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東京都の卵子凍結助成金は最大30万円!専門医が教える「30代の今」凍結すべき理由と費用のリアル

  • 公開日:2026.02.15
  • 更新日:2026.02.15
東京都の卵子凍結助成金は最大30万円!専門医が教える「30代の今」凍結すべき理由と費用のリアル|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院

「仕事がようやく面白くなってきた。でも、年齢的に出産のタイムリミットが気になる…」 「今は特定のパートナーがいないけれど、将来子どもを持つ可能性は残しておきたい」

診察室で多くの女性から、このような切実なご相談を受けます。キャリア、結婚、そして妊娠・出産。現代の女性は多くの選択肢を持つ一方で、生物学的な「適齢期」という壁に直面し、焦りや不安を感じている方が本当に多いのです。

そんな中、東京都が「卵子凍結」に対する助成金制度を開始したことは、大きなニュースとなりました。費用面でハードルの高かった卵子凍結が、ぐっと身近な選択肢になったのです。しかし、生殖医療専門医としてお伝えしたいのは、「お金の問題がクリアできれば、すべて解決するわけではない」ということです。

卵子凍結は、将来の妊娠を100%保証する「魔法」ではありません。しかし、正しく理解し、適切なタイミングで行えば、あなたの人生の選択肢を広げる強力な「お守り」になります。 この記事では、東京都の助成金制度の詳細はもちろん、医師だからこそ語れる「卵子凍結の医学的なリアル(妊娠率やリスク)」について、包み隠さずお話しします。あなたの未来のための大切な決断に、ぜひ役立ててください。

最大30万円!東京都「卵子凍結に係る費用助成」の仕組みと条件

東京都が開始した「卵子凍結に係る費用助成」は、将来の妊娠に備えたい女性にとって画期的な制度です。
しかし、誰でも無条件に受け取れるわけではありません。まずは制度の骨組みをしっかり理解しましょう。

対象者は「都内在住の18歳~39歳」。年齢制限の壁を知ろう

この助成金の最大のポイントは、年齢制限です。
対象となるのは、東京都内に住む18歳から39歳までの女性です(採卵を実施した日における年齢)。
「40歳になったけれど、まだ間に合うかな?」というご相談もいただきますが、残念ながら40歳以上の方はこの助成金の対象外となります。これは、医学的に見て卵子の質が低下し、凍結による費用対効果が著しく下がる年齢を考慮して設定されたラインだと言えます。

また、「継続的な都内在住」も条件です。採卵時だけでなく、助成金を申請する時点でも都内に住民票がある必要があります。申請のタイミングで引っ越しを予定されている方は注意が必要です。

助成金額の内訳(凍結時20万円+保管更新時2万円×5年)

助成金は、大きく分けて「採卵・凍結時」と「保管時」の2段階で支給されます。

卵子凍結を実施した年度:上限20万円 採卵準備から採卵、そして凍結保存にかかった費用に対して支給されます。

次年度以降の保管更新時:1年ごとに一律2万円(最大5年間) 凍結した卵子を保管し続けるための更新費用に対し、毎年2万円が助成されます。

これらを合計すると、最大で30万円の助成が受けられることになります。卵子凍結は初期費用だけでなく、毎年の保管料というランニングコストがかかるため、この継続的な支援は非常に大きなメリットです。

申請には「説明会参加」が必須。スムーズな手続きのステップ

「よし、すぐにクリニックに行こう!」と思う前に、一つ重要なステップがあります。
それは、東京都が開催する説明会への参加です。この助成金を受けるためには、事前に都の説明会に参加し、卵子凍結のメリット・デメリットやリスクについて正しく理解することが条件となっています。その後、都の「登録医療機関」を受診し、採卵・凍結を行うという流れになります。

説明会の予約が混み合うことも予想されるため、検討されている方はまず説明会の日程をチェックし、早めのアクションを起こすことをお勧めします。また、調査への協力(アンケート回答など)も受給要件に含まれています。

そもそも「卵子凍結」とは?医学的適応と社会的適応の違い

「卵子凍結」という言葉は知っていても、具体的にどのような医療行為なのか、詳しくご存じない方も多いのではないでしょうか。ここでは、その技術と目的について専門医の視点で解説します。

「卵子の時間を止める」技術。急速ガラス化法の進化

卵子凍結とは、卵巣から採取した未受精の卵子を、マイナス196℃の液体窒素の中で凍結保存する技術です。かつては卵子の凍結は非常に難しく、融解後の生存率が低いことが課題でした。しかし、現在は「急速ガラス化法(Vitrification)」という技術が主流となり、成績は飛躍的に向上しました。

この方法は、高濃度の凍結保護剤を使用し、一瞬で超低温にすることで、細胞内の水分が氷の結晶を作らずにガラス状に固まるようにする技術です。これにより、卵子へのダメージを最小限に抑え、融解後の生存率を約90%以上にまで高めることが可能になりました。この技術のおかげで、卵子の老化(質の低下)を物理的にストップさせ、「若い状態のまま」保存できるようになったのです。

