「妊娠検査薬で陽性が出たのに、病院で『赤ちゃんの袋がまだ見えません』と言われた」 「ネットで調べたら異所性妊娠(子宮外妊娠)という言葉が出てきて、怖くなってしまった」
この記事にたどり着いたあなたは、今まさにそんな不安の中にいるのかもしれません。待ち望んだ妊娠であればなおさら、喜びと心配が入り混じり眠れない夜を過ごしている方もいらっしゃるでしょう。すでに異所性妊娠(子宮外妊娠)と診断され、「どうして私が」「もう妊娠できないのでは」と自分を責めている方もいるかもしれません。
異所性妊娠(子宮外妊娠)は決して珍しい病気ではありません。そして、早く見つけて適切に治療すれば、その後に赤ちゃんを授かる方もたくさんいらっしゃいます。
この記事では、不妊治療に日々携わる生殖医療専門医の立場から異所性妊娠(子宮外妊娠)の原因・症状・診断・治療法に加え、体外受精との関係や治療後に次の妊娠を目指すための考え方まで、できるだけやさしく解説します。
異所性妊娠とは?「子宮外妊娠」との違い
まずは、異所性妊娠がどのような状態なのか基本から整理していきましょう。言葉の意味がわかるだけでも、医師の説明がぐっと理解しやすくなります。
受精卵が子宮内膜以外に着床する妊娠
通常の妊娠では、卵管の中で卵子と精子が出会って受精卵となり数日かけて卵管を通って子宮へ運ばれ、子宮の内側を覆う「子宮内膜」に着床(くっついて根を下ろすこと)します。
異所性妊娠とは、この受精卵が子宮内膜以外の場所に着床してしまう状態です。卵管や卵巣、子宮の入り口(子宮頸管)、お腹の中(腹膜)などに着床すると、赤ちゃんが育つための十分なスペースや血流が得られません。そのため残念ながら妊娠を継続することはできません。
さらに、着床した部位で受精卵の組織(絨毛)が大きくなると、周囲の組織を傷つけて出血したり、卵管が破裂して大量出血を起こしたりすることがあります。命に関わることもあるため早期発見・早期治療がとても大切な病気です。
「子宮外妊娠」から「異所性妊娠」へ名称が変わった理由
以前は「子宮外妊娠」と呼ばれていましたが、現在は「異所性妊娠」が正式な医学用語です。日本産科婦人科学会の用語委員会が2009年に名称変更を提案し学会の統一見解となりました。
名称が変わった理由は、着床部位の中に「子宮の外」とは言い切れない場所があるためです。たとえば、卵管が子宮の壁を貫いている部分に着床する「間質部妊娠」や、子宮の入り口に着床する「頸管妊娠」は厳密には子宮の一部です。正常な場所(子宮内膜)とは「異なる場所」という意味で、異所性妊娠と呼ぶほうが正確なのです。
近年は、帝王切開の傷あとに着床する「帝王切開瘢痕部妊娠」も注目されています。一般には今も「子宮外妊娠」という言葉が使われますが、意味はほぼ同じと考えて差し支えありません。
異所性妊娠が起こる場所と頻度
9割以上は卵管妊娠
異所性妊娠のうち最も多いのが卵管に着床する「卵管妊娠」で全体の90%以上を占めます。卵管は直径わずか数ミリの細い管で受精卵が成長すると内側から押し広げられ、6〜8週頃に腹痛や出血、破裂を起こしやすくなります。
卵管妊娠の中でも、卵管の中央から先端寄りの「膨大部」が最も多い部位です。一方、子宮に近い間質部妊娠は異所性妊娠の2〜4%と少ないものの、周囲の血流が豊富なため破裂すると出血量が多くなりやすいのが特徴です。そのほか卵巣妊娠、頸管妊娠、腹膜妊娠などがありますがいずれもです。
全妊娠の約1〜2%に起こる
異所性妊娠は全妊娠のおよそ1〜2%に起こるとされています。50〜100人に1人程度と考えると決して他人事ではない頻度です。
以前は、大量出血によるショック状態で救急搬送されるケースが少なくありませんでした。しかし、現在は高感度の妊娠検査薬や経腟超音波検査(腟から細いプローブを入れて子宮や卵巣を観察する検査)が普及し、破裂する前の早い段階で見つかることが増えています。早く見つかるほど体への負担が少ない治療を選びやすくなり将来の妊娠に向けた選択肢も広がります。
