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【永久保存版】妊娠前の検査|生殖医療専門医が解説する年齢別プランと対策|安心な妊娠準備ガイド

  • 公開日:2025.12.11
  • 更新日:2025.12.11
【永久保存版】妊娠前の検査|生殖医療専門医が解説する年齢別プランと対策|安心な妊娠準備ガイド|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院

妊娠前検査で安心な妊娠準備を

「赤ちゃんが欲しい」そう思ったとき、期待と同時に不安も感じていませんか?「私の体は妊娠できる状態なのだろうか」「健康な赤ちゃんを授かれるだろうか」そんな気持ちを抱えているあなたの不安は、とても自然なことです。

多くの患者様と向き合ってきた経験から、妊娠前の適切な検査は安心して妊娠・出産を迎えるための大切な第一歩だと確信しています。検査を通じてあなたの体の状態を正確に把握し、必要に応じて改善することでより健康な妊娠への道筋が見えてきます。

この記事では、妊娠前に受けるべき検査について医学的根拠に基づきながら、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。あなたの年齢や状況に応じた検査プランもご提案しますので、ぜひ最後までお読みください。

妊娠前検査とは?生殖医療専門医が解説する重要性

なぜ妊娠前の検査が必要なのか

妊娠前検査(プレコンセプションケア検査)とは、妊娠を希望する女性が妊娠前に受ける健康チェックのことです。単に「妊娠できるかどうか」を調べるだけでなく、母体と赤ちゃんの健康を守るための包括的な検査です。

実は妊娠してから初めて発見される病気や異常では、対処が遅れてしまうケースがあります。例えば風疹の抗体がない状態で妊娠すると赤ちゃんに先天性風疹症候群のリスクがありますが、妊娠中はワクチン接種ができません。また甲状腺機能異常は流産リスクを高めますが、妊娠前に発見・治療すればそのリスクを大幅に減らすことができます。

経験上、患者様の中にも妊娠前検査で貧血や甲状腺機能低下症が見つかり、治療後に無事に妊娠・出産された方が多くいらっしゃいます。妊娠前の検査は、決して「不安を煽るもの」ではなく「安心して妊娠を迎えるための準備」なのです。

検査を受けるベストなタイミング

妊娠前検査を受ける理想的なタイミングは、妊娠を希望する3~6ヶ月前です。この期間があれば、検査結果に基づいて必要な治療や生活習慣の改善を行うことができます。

具体的には以下のようなスケジュールをおすすめしています。

妊娠希望の6ヶ月前初回検査の実施
妊娠希望の3ヶ月前必要に応じた追加検査や治療効果の確認
妊娠希望の1ヶ月前最終チェックと妊活開始の準備

ただし、「もう妊活を始めてしまった」「すぐに妊活をしたい」という方も心配はいりません。妊娠の可能性がある時期を避けて検査を受けることは可能ですし、多くの検査は妊娠初期でも実施できます。大切なのは、できるだけ早い段階で自分の体の状態を知ることです。

推奨される基本検査項目 

感染症検査

妊娠前に最も重要な検査の一つが感染症検査です。これらの感染症は母子感染により赤ちゃんに重大な影響を与える可能性があるため、必ず確認しておく必要があります。

風疹抗体検査は特に重要です。妊娠初期に風疹に感染すると、赤ちゃんに先天性風疹症候群(難聴、心疾患、白内障など)を引き起こす可能性があります。抗体価が低い場合は妊娠前にワクチン接種を行いましょう。ただし、ワクチン接種後2ヶ月は避妊が必要なので注意が必要です。

B型・C型肝炎は、母子感染のリスクがありますが、適切な対策により感染を防ぐことができます。HIV梅毒も同様に、早期発見・治療により母子感染のリスクを大幅に減らすことができます。

クラミジア検査は、クラミジア感染の既往がないかの確認を行います。感染歴がある場合は、母子感染の原因や卵管閉塞の原因となることもあるので、詳細な検査をおすすめすることがあります。

