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「先生から『今回の胚盤胞はグレード3BCです』と言われたけれど、これって良いの？悪いの？」
体外受精を受けられている方々のなかには、受精卵のグレードの良し悪しに関わらず不安を感じたことがある方も多いのではないでしょうか？
私自身も胚培養士として毎日多くの患者様と向き合うなかで、胚のグレードや数字、アルファベットなどに一喜一憂される方を非常に多く目にします。確かにグレードは重要な項目ではあるものの、「グレードがすべてではない！」ということを是非知っていただきたいと常々考えています。
今回のコラムでは、胚盤胞のグレード評価に関する専門的な知識をできるだけ分かりやすくお伝えするとともに、グレードが低い場合でも過度に心配しなくてよい理由についても解説します。
これを読んでいただいている方の不安が少しでも和らぐことで、前向きな気持ちで治療に臨めるようになれば幸いです。
胚盤胞とは？受精卵の成長過程を理解しよう
卵子・精子の受精から胚盤胞までの道のり
グレード、あるいは胚盤胞について理解していくためには、まず受精卵の成長過程を知ることが大切です。
卵子と精子の受精が成立すると、受精卵は細胞分裂を繰り返しながら成長していきます。受精後1日目には、細胞内に前核と呼ばれる卵子由来・精子由来のそれぞれの核が確認できるようになります。2日目には2～4細胞期、3日目には8細胞期となり、4日目にはコンパクション期（細胞融合期）～桑実期胚（そうじつきはい）と呼ばれる状態になります。
そして受精後5～6日目になると、受精卵の中に液体で満たされた空洞（胞胚腔）ができ、「胚盤胞」と呼ばれる状態になります。
この段階になると、胚盤胞を構成する細胞が、①着床後に赤ちゃん本体になる「内部細胞塊（ICM）」と、②着床後に胎盤になる「栄養膜細胞（TE）」に分かれていきます。
この①②の状態を胚培養士が観察し、細胞の数や質を評価して付けられるのが「グレード」になります。
なぜ、胚盤胞での移植が主流なのか
高度生殖医療で行われる胚移植には、分割期胚の段階で移植する初期胚（分割期胚）移植と、胚盤胞まで培養してから移植する胚盤胞移植があり、日本では胚盤胞移植のほうが主流となっています。
理由としては胚盤胞は着床する直前のステージであるため、受精卵は胚盤胞まで成長できた時点で子宮に着床できる可能性があると判断することができます。裏を返せば胚盤胞まで育たない胚は赤ちゃんになる可能性が極めて低いため、受精卵が胚盤胞まで育つかどうかを見ることで、移植を行う前に胚の選別・淘汰を行っているのです。
実際初期胚移植と胚盤胞移植の着床率を比較すると、胚盤胞移植の方が移植対妊娠率は約2倍以上高いというデータが報告されています。
ただし卵子と精子が受精してもすべての受精卵が胚盤胞まで成長できるというわけではなく、胚盤胞まで成長する割合は受精した卵子のおおよそ約40～60％程度と言われており、高齢になるほどこの確率は顕著に低下していきます。
これは決して培養技術だけの問題ではなく不妊治療の成否は卵子あるいは精子自体が持つポテンシャルに極めて強く依存しているということです。
胚盤胞のグレード評価方法（Gardner（ガードナー）分類）を徹底解説
Gardner（ガードナー）分類の基本的な理解
胚盤胞のグレーディング、評価方法で最も広く使われているのが「Gardner（ガードナー）分類」です。この評価方法では、胚盤胞を以下の3つの要素から評価をしていきます。
- 胚の発育ステージや大きさ、状態を表す1～6の数字
- 内部細胞塊（ICM）の形態的な評価を表すA～Cのアルファベット
- 栄養膜細胞（TE）の形態的な評価を表すA～Cのアルファベット
例えば「4AB」というグレードの場合であれば、「4」が拡張期の胚盤胞を示し、最初の「A」は内部細胞塊の評価、「B」は栄養膜細胞の評価を示しています。
発育ステージ（1～6）の詳細
| ステージ1 | 初期胚盤胞（胞胚腔が全体の50％未満） |
