「なぜ私だけ…」「いつまでこの状況が続くのだろう」
不妊に悩む30~40代の女性の多くが、このような思いを抱えています。
周りの友人が次々と妊娠・出産していく中、自分だけが取り残されているような孤独感。両親からの無言のプレッシャー。パートナーとの関係性への不安。これらすべてが重なり、心身ともに疲れ果ててしまうこともあるでしょう。
でも、あなたは一人ではありません。現在、日本では約5.5組に1組のカップルが不妊に悩んでいるといわれています。そして、医学の進歩により不妊の原因の多くが解明され、適切な治療により妊娠に至るケースも増えています。
この記事では、不妊の原因について医学的な視点から分かりやすく解説するとともに、皆さまの不安に寄り添いながら、希望を持って前に進むための情報をお伝えします。
不妊症の定義と現状
不妊症とは?最新の定義を解説
不妊症とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をせずに性交渉を持っているにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態を指します。日本産科婦人科学会では、この期間を「1年間」と定義しています。
以前は2年間とされていましたが、晩婚化・晩産化の影響や、早期の治療開始が妊娠率向上につながることから、2015年に1年間に短縮されました。
ただし、35歳以上の女性の場合は、卵子の質の低下が急速に進むため、6ヶ月経過しても妊娠しない場合は早めに専門医への相談をおすすめしています。年齢は待ってくれません。「もう少し様子を見てから…」と先延ばしにすることで、貴重な時間を失ってしまう可能性があります。
また、月経不順がある方、子宮内膜症の既往がある方、性交渉の機会が少ない方なども、1年を待たずに受診することをおすすめします。早期の検査・診断により適切な治療を受けることで、妊娠の可能性を高めることができます。
30~40代における不妊の実態
30~40代は、キャリアの充実期でもあり、経済的にも安定してくる時期です。しかし、生物学的には妊娠・出産にとって決して楽観できない年齢でもあります。
最新の統計によると、35歳を過ぎると自然妊娠率は急激に低下し、40歳では月経周期あたりの妊娠率は約5%まで低下します。これは、加齢による卵子の質の低下が主な原因です。
しかし、ここで大切なのは「統計はあくまで平均値」ということです。個人差は大きく、40代でも自然妊娠される方もいれば、30代前半でも不妊に悩む方もいます。年齢は重要な要因の一つですが、それがすべてではありません。
また、30~40代の不妊の特徴として、二人目不妊(続発性不妊)の割合が高いことも挙げられます。一人目は自然に授かったのに、二人目がなかなか授からないという悩みも少なくありません。これは、出産後の体の変化や年齢による変化、育児によるストレスなど、複数の要因が関係していることが多いです。
現代の生殖医療技術の進歩により、30~40代でも妊娠・出産される方は増えています。大切なのは、正しい知識を持ち、適切なタイミングで専門医に相談することです。
女性側の不妊原因
排卵因子(排卵障害)
排卵障害は、女性不妊の原因の約20~30%を占める重要な要因です。毎月規則正しく排卵が起こることは妊娠の第一歩ですが、様々な原因により排卵が障害されることがあります。
最も多いのは、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)です。これは、卵巣に小さな卵胞が多数存在し、なかなか成熟した卵子が排卵されない状態です。月経不順、男性ホルモンの上昇、肥満や耐糖能異常などを伴うことが多く、若い女性の約5~10%に見られます。
また、視床下部や下垂体の機能異常による排卵障害もあります。過度のダイエット、激しい運動、強いストレスなどが原因となることが多く、現代女性のライフスタイルと密接に関係しています。体重の急激な変化(増加・減少とも)は、ホルモンバランスを崩し、排卵を妨げる可能性があります。
早発卵巣不全(POI)も、30~40代女性にとって重要な問題です。40歳未満で卵巣機能が低下し、月経が止まってしまう状態で、強いストレスや自己免疫疾患、遺伝的要因などが関係しているといわれています。
排卵障害の多くは、適切な治療により改善可能です。排卵誘発剤の使用や生活習慣の改善により、多くの方が妊娠に至っています。
卵管因子