これらの検査は採血だけで簡単に行うことができ、結果も1週間程度で判明します。万が一陽性だった場合でも適切な治療により健康な妊娠・出産は十分可能ですので、まずは検査を受けることが大切です。

甲状腺機能検査

甲状腺ホルモンは、妊娠の成立と維持、そして赤ちゃんの脳の発達に重要な役割を果たします。甲状腺機能異常(特に甲状腺機能低下症)は、不妊、流産、早産のリスクを高めるだけでなく、赤ちゃんの知能発達にも影響を与える可能性があります。

検査では、TSH(甲状腺刺激ホルモン)とFT4(遊離サイロキシン)を測定します。妊娠を希望する女性の場合、TSHは2.5μIU/mL未満が理想的とされています。もし異常が見つかった場合は、内服薬による治療で正常化することができ、治療を続けながら安全に妊娠・出産することができます。

最近の研究では、軽度の甲状腺機能低下症でも妊娠に影響することがわかってきました。自覚症状がない場合も多いため、妊娠前の検査で確認することをおすすめします。

貧血検査と栄養状態の確認

妊娠中は赤ちゃんにも血液を供給するため、普段以上に鉄分が必要になります。妊娠前から貧血がある場合、妊娠中にさらに悪化し早産や低出生体重児のリスクが高まります。

血液検査ではヘモグロビン値だけでなく、フェリチン(貯蔵鉄)も確認することを推奨します。日本人女性の約40%が潜在的な鉄欠乏状態にあると言われており、ヘモグロビンが正常でもフェリチンが低い「隠れ貧血」の方も多くいらっしゃいます。

また、葉酸やビタミンD、ビタミンB12などの栄養素も重要です。特に葉酸は、妊娠初期の神経管閉鎖障害を予防する効果があるため、妊娠前から1日400μgの摂取が推奨されています。検査で不足が判明した場合は、食事指導やサプリメントで改善していきます。

子宮頸がん検診

子宮頸がんは、20~30代の女性に増加している疾患です。妊娠中に子宮頸がんが発見されると、治療の選択肢が限られてしまうため、妊娠前の検診が重要です。

検査は子宮頸部の細胞を採取して行う細胞診で、痛みもほとんどありません。もし異常が見つかった場合でも、前がん病変の段階であれば簡単な処置で治療でき、その後の妊娠・出産も可能です。

2年以内に検診を受けていない方は、必ず妊娠前に受けることをおすすめします。またHPVワクチンを接種していても定期的な検診は必要です。

年齢・状況別の推奨検査プラン

30代前半の方への推奨検査

30代前半は妊娠・出産に適した年齢ですが、現代女性特有の生活習慣による影響も考慮する必要があります。基本的な検査に加えて、以下の検査をおすすめします。

AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査は、卵巣予備能(卵巣に残っている卵子の数の目安)を評価する検査です。実年齢と卵巣年齢が一致しない場合もあり、早めに知っておくことで妊活のタイミングを考える参考になります。

超音波検査では、子宮筋腫や卵巣嚢腫の有無を確認します。小さな筋腫は妊娠に影響しないことが多いですが、位置や大きさによっては不妊の原因となることもあります。

また、生活習慣病のスクリーニングも重要です。血糖値、脂質、血圧などを確認し、必要に応じて生活習慣の改善指導を行います。特に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)のリスクがある方は、インスリン抵抗性の評価も行なっておくといいでしょう。

35歳以上の方への追加検査

35歳以上の方は、基本検査に加えてより詳細な検査をおすすめしています。年齢が上がることにより卵子の質が低下し、染色体異常のリスクが増加するため、妊娠前からの準備がより重要になります。

詳細なホルモン検査として、月経3日目のFSH、LH、E2を測定し、卵巣機能を評価します。これらの値から、排卵誘発剤への反応性や体外受精の成功率を予測することができます。