| ステージ2 | 初期胚盤胞（胞胚腔が全体の50％以上） |
| ステージ3 | 拡張中胚盤胞 （胞胚腔が全体に広がる、直径130～150μm程度） |
| ステージ4 | 拡張期胚盤胞 （拡張が進み透明帯が薄くなる、おおよそ直径160μm以上） |
| ステージ5 | 孵化中胚盤胞 （透明帯から細胞の一部が孵化している） |
| ステージ6 | 孵化胚盤胞（透明帯から完全に孵化している） |
一般的には、ステージ3以上の胚盤胞が移植や凍結の対象となりますが、ステージ1や2でも、胚盤胞になればすぐに凍結するというクリニックもあります。
一方で、Ｇardner分類の他に、胚の大きさ（サイズ）を細かく測定して、形態的な評価に加えてサイズについても凍結・移植の基準を明確化している施設もあります。
私自身も、これまで培ってきた過去の経験や研修を受けてきたクリニックの方針から、サイズについての基準の有効性を熟知しています。そのため、ある一定の基準を設け、これを満たしたステージ4以上の拡張した胚盤胞を移植・凍結としています。
内部細胞塊（ICM）と栄養膜細胞（TE）の評価基準
内部細胞塊（赤ちゃんになる部分）の評価：
A：細胞数が多く、密に詰まっている
B：細胞数は中程度でやや疎な配列
C：細胞数が少なく、フラグメントが認められる
栄養膜細胞（胎盤になる部分）の評価：
A：細胞の数が多く、均一に配列
B：細胞の数は中程度
C：細胞の数が少なく大きさが不均一で、フラグメントが認められる
これらの評価は、あくまでも形態的な評価、つまり“見た目”による判断であり、簡潔に言えば「どれだけ細胞が綺麗に見えるか？」という評価です。
ここで非常に重要なポイントとして押さえておいていただきたいのは、Gardner分類は確かに胚の評価方法としては一つの判断基準となるものの、必ずしも『胚そのものが持つ潜在的な能力を完全に反映しているわけではない！』ということです。
グレードごとの妊娠率と成功事例｜具体的なデータで見る
過去に、アメリカ生殖医学会の学術誌であるFertility＆Sterilityに報告されたデータによると、グレード別の妊娠率（臨床的妊娠率）は以下のようになっています。
– AA胚盤胞: 約55～65％
– AB/BA胚盤胞: 約45～60％
– BB胚盤胞: 約40～55％
– BC/CB胚盤胞: 約35～45％
– CC胚盤胞: 約20～30％
（※平均年齢 32.3±3.3歳）
これらの数字を見ると、確かにAA/AB/BAなどの良好なグレードの胚の方が妊娠率は高い傾向にあります。一方で、注目していただきたいのはBC/CB/CCなどの評価がやや低い胚盤胞でも妊娠に至っているという点です。
私が実際に経験した成功事例
私自身胚培養士として15年以上のキャリアになりますが、今回のコラムで取り上げている胚盤胞のグレードと胚移植そして妊娠について、今でも強く印象に残っている症例があります。
保険適用化がスタートするずっと前なのでもう何年も前になりますが、当時37歳の患者様で普段は別の病院で看護師さんとして働かれている方でした。低刺激で採卵を行い、3個の胚盤胞が凍結できました。グレードは4AA、4BA、4BCでした。
一般的に胚移植ではグレードの高いものから順に移植をしていくので、1回目の移植は4AAを戻したのですが、着床はしたものの心拍が確認できず流産となってしまいました。
2回目は次にグレードの良い4BAを戻したのですが妊娠判定でマイナス。そして3回目に4BCを戻すことになりました。
医師からはグレードが悪い旨を事前に聞かされていたようで不安な顔をされていましたが、融解後の回復も良好で、私自身その時点で「グレードのわりにはそこまで悪くないな。むしろ良さそうだな‥‥。」という印象でした。
胚移植の前に胚培養士から患者様に移植胚や手技についての説明をするのですが、患者様には上記の旨をお伝えしました。
すると移植後の判定日非常に良い値で陽性反応が見られ、その後も順調に経過し、翌年に元気な男の子を出産されました。