卵管は、卵子と精子が出会い、受精が起こる大切な場所です。また、受精卵を子宮まで運ぶ重要な役割も担っています。この卵管に問題があると、不妊の原因となります。卵管因子は女性不妊の約30%を占めています。
最も多い原因は、クラミジア感染症による卵管炎です。クラミジアは性感染症の一つですが、感染しても女性の多くは自覚症状がなく、知らないうちに卵管に炎症を起こし、癒着や閉塞を引き起こすことがあります。特に若い頃の感染が後の不妊につながることがあるため、定期的な検査が重要です。
子宮内膜症も卵管因子の重要な原因です。子宮内膜症により、卵管周囲に癒着が生じ、卵管の可動性が失われることで、卵子のピックアップ(取り込み)ができなくなることがあります。月経痛がひどい方や性交痛がある方は、子宮内膜症の可能性もあるため、早めの受診をおすすめします。
また、虫垂炎や腹膜炎の既往、過去の骨盤内手術なども、卵管周囲の癒着の原因となることがあります。これらの既往がある方は、不妊治療を始める際に、卵管の通過性を確認する検査(子宮卵管造影検査など)を相談するといいでしょう。
子宮因子
子宮は受精卵が着床し、赤ちゃんが育つ大切な場所です。子宮に何らかの異常があると、着床障害や流産の原因となることがあります。
子宮筋腫は、30~40代女性の約20~30%に見られる良性腫瘍です。筋腫の大きさや位置により、不妊の原因となることがあります。特に、子宮内腔に突出する粘膜下筋腫は、着床を妨げる可能性が高いため、手術による摘出が検討されます。
子宮内膜ポリープも、着床障害の原因となることがあります。超音波検査で偶然発見されることが多く、小さなものであれば経過観察となりますが、大きなものや多発する場合は、子宮鏡下手術による摘出が推奨されます。
先天的な子宮の形態異常(双角子宮、中隔子宮など)も、不妊や流産の原因となることがあります。これらは、思春期以降の検査で初めて発見されることが多く、程度により手術が必要な場合もあります。
また、帝王切開や流産手術の既往により、子宮内膜に癒着が生じる「アッシャーマン症候群」も、着床障害の原因となります。月経量の減少や無月経を伴うことが多く、子宮鏡下での癒着剥離術が必要となることがあります。
年齢因子と卵子の質
年齢は、女性の妊娠能力に最も大きな影響を与える要因の一つです。特に35歳を過ぎると卵子の質の低下が顕著になり、妊娠率の低下、流産率の上昇につながります。
女性は生まれた時から、一生分の卵子を卵巣に蓄えています。その数は約200万個ですが、思春期には約30万個まで減少し、その後も月経のたびに減り続けます。37歳頃からは減少速度が加速し、卵子の数だけでなく質も低下していきます。
卵子の質の低下とは、主に染色体異常の増加を指します。35歳では約35%、40歳では約50%、43歳では約75%の卵子に染色体異常があるといわれています。染色体異常のある卵子は、受精しにくく、受精しても着床しにくく、着床しても流産しやすいという特徴があります。
しかし、ここで強調したいのは、「年齢=妊娠不可能」ではないということです。個人差は大きく、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査により卵巣予備能を評価することで、より正確な妊娠の可能性を知ることができます。また生活習慣の改善により、卵子の質を少しでも保つことも可能です。
適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠、ストレスの軽減、禁煙など、日常生活で気をつけられることはたくさんあります。サプリメント(葉酸、ビタミンD、コエンザイムQ10など)の摂取も、卵子の質の改善に役立つ可能性があります。
男性側の不妊原因
造精機能障害
不妊の原因の約半数は男性側にあるといわれています。その中でも最も多いのが、造精機能障害です。これは、精子を作る機能に問題があり、精子の数が少ない(乏精子症)、動きが悪い(精子無力症)、形態異常が多い(奇形精子症)などの状態を指します。
造精機能障害の原因は多岐にわたりますが、多くは原因不明(特発性)です。しかし、生活習慣が大きく影響することも分かっています。喫煙、過度な飲酒、肥満、精巣の温度上昇(サウナ、長風呂、締め付ける下着など)、日常におけるストレスなどが、精子の質を低下させる要因となります。