異所性妊娠の原因とリスク因子
異所性妊娠は、主に「受精卵がうまく子宮へ運ばれない」ことで起こります。ただし、リスク因子がまったくない方にも起こることがあり、半数近くははっきりした原因がわからないとも言われています。「何か悪いことをしたから」ではないことをまず知っておいてください。
卵管のダメージ(性感染症・手術・子宮内膜症)
最も大きな原因は卵管の通り道や働きが損なわれていることです。卵管の内側には細かい毛(線毛)があり、受精卵を子宮へ送り出す「ベルトコンベア」の役割をしています。この働きが弱まったり、卵管が狭くなったりすると受精卵が途中で止まって着床してしまいます。
代表的な原因がクラミジアなどの性感染症です。クラミジアは自覚症状がほとんどないまま卵管に炎症を起こし、癒着(組織同士がくっつくこと)や狭窄を残すことがあります。ほかにも、骨盤内の炎症、虫垂炎や卵管・卵巣の手術歴、子宮内膜症による癒着も卵管のダメージにつながります。
過去の異所性妊娠・喫煙など
一度異所性妊娠を経験した方は、次の妊娠でも再び起こるリスクが高くなります。もともと卵管に何らかの問題を抱えている場合が多いためです。
また、喫煙は卵管の線毛の動きを悪くすることが知られており異所性妊娠のリスク因子の一つです。さらに、子宮内避妊器具(IUD)を使っている方や卵管不妊手術を受けた方は、そもそも妊娠することがまれですが、万一妊娠した場合には異所性妊娠である割合が高くなります。
【専門医解説】不妊治療・体外受精と異所性妊娠の関係
不妊治療を受けている方から「体外受精なら子宮に直接戻すから異所性妊娠にはならないですよね?」と聞かれることがあります。ここは生殖医療専門医として正確にお伝えしたいポイントです。
体外受精でも異所性妊娠は起こる
結論から言うと体外受精でも異所性妊娠は起こり得ます。胚(受精卵)を子宮の中に移植しても、子宮の自然な収縮によって胚が卵管のほうへ移動しそこで着床することがあるためです。
もともと卵管にトラブルがあって体外受精を選んでいる方が多いこともリスクが高めになる理由です。かつて生殖補助医療(ART)後の異所性妊娠は2〜5%程度と自然妊娠より高い頻度が報告されていました。また、日本の全国登録データの解析では新鮮胚移植において排卵誘発(卵巣刺激)が異所性妊娠のリスクを高めることも示されています。
凍結融解胚盤胞の単一胚移植でリスクは下がる
一方で、移植の方法を工夫することでリスクを下げられることもわかってきました。日本の研究では、受精後5〜6日目まで育てた「胚盤胞」を凍結し、別の周期に1つだけ戻す「凍結融解胚盤胞の単一胚移植」で異所性妊娠が少ないことが報告されています。
日本産科婦人科学会のART登録データを用いた解析(2014〜2017年)では、凍結した胚を1つ移植して臨床妊娠に至った153,354件のうち異所性妊娠は792件(0.52%)でした。現在の日本では移植の多くが凍結胚・単一胚移植で行われており、ART後の異所性妊娠は以前より減っていると考えられます。ただし、移植周期の子宮内膜の準備方法などによってリスクが変わるという報告もありゼロではありません。
正所異所同時妊娠(内外同時妊娠)にも注意
もう一つ知っておいていただきたいのが「正所異所同時妊娠」です。子宮内の正常な妊娠と異所性妊娠が同時に起こる状態で、自然妊娠ではきわめて稀ですが複数の胚を移植した場合や排卵誘発を行った場合には頻度が上がるとされています。
子宮の中に胎嚢(赤ちゃんを包む袋)が見えるとひと安心しがちですが、強い腹痛や出血がある場合は子宮の外にも妊娠がないかを確認する必要があります。不妊治療で妊娠した方は症状があれば遠慮せず、治療を受けているクリニックに早めに相談してください。