キャリアやパートナー待ちのための「社会的適応」

卵子凍結には、大きく分けて2つの目的があります。一つは、近年注目されている「社会的適応(Social Egg Freezing)」です。これは、健康な女性が、加齢による妊孕性(妊娠する力)の低下に備えて、自らの意思で行う凍結です。「今は仕事に集中したい」「パートナーがいないけれど、将来の可能性を残したい」といったライフプラン上の理由で行われます。東京都の助成金も、この社会的適応を対象としたものです。

30代の女性にとって、社会的卵子凍結は、キャリアと将来の家族計画の両立を支える有効な選択肢となり得ます。

がん治療などのための「医学的適応」との違い

もう一つは「医学的適応」です。これは、がん治療(抗がん剤や放射線治療)などによって、卵巣機能が低下・消失してしまう可能性がある場合に、その治療前に妊孕性を温存する目的で行われます。医学的適応の場合は、がん治療の開始時期との調整が必要であり、時間的な猶予が少ないケースも多々あります。今回の東京都の30万円の助成金とは別に、医学的適応に対する助成制度を設けている自治体も多いため、混同しないよう注意が必要です。

卵子凍結にかかる費用の総額と「実質負担額」のシミュレーション

助成金があるとはいえ、卵子凍結は高額な医療です。実際にはどれくらいの費用がかかり、自己負担はいくらになるのか、具体的な数字を見ていきましょう。

初診から採卵、凍結までにかかる費用の相場(40万~60万円)

卵子凍結は保険適用外の「自費診療」となります。費用はクリニックによって異なりますが、一般的な相場は以下の通りです。

• 初診・検査・排卵誘発剤: 5万~10万円

• 採卵手術: 15万~25万円

• 卵子凍結費用(個数による): 15万~30万円

これらを合計すると、1回のサイクルでおおよそ40万円~65万円程度かかります。採卵する卵子の数が多いほど、凍結費用や薬剤費が上がり、総額が高くなる傾向があります。

毎年かかる「保管料」というランニングコスト

忘れてはいけないのが、凍結した後の「保管料」です。卵子は凍結したら終わりではなく、専用のタンクで厳重に管理し続ける必要があります。この保管料は、年間で3万円~5万円程度かかるのが一般的です。もし33歳で凍結し、38歳で使用するとしたら、5年間の保管料(約15万~25万円)が別途必要になります。

助成金を使えばいくら得する?具体的なシミュレーション

では、東京都の助成金(上限20万円)を使用した場合、実質負担はどうなるでしょうか。

【例:総額50万円かかった場合】

総費用: 50万円

都の助成金: 20万円

自己負担額: 30万円

さらに、次年度以降の保管料(例:年間3万円)に対しても、都から2万円の助成が出るため、年間の維持費は実質1万円程度に抑えられます。「30万円」という金額は決して安くはありませんが、将来への投資として考えた場合、以前よりはるかに手が届きやすくなったと言えるでしょう。

「凍結すれば安心」は誤解?年齢別・妊娠率の厳しい現実

ここからは、専門医として最も伝えたい「医学的な現実」についてお話しします。助成金が出るからといって、安易に「とりあえず凍結しておけば安心」と考えるのは危険です。

凍結卵子1個あたりの出産率は35歳で約10~15%

「卵子を凍結したから、将来必ず赤ちゃんができる」わけではありません。アメリカ生殖医学会のデータなどによると、卵子1個あたりの出産率(赤ちゃんを抱ける確率)は、採卵時の年齢によって以下のように推移します。

30歳未満約10~12%
35~39歳約5~10%
40歳以上3%未満

この数字を見て、どう感じられたでしょうか。「意外と低い」と思われたかもしれません。
卵子1個では心許ないため、妊娠の可能性を高めるには、ある程度の個数を凍結する必要があります。

「10個あれば安心」ではない?必要な凍結個数の目安

では、何個凍結すればよいのでしょうか。
一般的に、将来1人の赤ちゃんを授かるために必要とされる凍結卵子の目安は以下の通りです。

35歳以下10個~15個
38歳前後20個以上

例えば38歳の方が20個の卵子を確保しようとすると、卵巣機能(AMH値)によっては、2回、3回と採卵を繰り返す必要があります。
採卵回数が増えれば、当然ながら費用も身体的負担も倍増します。「1回採卵したから安心」ではなく、年齢に応じた「必要個数」を確保できて初めて、現実的な選択肢となるのです。

35歳と40歳の大きな壁。卵子の質と染色体異常のリスク

女性の妊娠力は35歳を境に緩やかに、そして40歳を過ぎると急激に低下します。その最大の原因は「卵子の質の低下(老化)」と「染色体異常の増加」です。 卵子凍結は、この「質」を採卵した時点の状態で保存できるのが最大のメリットです。つまり、34歳で凍結した卵子を40歳で使った場合、卵子の質は34歳のままです。妊娠率や流産率は、40歳の自然妊娠よりも良好な結果が期待できます。

しかし、そもそも凍結する時点(採卵時)の年齢が高ければ、凍結する卵子自体の染色体異常率が高いため、融解して受精させても育たない可能性が高くなります。だからこそ、東京都の助成金も39歳までと制限されているのです。
「やるなら少しでも早く」、これが生殖医療における鉄則です。