精索静脈瘤も重要な原因の一つです。これは精巣周辺の静脈が拡張して血流が滞り、精巣の温度が上昇することで精子形成に悪影響を及ぼす病気です。男性不妊の約40%に見られ、手術により改善することが多いため早期の診断・治療が重要です。
また、内分泌異常(ホルモン異常)による造精機能障害もあります。下垂体や視床下部の機能異常により、精巣を刺激するホルモンが不足し、精子形成が障害されます。この場合、ホルモン療法により改善することがあります。
最近では、環境ホルモンや化学物質の影響も注目されています。プラスチック製品に含まれる物質や、農薬などが精子の質に影響を与える可能性が指摘されており、できるだけ避けるように心がけることも大切です。
精路通過障害
精路通過障害とは、精子は正常に作られているものの、精子が体外に出るまでの通り道(精路)が詰まっている状態です。この場合、精液検査では無精子症と診断されますが、精巣内には正常な精子が存在しています。
最も多い原因は、精管の閉塞です。先天的な精管欠損、精巣上体炎や精管炎による後天的な閉塞、パイプカット(精管結紮術)後の状態などがあります。幼少期の鼠径ヘルニア手術により、精管が損傷されている場合もあります。
精路通過障害の診断には、精液検査に加えて、ホルモン検査、超音波検査、場合によっては精巣生検が必要となります。閉塞性無精子症と診断された場合、精路再建術により自然妊娠が可能となることもありますが、多くの場合は精巣内精子採取術(TESE)により精子を回収し、顕微授精を行うことになります。
精路通過障害は、適切な診断と治療により高い確率で挙児を得ることができる疾患です。無精子症と診断されても諦めずに、専門医による詳しい検査を受けることが重要です。
性機能障害
性機能障害も、男性不妊の重要な原因の一つです。勃起障害(ED)、射精障害(腟内射精障害、遅漏、早漏など)により、性交渉が困難となり自然妊娠が難しくなります。
現代社会では、仕事のストレス、妊娠へのプレッシャー、夫婦関係の問題などにより性機能障害を抱える男性が増えています。特に、排卵日に合わせた性交渉(タイミング法)により性交渉が義務的になり、プレッシャーから性機能障害を発症するケースも少なくありません。
また、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病も、血管や神経の障害を通じて性機能障害の原因となります。抗うつ薬、降圧薬など、一部の薬剤も性機能に影響を与えることがあります。
性機能障害の治療には、まず原因の特定が重要です。心因性の場合は、カウンセリングや夫婦での話し合い、プレッシャーの軽減が有効です。器質性の場合は、原疾患の治療やPDE5阻害薬(バイアグラなど)の使用が検討されます。
性機能障害があっても、人工授精や体外受精により妊娠は可能です。恥ずかしがらず、パートナーと一緒に専門医に相談することが問題解決の第一歩となります。
カップル両方に関わる原因
免疫因子
免疫因子による不妊は、全体の約5%を占めるといわれています。通常、女性の体は精子を異物として認識しないようになっていますが、何らかの原因により精子に対する抗体(抗精子抗体)が作られることがあります。
抗精子抗体は、精子の運動を妨げたり、精子と卵子の結合を阻害したりすることで、不妊の原因となります。女性だけでなく男性自身が抗精子抗体を持つこともあり、この場合、精子同士がくっついてしまい運動性が低下します。
抗精子抗体陽性の場合でも、必ずしも妊娠できないわけではありません。抗体価が低い場合は自然妊娠も可能ですし、人工授精や体外受精により妊娠率を高めることができます。特に体外受精では、精子を洗浄・濃縮することで抗体の影響を減らすことができます。
また、習慣流産(3回以上の流産)の原因として、免疫異常が関与することもあります。抗リン脂質抗体症候群などの自己免疫疾患により、胎盤の血流が障害され、流産を繰り返すことがあります。この場合、アスピリンやヘパリンなどの薬物療法により、妊娠継続率を改善することができます。
免疫因子による不妊は、適切な検査と治療により克服可能です。原因不明不妊が続く場合は、免疫学的検査を受けることを相談していただくといいでしょう。
原因不明不妊について
すべての検査を行っても、明らかな原因が見つからない場合を「原因不明不妊」といいます。実は、不妊カップルの約10~20%がこの原因不明不妊に該当し、30~40代ではその割合がさらに高くなります。