異所性妊娠の症状と受診の目安
初期は無症状のことも多い
異所性妊娠でも初めのうちは生理の遅れや胸の張り、つわりなど、通常の妊娠と同じ変化しか感じないことが少なくありません。妊娠検査薬も陽性になるためご自身で区別することはほぼ不可能です。だからこそ症状の有無にかかわらず、妊娠がわかったら産婦人科で「子宮の中に妊娠しているか」を確認することが大切です。
注意したい症状
症状が出やすいのは妊娠6〜8週頃です。次のような症状がある場合は早めに受診しましょう。
- 下腹部の痛み(片側だけが痛む、チクチク・ズキズキする痛みが続く)
- 少量の不正出血が続く(生理と間違えやすい茶色〜赤い出血)
- 肛門のあたりが押されるような違和感、排便時の痛み
出血を「生理が来た」と思い込み妊娠に気づかないまま過ごしてしまうケースもあります。いつもの生理と量や期間が違うと感じたら妊娠検査薬やクリニックの診察で確認してみてください。
すぐに救急受診すべきサイン
次のような症状は卵管破裂などでお腹の中に出血している可能性があります。夜間や休日でも迷わず救急外来を受診するか救急車を呼んでください。
- 我慢できないほどの強い腹痛
- 肩の先の痛み(お腹の中の血液が横隔膜を刺激して起こることがあります)
- めまい、冷や汗、顔面蒼白、意識が遠のく感じ
受診の際は妊娠の可能性があること、最終月経日、不妊治療中であれば移植日を伝えると診断がスムーズになります。
異所性妊娠はいつわかる?診断の流れ
妊娠検査薬の陽性=子宮内の妊娠とは限らない
市販の妊娠検査薬は、尿中のhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン:受精卵の組織から分泌されるホルモン)に反応します。異所性妊娠でもhCGは分泌されるため、陽性になります。つまり、検査薬では「妊娠しているか」はわかっても「どこに妊娠しているか」はわかりません。
正常な妊娠では妊娠5週前後から経腟超音波で子宮内に胎嚢が見え始めます。妊娠6週を過ぎても子宮内に胎嚢が確認できない場合は異所性妊娠が強く疑われます。
経腟超音波とhCG値の組み合わせで判断
異所性妊娠の診断は一度の検査で決まらないことも多く、経腟超音波検査と血液中のhCG値を組み合わせて慎重に判断します。
目安として血中hCG値が1,500〜2,000IU/L程度になると、正常妊娠なら経腟超音波で子宮内に胎嚢が見えるとされます。それ以上の値なのに子宮内に何も見えない場合や、卵管のあたりに腫れや胎嚢のような像が見える場合、お腹の中に血液がたまっている場合は、異所性妊娠を強く疑います。
また、正常妊娠ではhCG値が2日ごとに大きく上昇していきます。数日おきに採血して値の増え方を確認することも、大切な判断材料です。
「妊娠部位不明(PUL)」と言われたら
妊娠反応は陽性なのに子宮の中にも外にも妊娠が確認できない状態を「妊娠部位不明(PUL:Pregnancy of Unknown Location)」と呼びます。これは診断がつかないのではなく「まだ判断できる時期ではない」という意味の言葉です。
PULと言われた方の多くは、時間がたつにつれて「週数が早いだけの正常妊娠」「自然に終わる流産」「異所性妊娠」のいずれかがはっきりしてきます。不安な気持ちで何度も通院するのはつらいものですが、決められた日に必ず再診を受けることがご自身の体を守ることにつながります。
不妊治療で妊娠した場合は移植日や排卵日から週数を正確に把握できるため、早めに異変に気づきやすいというメリットがあります。当院でも妊娠判定から胎嚢確認・心拍確認まで、妊娠初期の大切な時期を丁寧に見守っています。
異所性妊娠の治療法
