割負担」で終わりではありません。高額療養費、自治体の助成、医療費控除を順に使うことで、手元から出ていくお金はさらに減らせます。2026年はこの3つのうち2つに大きな変更がありました。

高額療養費制度(2026年8月改正)

高額療養費制度は、1か月(1日〜月末)の保険診療の自己負担が上限額を超えたとき、超えた分が払い戻される制度です。体外受精は保険診療なので対象になります。ただし先進医療や自費診療の費用は対象外です。

2026年8月診療分から、この上限額が見直されました。たとえば年収約370万〜770万円の方(区分ウ)の場合、計算式は次のように変わっています。

2026年7月まで2026年8月から
月額上限(区分ウ)80,100円+(総医療費−267,000円)×1%85,800円+(総医療費−286,000円)×1%
多数回該当(4回目以降)44,400円44,400円(据え置き)
年間上限なし53万円(新設)

計算例:採卵周期の医療費が1か月で60万円(10割)の場合、窓口負担は18万円。2026年8月以降の上限は88,940円なので、差額の約9万1,000円が払い戻されます。

月額上限・年間上限・多数回該当のしくみ

「多数回該当」は、直近12か月で上限に達した月が3回あると、4回目から上限がさらに下がるしくみです。体外受精を続けて何度も採卵する方には心強い制度です。

今回新設された「年間上限」は、8月〜翌年7月の1年間の自己負担に上限を設けるものです。区分ウ・エでは53万円とされています。一般的な体外受精では到達しないことが多いものの、採卵を何度も繰り返す場合の“安心の天井”として知っておくとよいでしょう。

体外受精で知っておきたい「月またぎ」の注意点

高額療養費は「暦の月ごと」「医療機関ごと」に計算します。採卵周期が月末から翌月にまたがると、費用が2か月に分かれてどちらも上限に届かず、払い戻しが受けられないことがあります。院外薬局の費用も、条件により合算の可否が変わります。

治療のスケジュールは体の状態が最優先なので、費用のために日程を動かすことはおすすめしません。ただ、「月をまたぐと戻りが少ないことがある」と知っておくだけで、家計の見通しが立てやすくなります。事前にマイナ保険証を使う(または限度額適用認定証を用意する)と、窓口での支払い自体を上限額までに抑えられます。

自治体の助成制度(東京都の例)

多くの自治体が、国の保険適用に上乗せする独自の助成を行っています。代表的なのが東京都です。2026年4月1日以降に開始した治療から、これまでの「先進医療費の7割」に加えて、保険診療で行った体外受精・顕微授精の自己負担分も対象になりました。1回の治療につき上限15万円で、回数は保険適用の移植回数に準じます。

注意点として、助成額は高額療養費や健康保険の付加給付を差し引いて決まります。また、採卵から移植まで全額自費で行った治療(PGT-Aを自由診療で行う場合など)は対象外です。お住まいの市区町村にも独自の制度がないか、自治体のホームページで確認してみてください。

医療費控除

1年間(1〜12月)に支払った医療費が10万円(所得200万円未満の方は所得の5%)を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けられます。体外受精は、保険診療だけでなく先進医療や自費診療も対象です。通院のための公共交通機関の運賃も含められます。

夫婦の医療費は合算でき、所得の高い方が申告すると還付額が大きくなりやすいです。高額療養費や助成金で戻った分は差し引いて計算するため、領収書と支給決定通知は必ず保管しておきましょう。

民間医療保険・付加給付・職場の両立支援

保険適用により、採卵術や胚移植術は診療報酬上の「手術」として扱われるようになりました。そのため、加入している民間医療保険によっては手術給付金を受け取れる場合があります。契約内容を保険会社に確認してみましょう。

大企業の健康保険組合などには、高額療養費にさらに上乗せする「付加給付」がある場合もあります。また厚生労働省の調査では、不妊治療を経験した方の26.1%が、仕事と両立できずに退職・雇用形態の変更・治療の断念をしています。職場の休暇制度や、厚生労働省の「不妊治療連絡カード」も、経済的な負担を減らすために活用したい制度です。

専門医が伝えたい「保険診療を上手に使う」考え方

保険適用の回数には上限があります。だからこそ、「なんとなく1回ずつ」ではなく、年齢や卵巣の状態に合わせて計画的に使うことが、費用面でも妊娠への近道の面でも大切です。ここでは、日々の診療で患者さんにお伝えしていることをまとめます。

年齢別:限られた保険回数をどう使うか

  • 35歳未満:6回の枠と時間に比較的余裕があります。まずは標準的な方法で採卵し、凍結できた胚を順に移植していくのが基本です。
  • 35〜39歳:年齢とともに卵子の数と質は少しずつ低下します。1回の採卵で複数の胚を確保できるよう刺激法を工夫し、「40歳になる前に治療計画を立てる」ことで6回の枠を確保できます。
  • 40〜42歳:保険は3回まで。1回の移植の重みが大きくなるため、採卵を重ねて良好な胚を選んでから移植する、といった戦略を主治医と相談します。43歳の誕生日前に治療を開始できるよう、早めの受診が何より大切です。