「原因不明」と聞くと、途方に暮れてしまうかもしれません。しかし、これは「原因がない」のではなく、「現在の検査技術では原因を特定できない」ということです。例えば、卵子の質、精子の受精能力、受精卵の発育能力、子宮内膜の受容能など、現在の検査では評価が難しい要因が関係している可能性があります。
原因不明不妊の場合でも、治療により妊娠することは十分可能です。まずはタイミング法から始め、人工授精、体外受精とステップアップしていくのが一般的です。年齢や不妊期間により、早めのステップアップを検討することもあります。
最近の研究では、原因不明不妊の背景に、軽微な卵管機能異常、軽度の子宮内膜症、卵子や精子の質的異常などが潜んでいることが分かってきています。体外受精を行うことで、これらの問題を回避し、妊娠に至るケースも多くあります。
原因不明だからこそ、総合的なアプローチが重要です。生活習慣の改善、ストレスの軽減、適切な栄養摂取など、できることから始めていきましょう。そして、信頼できる医師とともに最適な治療方針を見つけていくことが大切です。
ストレスと生活習慣の影響
心理的ストレスが与える影響
不妊とストレスは、密接な関係があります。不妊によるストレスが、さらに妊娠を妨げるという悪循環に陥ることも少なくありません。私たちの体は、強いストレスを感じると生殖機能を一時的に低下させる仕組みを持っています。
ストレスは、視床下部-下垂体-卵巣(精巣)軸と呼ばれるホルモン分泌システムに影響を与えます。女性では排卵障害や黄体機能不全、男性では精子形成障害や性機能障害を引き起こす可能性があります。また、ストレスにより免疫機能が変化し、着床障害の原因となることもあります。
30~40代は、仕事でも責任ある立場になることが多く、仕事と不妊治療の両立に悩む方も多いでしょう。通院のための休暇取得、上司や同僚への説明、キャリアへの影響など、様々なストレス要因があります。
パートナーとの関係も、ストレスの大きな要因となることがあります。治療方針の違い、経済的負担、性生活へのプレッシャーなど、不妊治療を機に夫婦関係がぎくしゃくすることも珍しくありません。
ストレス管理は、不妊治療の重要な一部です。カウンセリング、ヨガ、瞑想、アロマテラピーなど、自分に合ったストレス解消法を見つけることが大切です。また、不妊に悩む仲間とのピアサポートも、心の支えとなることがあります。一人で抱え込まず、周囲のサポートを受けることも大切です。
改善できる生活習慣
生活習慣の改善は、妊娠しやすい体づくりの基本です。高度な不妊治療を受ける前に、まず日常生活を見直すことで自然妊娠の可能性を高めることができます。
食生活では、バランスの良い食事を心がけることが重要です。特に、葉酸、鉄分、カルシウム、ビタミンD、オメガ3脂肪酸などは、妊娠に重要な栄養素です。過度なダイエットや偏食は避け、BMI20~25の適正体重を維持することが理想的です。
運動も重要ですが、激しすぎる運動は逆効果となることがあります。週3~4回、30分程度の有酸素運動(ウォーキング、ヨガ、水泳など)が推奨されます。運動により血流が改善し、ストレス解消にもつながります。
睡眠の質も妊娠に影響します。理想的には、22時~2時の間に深い睡眠をとることで、成長ホルモンの分泌が促進されます。スマートフォンやパソコンのブルーライトは睡眠の質を低下させるため、就寝前の使用は控えめにしましょう。
喫煙と過度の飲酒は、男女ともに生殖能力を低下させます。喫煙は卵子と精子の質を低下させ、流産率も上昇させます。禁煙は、妊娠を希望する全てのカップルに強くおすすめします。アルコールは、適量(週に2~3回、1回につきグラス1杯程度)であれば問題ありませんが、過度な飲酒は避けましょう。
カフェインの過剰摂取(1日300mg以上)も、妊娠率の低下と関連があるといわれています。コーヒーは1日2杯程度にとどめ、ハーブティーなどに置き換えることも検討しましょう。
これらの生活習慣の改善は、すぐに効果が現れるものではありません。少なくとも3ヶ月程度は継続することで、卵子と精子の質の改善が期待できると考えられています。完璧を求めすぎず、できることから少しずつ始めていきましょう。
不妊検査の重要性
基本的な検査項目
不妊の原因を特定し、適切な治療方針を立てるためには、系統的な検査が不可欠です。「検査は怖い」「結果を知るのが不安」という気持ちもあるかもしれませんが、原因を知ることで効果的な治療への道が開けます。