治療法は着床している場所、hCG値、出血や破裂の有無、そして「将来妊娠を希望するかどうか」によって選びます。大きく分けて待機療法・薬物療法・手術療法の3つがあります。
待機療法(経過観察)
症状がほとんどなくhCG値が低くて自然に下がってきている場合は、受精卵の組織が自然に吸収されるのを待つ「待機療法」を選ぶことがあります。体への負担が最も少ない方法です。
ただし、途中でhCG値が上がったり、腹痛が強くなったりした場合は薬物療法や手術に切り替えます。hCG値が十分に下がるまで数日〜1週間ごとの採血と診察が必要です。
薬物療法(メトトレキサート)
メトトレキサート(MTX)は、細胞が増えるのを抑える薬で絨毛の成長を止めて組織を吸収させる目的で使います。未破裂でhCG値が比較的低く胎児の心拍が確認されていない場合などが対象です。海外では標準的な治療の一つですが、日本では異所性妊娠への使用が添付文書上の適応外のため各医療機関の方針と十分な説明・同意のもとで行われています。
注射後はhCG値が下がるまで定期的に通院します。効果が不十分で追加の注射や手術が必要になることもあり、海外の報告ではおよそ3割に追加の手術が必要だったとされています。また、薬の影響が残らないよう一般に治療後しばらく(3か月程度が目安)は避妊が勧められます。
手術療法(腹腔鏡手術)
破裂している場合、hCG値が高い場合、胎児心拍がある場合などは手術を行います。現在は、お腹に数か所の小さな穴を開けてカメラで行う腹腔鏡手術が第一選択となることが多く、日本産科婦人科内視鏡学会も卵管妊娠に対する腹腔鏡手術のガイドラインを示しています。大量出血でショック状態の場合は開腹手術で救命を優先します。
卵管切除術
妊娠している側の卵管を切除する方法です。確実に病変を取り除けるため、同じ卵管での再発や組織の取り残しがありません。反対側の卵管が正常であれば自然妊娠を目指すことも可能です。
卵管線状切開術(卵管温存手術)
卵管に切り込みを入れて妊娠組織だけを取り出し卵管を残す方法です。将来の妊娠を強く希望し、反対側の卵管に問題がある場合などに検討されます。術後の卵管の通過性は80%程度、その後の妊娠は60〜70%程度と報告されています。一方で、組織が残ってhCGが下がらない「存続絨毛症(持続性異所性妊娠)」や、同じ卵管での再発のリスクがあるため、術後もhCG値の確認が欠かせません。
なお、海外の大規模な比較試験では反対側の卵管が正常であれば、卵管を温存しても切除してもその後の自然妊娠率に大きな差はなかったと報告されています。
治療法の比較表
| 治療法 | 主な対象 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 待機療法 | 無症状でhCG値が低く、自然に低下している | 体への負担が最も少ない | 頻回な通院が必要。途中で治療の切り替えもある |
| 薬物療法(MTX) | 未破裂でhCG値が比較的低く、心拍がない | 手術を避けられ、卵管を残せる | 日本では適応外。追加治療の可能性、治療後の避妊期間 |
| 卵管切除術 | 破裂例、再発例、出血が多い場合など | 確実に治療でき、同じ卵管の再発がない | 切除した側の卵管からは妊娠できなくなる |
| 卵管線状切開術 | 未破裂で将来の妊娠を強く希望する場合 | 卵管を残せる | 存続絨毛症や同じ卵管での再発のリスク |
手術や入院が必要な治療は健康保険の対象となり、医療費が高額になった場合は高額療養費制度も利用できます。どの治療法が合っているかは主治医と十分に話し合って決めましょう。不妊治療中の方は、「今後体外受精を考えている」ことも必ず伝えてください。治療法の選択が変わる場合があります。
異所性妊娠のあと、また妊娠できる?