PGT-Aなど自費診療を選ぶときの注意点

PGT-A(着床前胚異数性検査)は、胚の染色体の数を調べて移植する胚を選ぶ検査で、流産や移植の不成功を減らせる可能性があります。日本産科婦人科学会の見解に基づき、反復する移植不成功や流産の経験がある方などが対象です。一方で、胚への負担や判定が難しい「モザイク胚」の問題もあり、すべての方に勧められる検査ではありません。

費用面で特に注意したいのは、実施する施設によって「先進医療として保険診療と併用できるか」「採卵から移植まで全額自費になるか」が異なる点です。自費になる場合、その周期は保険や東京都の助成の対象外となり、総額が数十万円単位で増えることがあります。希望する場合は、事前に費用の見積もりと、保険回数への影響を確認しましょう。

クリニック選びで確認したいこと

日本生殖医学会が認定する生殖医療専門医が在籍しているか

→当院には生殖医療専門医が在籍しております。

日本産科婦人科学会に登録された生殖補助医療の実施施設か

→当院は日本産科婦人科学会に登録された生殖補助医療の実施施設となります。

費用の目安や見積もりを、治療前にわかりやすく提示してくれるか

→当院は丁寧な説明を心がけております。

希望する先進医療の実施施設として届け出ているか

→当院は複数の先進医療の実施施設となっております。

胚培養士や、心理士・看護師による相談体制があるか

→当院は胚培養士相談や心理士相談を実施しております。

仕事と両立できる診療時間・通いやすさか

→当院は仕事との両立をサポートする為、朝8時〜夜21時までの診療体制をとっております。土日祝日も診療しております。

体外受精の費用と保険適用に関するよくある質問

質問と回答

Q1. 保険適用前に自費で体外受精をしていました。その回数も数えられますか?

A1. いいえ。自費診療や以前の助成制度で受けた治療は、保険の回数には含まれません。保険診療で行った胚移植から数えます。

Q2. 転院したら回数はリセットされますか?

A2. リセットされません。回数は医療機関をまたいで通算されるため、転院先ではこれまでの保険での移植回数を正しく伝えてください。

Q3. 男性側の検査や治療も保険は使えますか?

A3. 精液検査や、精巣から精子を採取する手術(TESEなど)も保険の対象です。男性不妊の治療も、お二人の治療の一部として保険で受けられます。

Q4. 先進医療の費用は高額療養費の対象になりますか?

A4. 対象外です。ただし医療費控除の対象にはなり、東京都のように先進医療費を助成する自治体もあります。

Q5. 費用や治療のことを、病院以外に相談できる場所はありますか?

A5. 都道府県などに設置された「性と健康の相談センター」で、不妊症の医学的な相談や経験者によるピアサポートを受けられます。こども家庭庁の広報サイト「みんなで知ろう、不妊症・不育症のこと」も参考になります。

参考資料・出典

この記事の監修者
松見 泰宇 学術顧問(医師)
学術顧問(医師)
HIROTAKA MATSUMI

資格・専門医

  • 東京大学医学博士
  • 日本産婦人科学会産婦人科指導医・専門医
  • 日本生殖医学会生殖医療専門医
  • 日本抗加齢医学会専門医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 難病指定医
  • 日本産科婦人科遺伝診療学会生殖領域遺伝カウンセリング研修会(反復流産(PGT-A)における遺伝カウンセリング)修了
  • 日本産科婦人科遺伝診療学会周産期領域遺伝カウンセリング研修会(胎児の染色体異常を中心とした出生前遺伝カウンセリング)修了
  • 新生児蘇生インストラクターAコース修了
  • 日本産婦人科乳腺医学会講習会修了
  • 日本臨床免疫学会
  • 日本産科婦人科学会
  • 日本生殖医学会
  • 日本生殖免疫学会
  • 日本不育症学会
  • 日本抗加齢医学会
  • 日本再生医療学会
  • 日本産婦人科乳腺医学会
  • 日本スポーツ協会
  • 産婦人科PRP研究会

経歴

  • 東京大学医学部卒業
  • 東京大学大学院医学系研究科博士課程(生殖・発達・加齢医学)修了
  • 博士論文「A possible role of nitric oxide in the regulation of developmental status of rat ovarian follicles(卵胞発育・閉鎖における一酸化窒素(NO)の関与)」
  • 国立がん研究センター東病院 がん治療開発部
  • 日本学術振興会特別研究員
  • スタンフォード大学生殖生理学教室リサーチフェロー
  • 成育医療研究センター特別研究員
  • 東京大学大学院医学系研究科文部教官助手
  • 帝京大学溝口病院講師
  • 帝京大学非常勤講師
  • 焼津市立総合病院、武蔵野赤十字病院など総合病院にて勤務
  • 秋葉原ARTクリニック、花みずきウィメンズクリニック吉祥寺、両角レディースクリニック、木場公園クリニックなど不妊クリニックにて勤務
  • 愛育病院、きりんウィメンズクリニックなど周産期医療専門病院および産科クリニックにて勤務
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