血液凝固系検査も推奨します。加齢とともに血栓症のリスクが上昇し、不育症の原因となることがあります。場合によっては、抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患のスクリーニングも同時に行うことをおすすめします。

不妊治療を検討している方の検査

1年以上妊娠しない場合や年齢的な要因で早めの妊娠を希望する方には、不妊症の原因を調べる詳しい検査をおすすめします。

卵管造影検査は、卵管の通過性を確認する重要な検査です。卵管閉塞は不妊原因の約30%を占めており、この検査により体外受精が必要かどうかの判断ができます。

子宮鏡検査は、子宮内膜ポリープや子宮内膜症、子宮奇形などを直接観察できます。これらの異常は着床障害の原因となることがあり、適切な治療により妊娠率の改善が期待できます。

免疫学的検査は、抗精子抗体や抗核抗体などの確認を行います。原因不明不妊の中には、免疫学的要因が関与している場合があり、適切な治療により妊娠に至るケースもあります。

パートナーも一緒に|男性の妊娠前検査

精液検査の重要性

不妊原因の約半数は男性側にあると言われていますが、男性の検査率は依然として低いのが現状です。精液検査は、精子の数、運動率、形態を評価する基本的な検査で、自然妊娠の可能性を予測する重要な指標となります。

WHO基準では、精子濃度1,500万/ml以上、運動率40%以上が正常とされていますが、これはあくまで最低基準です。実際の妊娠率を考えると、精子濃度4,000万/ml以上、運動率50%以上が望ましいとされています。

検査結果が基準値以下の場合でも生活習慣の改善(禁煙、節酒、適正体重の維持、十分な睡眠)により、3ヶ月程度で改善することが多くあります。また、精索静脈瘤などの治療可能な原因が見つかった場合は適切な治療により精子所見の改善が見込めます。

また、精子の状態は日々変動し1回の検査では正確な評価ができないため、精液検査は複数回行うことがあります。

感染症検査と生活習慣チェック

男性も女性と同様に、B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、クラミジアなどの感染症検査を受けることをおすすめします。これらの感染症は性行為により配偶者に感染する可能性があり、妊娠前に確認しておくことが重要です。

また、風疹抗体検査も男性に推奨されます。妊娠中の女性が風疹に感染する経路として、パートナーからの感染が多いためです。抗体がない場合はワクチンを接種しましょう。

生活習慣のチェックも重要です。喫煙は精子のDNA損傷を引き起こし、流産率を上昇させます。過度の飲酒、肥満、ストレス、高温環境(サウナ、長時間の入浴)も精子の質を低下させます。また、一部の薬剤(降圧薬、抗うつ薬、AGA治療薬など)も精子に影響することがあるため、服用薬の確認も行います。

検査結果の見方と対処法

異常が見つかった場合の対応

検査で異常が見つかった場合、まず大切なのは「慌てないこと」です。多くの異常は適切な治療により改善可能であり、健康な妊娠・出産を諦める必要はありません。

例えば甲状腺機能低下症が見つかった場合、投薬治療でレボチロキシンという薬を服用することで通常2~3ヶ月で正常値に戻ります。妊娠中も服薬を継続することで、健康な妊娠経過を送ることができます。

貧血の場合は、鉄剤の内服や食事指導により改善します。フェリチンが30ng/ml未満の場合は、鉄剤の服用を3~6ヶ月続けることで妊娠に適した状態まで改善できます。

感染症が見つかった場合も、それぞれに応じた治療法があります。B型肝炎の場合は、母子感染予防プログラムにより赤ちゃんへの感染をほぼ100%防ぐことができます。

検査結果を踏まえた妊活プラン

検査結果を総合的に評価し、個々の状況に応じた妊活プランを立てることが重要です。全ての検査が正常であれば、自然妊娠を目指して妊活を開始できます。

軽度の異常がある場合は、治療と並行して妊活を行うことも可能です。例えば軽度な甲状腺機能異常や潜在的な鉄欠乏の場合、治療を開始してすぐに妊活を始めても問題ありません。