後日出産報告と一緒に私宛にお手紙をいただいたのですが、『あの時のお話しにとても勇気づけられました』というメッセージがあり、今でもそのお手紙は大切にしています。
グレードよりも大切なこと
実は、妊娠の成否には胚盤胞のグレード以外にも、
– 患者年齢
– 子宮内膜の状態
– 胚の染色体の正倍数性
– 移植のタイミング
– ホルモン環境
– 生活習慣やストレスレベル
など、非常に多くの要因が関わっています。
特に胚の染色体の正倍数性は極めて重要で、胚の染色体が異数性である場合、どんなにグレードが良好であっても無事に赤ちゃんとして産まれてくる確率はほぼゼロです。
近年では着床前胚染色体異数性検査（PGT-A）も行われるようになってきましたが、見た目のグレードがAAでも染色体が異数性の胚もありますし、反対にBC/CB/CCといったグレードの胚であっても正倍数性という胚もあります。
日本産科婦人科学会の報告によると流産原因のおよそ7割が胚の染色体の異常に起因するというデータが示されており、胚の染色体が正倍数性であることは無事に赤ちゃんが産まれてくるために必ず通過しなければならないポイントであるとも言えます。
低いグレード胚盤胞でも妊娠できる理由｜胚培養士の視点から
グレードはあくまでも“見た目”の評価
先述した通り Gardner分類による胚盤胞のグレードは、あくまでもその時点での”見た目”による評価です。言い換えればどれだけカッコイイか？カワイイか？を見ているようなものであり、実際に赤ちゃんになるポテンシャルを持っているかどうか、その”中身”を反映しているわけではないということです。
私自身が経験した症例にもあった通り4AAなどの良好なグレードの胚を移植しても妊娠に至らず、これよりもグレードの低い胚を戻して妊娠・出産に至るケースは実際そこまで珍しくありません。
また近年ではERA、EMMA、ALICEなど着床のタイミングや、子宮環境、状態などを調べる検査が著しく発達してきたことで、1～2回目の移植で良好なグレードの胚を戻しても上手くいかなかった時に、一度このような検査を挟んで着床を阻害している要因を探るというケースも増えてきました。
やはり必然的に3回目以降は1～2回目よりもグレードの低い胚を戻すということもあるのですが、このような検査で着床を阻害していた原因を明らかにし、その原因をしっかりと取り除いていくことで、グレードの低い胚であっても問題無く着床に至る患者様も多いです。
AIスコアリングシステムによる新たな知見
近年受精卵の培養にタイムラプスインキュベーターを使用する施設も増えてきましたが、タイムラプスインキュベーターにもいくつかの種類があります。最新のものでは受精卵の発育過程を継時的に観察し、着床の可能性を評価するAIスコアリングシステムが導入されている機種があります。
このシステムでは以下のような項目をそれぞれの時点でアノテーション(データ入力)します。具体的には媒精から受精反応が現れるまでの時間、受精後から分割開始までの時間、分割期胚のフラグメント量と割球の大きさ、胚盤胞発生までの時間、拡張・収縮の回数などです。これらのデータをAIディープラーニングネットワークのアルゴリズムに基づいて解析し、それぞれの胚にスコアが付けられます。
このスコアは胚の発育過程に付けられたスコアであるため、従来のGardner分類とは大きく異なります。最終的な”見た目”のグレードがどんなに良好であっても、発育過程になにかしら異常な経過が認められれば、このAIスコアは低く評価されます。
最新の研究の中には形態的なグレードが低い胚盤胞の中にもAIスコアで高い評価が付けられている胚が一定数あり、このような胚では形態的なグレードに反して着床率が高いことが示されています。これらのことから『形態的な評価と比較して、AIスコアの方が、より正確に臨床的妊娠率を反映するのではないか？』とする報告もあります。