治療後の妊娠と再発の可能性
異所性妊娠を経験しても、その後に元気な赤ちゃんを授かる方はたくさんいらっしゃいます。特に、反対側の卵管が正常であれば自然妊娠も十分に期待できます。
一方で、次の妊娠で再び異所性妊娠となる割合は一般に1割前後と報告されています。次に妊娠がわかったときは症状がなくても早めに受診し、子宮内に胎嚢があるかを確認してもらいましょう。
次の妊娠を目指せる時期の目安
待機療法や手術のあとは、hCG値が陰性になり生理が再開すれば医師と相談のうえで妊活を再開できることが多いです。メトトレキサートを使った場合は一般に3か月程度あけることが勧められます。
体だけでなく心の回復にかかる時間は人それぞれです。「早く次を」と焦る気持ちも「しばらく考えたくない」という気持ちもどちらも自然なものです。年齢や卵巣の状態によって最適なタイミングは変わるため不安な方は一度、生殖医療専門医にご相談ください。
【専門医の視点】卵管を失っても体外受精という道がある
両側の卵管を切除した方や残った卵管にも通過障害がある方でも、妊娠をあきらめる必要はありません。体外受精は卵巣から取り出した卵子と精子を体外で受精させ、胚を直接子宮に戻す治療のため卵管がなくても妊娠を目指せます。
2022年4月からは体外受精や顕微授精も保険適用となり、治療開始時に女性が43歳未満であれば、胚移植は40歳未満で1子ごとに通算6回、40歳以上43歳未満で通算3回まで保険で受けられます。前述のとおり、凍結融解胚盤胞を1つずつ移植する方法は、異所性妊娠のリスクを抑えるうえでも有利と考えられます。
当院では、体外受精の受精率60.6%、顕微授精の受精率95.2%、良好胚凍結率71.8%という培養室(ラボ)の実績があります(当院で実施した206件のデータ。受精率は正常受精のみ)。卵管の状態を調べる子宮卵管造影検査から体外受精まで一人ひとりの状況に合わせてご提案しています。
異所性妊娠を経験したあなたへ 心のケア
「私のせい?」と自分を責めないで
異所性妊娠は、妊娠の喜びと同時に、赤ちゃんを失う悲しみ、手術や治療への恐怖、将来への不安が一度に押し寄せる出来事です。気持ちが落ち込んだり、涙が止まらなかったり、妊婦さんを見るのがつらくなったりするのは決しておかしなことではありません。
そしてどうか「あのとき無理をしたから」「もっと早く気づいていれば」とご自身を責めないでください。異所性妊娠の多くは受精卵の移動という本人にはコントロールできない仕組みで起こります。パートナーも同じように傷ついていることがあります。気持ちを言葉にして二人で分かち合うことも回復の助けになります。
相談できる窓口を知っておく
つらさを一人で抱え込まないために、相談先を知っておきましょう。こども家庭庁は「流産死産等を経験された方へ」という情報ページを設けており、各自治体の「性と健康の相談センター」や「不妊専門相談センター」でも妊娠や不妊に関する悩みを相談できます。
当院には臨床心理士・助産師が常駐しており、心理カウンセリングも行っています。治療の話だけでなく、「気持ちの整理がつかない」というご相談も遠慮なくお寄せください。
異所性妊娠のリスクを減らすためにできること
性感染症の検査・治療とブライダルチェック
異所性妊娠を完全に防ぐ方法はありませんが、リスクを減らすためにできることはあります。最も大切なのは、卵管を傷つける原因となるクラミジアなどの性感染症を早く見つけて治療することです。自覚症状がないことが多いため検査を受けなければ気づけません。感染がわかった場合はパートナーと一緒に治療することが再感染を防ぐポイントです。
妊娠がわかったら早めに受診する
妊娠検査薬で陽性が出たら、妊娠5〜6週頃を目安に産婦人科を受診し子宮の中に妊娠しているかを確認しましょう。不妊治療中の方はクリニックから指示された判定日・受診日を必ず守ってください。
「仕事が忙しくて受診が後回しになってしまう」という方も少なくありません。当院は朝8時から夜21時までの幅広い診療時間と土日祝日も診療しておりますので、お仕事帰りや休日にも受診いただけます。
異所性妊娠(子宮外妊娠)に関するよくある質問

Q1. 異所性妊娠が自然に治ることはありますか?
A1. 卵管内の妊娠組織が自然に吸収され、治療をしなくてもhCG値が下がっていくことはあります。ただし、自然に治るかどうかは経過を見なければわかりません。自己判断せず、hCG値が下がりきるまで医師の指示どおりに通院してください。
Q2. 片方の卵管がなくても自然妊娠できますか?
A2. 反対側の卵管が正常であれば自然妊娠は可能です。卵管は反対側の卵巣から排卵された卵子を取り込むこともあります。1年ほど妊娠しない場合や35歳以上で半年たっても妊娠しない場合は、早めに不妊治療専門のクリニックへご相談ください。
Q3. 体外受精で妊娠した場合、いつまで注意が必要ですか?