より積極的な治療が必要な場合は、治療を優先して改善後に妊活を開始します。この期間を「準備期間」と捉え、葉酸の摂取開始、体重管理、ストレス対策など妊娠に向けた体づくりを行います。

年齢的な要因がある場合は、治療と不妊治療を並行して進めることもあります。例えば38歳以上の方で軽度の異常がある場合、治療をしながら人工授精や体外受精を検討することもありますので、主治医とよく相談を行なってください。

妊娠前検査の費用と保険適用

自費検査と保険適用の違い

妊娠前検査の費用は、検査項目により保険適用の有無が異なります。症状がある場合や、医学的に必要と判断された検査は保険適用となりますが、予防的な検査は自費となることが多いです。詳細は個々の医療機関で確認してください。

保険適用となる検査

  • 月経不順がある場合のホルモン検査
  • 貧血症状がある場合の血液検査
  • 不正出血がある場合の超音波検査
  • 甲状腺疾患の疑いがある場合の甲状腺機能検査 など

自費となることが多い検査

  • AMH検査(約5,000~8,000円)
  • 感染症スクリーニング検査(約10,000~15,000円)
  • ビタミンD検査(約3,000~5,000円)
  • 詳細な栄養状態検査(約10,000~20,000円)

ただし、自治体によっては妊娠前検査の助成制度があります。風疹抗体検査は多くの自治体で無料化されており、一部の自治体では包括的な妊娠前検査への助成も始まっています。

よくある質問|生殖医療専門医がお答えします

Q-A

Q1: 検査結果が全て正常でも妊娠しない場合はありますか?

A1: はい、あります。現在の医学では解明されていない不妊原因も存在します。検査結果が正常でも1年以上妊娠しない場合は、より詳しい検査や不妊治療を検討することをおすすめします。

Q2: ブライダルチェックと妊娠前検査は違いますか?

A2: 基本的な検査項目は重複しますが、妊娠前検査の方がより妊娠に特化した詳しい検査を行います。ブライダルチェックを受けた方も、妊娠を具体的に考え始めたら追加検査を検討してください。

Q3: 検査は生理中でも受けられますか?

A3: 検査により異なります。ホルモン検査は月経3日目が理想的ですが、感染症検査や甲状腺機能検査は周期に関係なく受けられます。超音波検査は月経終了後が望ましいです。

Q4: パートナーが検査を嫌がる場合はどうすればよいですか?

A4: 男性の検査への抵抗感は理解できます。まずは精液検査の重要性を説明し、自宅で採取して持参できることを伝えてください。それでも難しい場合は女性の検査を先行し、必要に応じて再度相談することも一つの方法です。

Q5: 妊娠前検査はどこで受けられますか?

A5: 産婦人科、不妊治療クリニック、一部の内科でも受けられます。包括的な検査を希望する場合は、生殖医療専門医のいる施設をおすすめします。

まとめ|あなたに合った妊娠前検査を

妊娠前検査は、健康な妊娠・出産への第一歩です。この記事でご紹介した検査を全て受ける必要はありません。あなたの年齢、健康状態、ライフプランに応じて、必要な検査を選択することが大切です。

検査で異常が見つかっても、多くは治療可能です。むしろ、妊娠前に発見できたことで、適切な対処ができると前向きに捉えてください。

最後に、妊娠前検査は「パートナーと一緒に受ける」ことをおすすめします。検査を通じてお二人で妊娠・出産について話し合い、協力して準備を進めることでより良い妊娠生活を送ることができるでしょう。

一人で悩まず、まずは専門医にご相談ください。あなたの幸せな妊娠・出産を心から応援しています。

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