つまりここで注目したいのは細胞分裂のタイミングや発育のパターンが正常であれば、最終的なグレードがどんなに低くても十分に着床できるポテンシャルを持っている胚が存在しているという点です。今後AIスコアリングシステムがさらに発達していくことで、”見た目”だけでは図ることができない胚の潜在的な着床の可能性が明らかになるかもしれません。
胚培養士からのメッセージ
胚培養士としてキャリアをスタートしてから、何千、何万という受精卵を観察していますが、同じ患者様の同じ治療周期の胚であっても、ヒトと同じでやはりそれぞれの胚に個性があり発育していくプロセスは違うなと感じることがあります。
われわれの予測に反して、「微妙かな？」と思っていた胚が綺麗な胚盤胞になったり、移植して無事に出産に辿り着いたり。もちろんその逆もあって、良さそうな印象を持っていた胚なのに、移植してもまったく妊娠の反応が出なかった‥‥ということもあります。
『グレードが低い』という結果に落ち込む患者様は多いのですが、正直なところ、グレードだけで失望落胆してしまうのはまったく賢明ではありません。
これまで解説してきた通り、グレードはあくまでも胚の“見た目”の評価であり参考程度でしかなく、実際に胚が赤ちゃんになれる能力を持っているかどうかは、決して“見た目”だけではすべてを評価することはできません。
また、不妊の原因はすべてが胚にあるわけではありません。着床が成立するためには、子宮の状態や内分泌系（ホルモン）、年齢、着床のタイミングなども極めて大きく影響してきます。
着床・妊娠の成立、そして赤ちゃんに出会うために、患者様には是非、このような様々な要素から総合的な判断ができるよう広い視野を持っていただきたいと思います。
良好な胚盤胞を目指す5つの方法｜今日からできること
卵子の質を高める生活習慣
胚盤胞に発育するかどうかは、元となる卵子の質に大きく左右されます。
卵子の質は身体の健康状態を反映すると考えられており、食習慣はその一つの健康指標でもあるため、妊活や不妊治療に関わらず、普段から以下の点に気をつけることで卵子の質の向上が期待できます。
栄養面でのアプローチ
– 抗酸化作用の高い食品（ビタミンC、E、コエンザイムQ10）を積極的に摂取
– 良質なタンパク質（魚、大豆製品、卵）を取り入れる
– 葉酸、鉄分、ビタミンDのサプリメント摂取
– 糖質の過剰摂取を避け、血糖値の安定を心がける
実際に、患者様からは、普段の食生活に気をかけるようになったら「お通じが良くなった」「よく眠れるようになった」「疲れにくくなった」というお声がよく聞かれます。身体が健康であることは卵子が健康であることにもつながると普段から意識しておきましょう。
適度な運動とストレス管理
激しい運動は逆効果ですが、適度な有酸素運動は卵巣への血流を改善し、卵子の質を高める可能性があります：
– ウォーキング（1日30分程度）
– ヨガやピラティス（週2～3回）
（※ただしホットヨガは、過度に身体に負担をかける可能性があるため逆効果になる可能性があります。）
また、慢性的なストレスは卵子の質を低下させる大きな要因です。読書や旅行といった趣味の時間を作るなど、自分なりのストレス解消法を見つけることが大切です。
十分な睡眠と規則正しい生活
卵子の成熟には成長ホルモンが重要な役割を果たしますが、このホルモンは主に深い睡眠中に分泌されます。
– 毎日最低7時間の睡眠を確保
– 就寝・起床時間を一定にする
– 寝る前のスマートフォン使用を控える
– 寝室を暗く、涼しく保つ
実際に、睡眠習慣を整えただけで生理不順が改善したという患者様が何人もいらっしゃいました。
禁煙・節酒の徹底
タバコとアルコールは卵子の質に直接的な悪影響を与えます。
– 喫煙者のカップルは非喫煙者と比べて妊娠率が半分以下になるという具体的なデータがある
– 長期的な飲酒の習慣は卵子の染色体異常リスクを高める
– FASD（胎児性アルコール・スペクトラム障害；Fetal Alcohol Spectrum Disorders）などのリスクも顕著に増加する
– 受動喫煙も同様の影響があるため、パートナーの協力も必須