女性の基本検査には、ホルモン検査(FSH、LH、プロラクチン、甲状腺ホルモンなど)、超音波検査、子宮卵管造影検査、AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査などがあります。これらの検査により、排卵障害、卵管因子、子宮因子、卵巣予備能などを評価できます。
男性の基本検査は、精液検査が中心となります。精子の数、運動率、正常形態率などを評価します。異常があれば、ホルモン検査、超音波検査、染色体検査などの追加検査を行います。精液検査は変動が大きいため、場合によっては複数回の検査を行います。
最近では、より詳細な検査も可能になっています。例えば、ERA(子宮内膜受容能検査)によって着床に最適な時期を特定したり、精子DNA断片化検査によって通常の精液検査では分からない精子の質を評価したりすることができます。
また、流産を繰り返す場合には、不育症の検査として血液凝固系検査、免疫学的検査、染色体検査などを行い、原因を特定することで、次の妊娠での成功率を高めることができます。
検査結果は、単独で判断するのではなく総合的に評価することが重要です。一つの検査結果が悪くても、他の要因でカバーできることもあります。信頼できる医師と相談しながら、必要な検査を受けていきましょう。
検査を受けるタイミング

「いつ検査を受ければいいの?」これは、多くの方が抱く疑問です。一般的には、避妊をやめて1年経過しても妊娠しない場合に検査を受けることが推奨されています。しかし、年齢や個々の状況により、もっと早い段階での受診が望ましいこともあります。
35歳以上の女性は、6ヶ月経過しても妊娠しない場合、早めの受診をおすすめします。年齢による卵子の質の低下は待ったなしで進行するため、早期の診断・治療開始が重要です。40歳以上の場合は、妊娠を希望した時点ですぐに専門医への相談を検討してください。
月経不順がある方、月経痛がひどい方、性交痛がある方も早めの受診が推奨されます。これらの症状は、排卵障害や子宮内膜症などの不妊原因のサインである可能性があります。
男性側も、精液検査は比較的簡単に受けられる検査ですので、カップルで同時に検査を受けることが理想的です。早期に男性因子を発見できれば、治療に関する貴重な時間と費用を節約できます。
またブライダルチェックとして、結婚前や妊活開始前に検査を受けることも増えています。特に、感染症検査(クラミジア、淋病など)、風疹抗体検査、AMH検査などは、将来の妊娠に向けて重要な情報を提供してくれます。
検査を受けることは、決して「不妊を認める」ことや「自然に妊娠できない」ということではありません。むしろ、「妊娠に向けて積極的に行動する」第一歩です。検査結果により、安心できることもあれば、早期の治療開始により妊娠の可能性を高められることもあります。勇気を出して、専門医の扉を叩いてみてください。
まとめ – 希望を持って前に進むために
ここまで、不妊の様々な原因について解説してきました。多くの情報に圧倒されているかもしれません。でも、覚えておいていただきたいのは、「不妊の原因の多くは治療可能」ということです。
現代の生殖医療は日進月歩で進化しています。10年前には不可能だった治療が、今では可能になっています。卵子凍結技術の向上、着床前診断の進歩、新しい排卵誘発法の開発など、妊娠の可能性を高める選択肢は増え続けています。
また、不妊治療は医学的な側面だけでなく、心理的・社会的なサポートも重要です。多くの医療機関では、カウンセラーによる心理支援、看護師による生活指導、栄養士による食事指導など、チーム医療で患者様をサポートしています。
パートナーとの関係も大切です。不妊は「二人の問題」として、お互いを思いやり、支え合いながら進んでいくことが重要です。治療方針について話し合い、経済的な計画を立て、時には治療を休む勇気も必要です。
そして、自分自身を大切にすることも忘れないでください。不妊治療中も、仕事や趣味、友人との時間など、人生の他の側面も大切にしてください。妊娠がすべてではありません。あなたの人生は、妊娠の有無にかかわらず、価値あるものです。
最後に、不妊に悩む日々は、暗いトンネルの中を歩いているようかもしれません。でも、必ず出口はあります。一人で悩まず専門医やカウンセラー、そして大切な人たちのサポートを受けながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
あなたの勇気ある一歩が、新しい命との出会いにつながることを、心から願っています。