A3. 子宮内に胎嚢が確認できれば多くの場合はひと安心ですが、まれに正所異所同時妊娠のこともあります。胎嚢確認後も強い腹痛や出血、めまいなどがあればすぐに受診してください。
異所性妊娠は心にも体にも大きな負担がかかる出来事です。しかし、あなたの妊娠への道がここで閉ざされるわけではありません。不安なこと、わからないことがあれば一人で悩まずにご相談ください。生殖医療クリニック錦糸町駅前院では、専門スタッフがあなたの気持ちに寄り添いながら次の一歩をサポートします。ご予約はLINE・WEBから24時間受け付けています。
参考文献・出典
- 日本産科婦人科学会 用語委員会「ectopic pregnancy 子宮外妊娠の日本語訳について」日産婦誌 61:886-890, 2009(解説:臨床婦人科産科 64巻7号)
- 村上圭祐・板倉敦夫「異所性妊娠の病因と疫学」臨床婦人科産科 76巻2号, 2022
- Jwa SC, et al. Effect of endometrial preparation protocols on the risk of ectopic pregnancy for frozen embryo transfer. Scientific Reports, 2021(日本産科婦人科学会ART登録データ)
- Ishihara O, et al. Frozen-thawed blastocyst transfer reduces ectopic pregnancy risk: an analysis of single embryo transfer cycles in Japan. Fertil Steril 2011;95:1966-9
- Jwa SC, et al. Ovarian stimulation increases the risk of ectopic pregnancy for fresh embryo transfers. Fertil Steril 2020;114:1198-1206
- 明石祐史・斎藤豪「腹腔鏡下手術の実際」臨床婦人科産科 64巻7号, 2010(日本産科婦人科内視鏡学会「卵管妊娠に対する腹腔鏡手術のガイドライン」を引用)
- 子宮外妊娠に対する腹腔鏡下線状切開術(医学書院)
- 加藤俊平ほか「メトトレキサート単独投与による非観血的保存的治療が可能であった卵管間質部妊娠4症例」2021
- メディカルノート「異所性妊娠の治療」(MTXの国内適応外の記載)
- ケアネット:GEM3試験(Lancet 2023)(MTX治療の約30%で追加手術)
- 日本医事新報社:胎嚢確認とhCG値の目安
- MSDマニュアル家庭版「異所性妊娠」
- Mol F, et al. Salpingotomy versus salpingectomy in women with tubal pregnancy (ESEP study). Lancet 2014(卵管温存と切除で自然妊娠率に大差なし。リンク未確認のため掲載前に原典をご確認ください)
- こども家庭庁「母子保健・不妊症・不育症など」(流産死産等を経験された方へ/性と健康の相談センター/不妊治療の保険適用)
松見 泰宇
資格・専門医
- 東京大学医学博士
- 日本産婦人科学会産婦人科指導医・専門医
- 日本生殖医学会生殖医療専門医
- 日本抗加齢医学会専門医
- 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
- 難病指定医
- 日本産科婦人科遺伝診療学会生殖領域遺伝カウンセリング研修会(反復流産(PGT-A)における遺伝カウンセリング)修了
- 日本産科婦人科遺伝診療学会周産期領域遺伝カウンセリング研修会(胎児の染色体異常を中心とした出生前遺伝カウンセリング)修了
- 新生児蘇生インストラクターAコース修了
- 日本産婦人科乳腺医学会講習会修了
- 日本臨床免疫学会
- 日本産科婦人科学会
- 日本生殖医学会
- 日本生殖免疫学会
- 日本不育症学会
- 日本抗加齢医学会
- 日本再生医療学会
- 日本産婦人科乳腺医学会
- 日本スポーツ協会
- 産婦人科PRP研究会
経歴
- 東京大学医学部卒業
- 東京大学大学院医学系研究科博士課程(生殖・発達・加齢医学)修了
- 博士論文「A possible role of nitric oxide in the regulation of developmental status of rat ovarian follicles(卵胞発育・閉鎖における一酸化窒素(NO)の関与)」
- 国立がん研究センター東病院 がん治療開発部
- 日本学術振興会特別研究員
- スタンフォード大学生殖生理学教室リサーチフェロー
- 成育医療研究センター特別研究員
- 東京大学大学院医学系研究科文部教官助手
- 帝京大学溝口病院講師
- 帝京大学非常勤講師
- 焼津市立総合病院、武蔵野赤十字病院など総合病院にて勤務
- 秋葉原ARTクリニック、花みずきウィメンズクリニック吉祥寺、両角レディースクリニック、木場公園クリニックなど不妊クリニックにて勤務
- 愛育病院、きりんウィメンズクリニックなど周産期医療専門病院および産科クリニックにて勤務