禁煙・禁酒はある程度即効性があり、特に男性では数ヶ月の禁煙・禁酒で明らかな改善が見られることもあります。
パートナーの精子の質も重要
良好な胚盤胞に育つかどうかは、精子の質も非常に大きく影響します。
男性側ができることとしては、次の通りです。
– 精巣の温度を上げない（サウナや長風呂を控える）
– 亜鉛、セレンなどのミネラル摂取
– 適度な運動と体重管理
– ストレス管理と十分な睡眠
夫婦で一緒に生活習慣を改善することで、より良い結果につながることが期待できます。
よくある質問と誤解｜胚培養士がお答えします
Q1: グレードAAの胚盤胞なら必ず妊娠できますか？
A1: 残念ながら、グレードがAAであっても100％妊娠するということはありません。着床・妊娠の成立には子宮側の要因や胚の染色体の正倍数性などさまざまな条件をクリアする必要があり、AAというグレードであっても、中身である染色体に異常があれば赤ちゃんになることはありません。
Q2: グレードの低い胚盤胞を移植する意味はありますか？
A2: あると思います。今回のコラムで解説してきたように、実際に着床するかどうかは胚の見た目のグレードだけで図ることは絶対に出来ないからです。
加えて、例えば婦人科系疾患や子宮内膜炎など、子宮の状態になんらかの異常があるという患者様では、不妊の原因が胚に由来していないため、胚のグレードの良し悪しはあまり関係が無く、子宮の状態を改善する方により重きを置く必要があります。
Q3: 複数の胚盤胞がある場合、どの順番で移植すべきですか？
A3: 一般的にはグレードの高い順で移植することが多いのですが、これには非常にシンプルで明確な理由があります。というのも、グレードの高い胚ほど着床率が高いため、少ない移植の回数で妊娠・出産にいたることが患者様にとって最も治療対コストパフォーマンスが高くなるためです。
ただし、これは絶対的なルールではありませんので、医師と相談しながら、総合的に判断することが重要です。
Q4: グレードは胚培養士によって評価が変わりますか？
A4: 多少の差が生じることはありますがほとんど変わらないと思います。先述した通り、Gardner分類は、形態学的な観察に基づく主観的な判断であるため、胚培養士間で若干の違いが出ることはありますが、人によってAAの胚をABまたはBAとやや厳しめに判断するようなことはあっても、CCと判断するようなことはまずあり得ません。
施設によっては、教科書的なGardner分類ではなく、施設独自の評価方法を用いているクリニックもあるため、当然ながらそのような場合では一般的な評価とはまったく変わります。
Q5: 移植後、グレードによって気をつけることは違いますか？
A5: グレードに関係無く、基本的には移植後の過ごし方は同じです。移植当日の入浴は避けシャワー欲にする。激しい運動は避け、普段通りの生活を送る。バランスの良い食事を心がける。処方されたお薬は忘れずに服用する。など、グレードの良し悪しに関わらず移植後の注意事項を守っていただけたらと思います。
まとめ
長いコラムを最後まで読んでいただきありがとうございました。
繰り返しでくどいようですが、とにかく今回のコラムで、胚培養士という立場から私がお伝えしたかったのは『胚のグレードがすべてではない』ということです。
確かに、グレードは一つの指標として重要な項目ではあるのですが、それは着床・妊娠の成立のために必要となる多面的な様々なステップのほんの一部を表しているに過ぎません。
もしも、あなたの胚盤胞のグレードが思うように高くなかったとしても、意気消沈してしまう必要などまったくありません。
どんなに見た目上のグレードが良好であっても、中身が伴っていなければ赤ちゃんになることはありませんし、反対に見た目のグレードが低くても、十分なポテンシャルを持っている胚は数多く存在します。
単純な数字やアルファベットの羅列に一喜一憂することなく、広い視野を持って治療に臨んでいただければ、きっと良い結果につながるのではないかなと思います。