パートナーがいるなら「卵子凍結」より「胚凍結」を推奨する理由

もし、現在ご結婚されている、あるいは事実婚のパートナーがいらっしゃる場合は、未受精卵の凍結ではなく、精子と受精させた状態での「胚(受精卵)凍結」を強くお勧めします。その理由を解説します。

融解後の生存率と妊娠率の圧倒的な差

卵子は単一の細胞であり、水分を多く含んでいるため、凍結・融解のストレスにやや弱い側面があります。一方、受精卵(胚)は細胞分裂が進んでおり、構造的に凍結に強く、融解後の生存率は99%近くと非常に高いです。また、未受精卵は融解後に精子と受精させるステップが必要ですが、ここでもし受精しなければ、そこで終了となります。胚凍結であれば、「受精済み」の壁を越えているため、妊娠までのハードルが一つ減っている状態と言えます。

「受精卵」にしておくことで分かること(グレードと選別)

採卵した卵子を受精させ、培養して「胚盤胞」という段階まで育ててから凍結する場合、その過程で胚のグレード(質)を確認することができます。「この卵子は受精能力があったのか」「どこまで育つ力があるのか」を、凍結する前に確認できるのは大きなメリットです。未受精卵凍結の場合、数年後に融解していざ受精させようとした時に初めて「受精しない卵子だった」と判明するリスクがあります。未来の不確実性を減らすためにも、パートナーがいる場合は胚凍結が第一選択となります。

事実婚・既婚の方は胚凍結が適応。助成金の違いに注意

パートナーがいる場合、それは不妊治療の一環としての「胚凍結」となり、今回の東京都の「卵子凍結助成金(社会的適応)」の対象にはなりません。しかし、不妊治療としての胚凍結であれば、保険適用や、東京都の「不妊治療費(先進医療)助成」などが使える可能性があります。ご自身の状況に合わせて、どの制度が使えるのかをクリニックで相談しましょう。

卵子凍結の具体的な流れと採卵の痛み・リスク

「採卵」と聞くと、手術のような怖いイメージを持つ方も多いでしょう。
具体的な流れと、痛みへの対策についてお伝えします。

自分の在庫を知る「AMH検査」からスタート

まずは、ご自身の卵巣にどれくらい卵子が残っているかを知るためのAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査を行います。
この数値が高いと多くの卵子が採れる可能性が高く、低いと採れる数が少なくなり、複数回の採卵が必要になる可能性があります。AMH値は治療計画を立てるための重要な羅針盤です。

採卵は痛い?麻酔の種類と身体への負担

採卵は、超音波ガイド下で膣から細い針を卵巣に刺し、卵子を吸引します。所要時間は10~20分程度です。 「針を刺すなんて痛そう…」と不安になりますよね。当院を含め多くのクリニックでは、静脈麻酔(眠る麻酔)や局所麻酔を使用します。静脈麻酔を使えば、眠っている間に終わるため、痛みを感じることはほとんどありません。採卵後は少し安静にしてから、その日のうちに帰宅できます。翌日からは通常通り仕事も可能です。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)などの副作用リスク

多くの卵子を育てるために排卵誘発剤(注射など)を使用すると、卵巣が腫れてお腹に水が溜まる「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」という副作用が出ることがあります。お腹の張りや吐き気が出ることがありますが、現在は薬の調整により重症化することは稀です。リスクが高い方(PCOSの方など)には、誘発方法をマイルドにするなど、個別の対策を行います。

将来のために今できる「卵子の質」を保つ生活習慣

凍結をする・しないに関わらず、将来の妊娠のために今からできることがあります。
卵子の「老化」そのものは止められませんが、質を「不必要に下げない」ための努力は有効です。

卵子の老化は止められないが、質を下げる要因は排除できる

卵子の質は、日々の生活習慣の影響を受けます。特に「酸化ストレス(体のサビ)」と「糖化ストレス(体のコゲ)」は大敵です。過度なストレス、睡眠不足、乱れた食生活は、活性酸素を増やし、卵子の細胞内にあるミトコンドリア(エネルギー工場)の機能を低下させます。

ミトコンドリアを元気に。抗酸化作用のある食事とサプリ

卵子が受精し、分割していくには膨大なエネルギーが必要です。そのエネルギーを作るミトコンドリアを元気に保つことが大切です。ビタミンC、ビタミンE、コエンザイムQ10などの抗酸化作用のある栄養素を意識して摂りましょう。また、バランスの良い食事(地中海式食事法など)は、全身の健康だけでなく、生殖機能の維持にも良い影響を与えます。

喫煙は最大の敵。生活リズムとストレス管理の重要性

これだけは覚えておいてください。喫煙は卵子の質を著しく低下させ、閉経を早めます。将来妊娠を望むなら、今すぐ禁煙すべきです。また、適度な運動は血流を良くし、卵巣への栄養供給を助けます。ストイックになりすぎず、心地よい生活リズムを整えることが、結果的に未来の赤ちゃんへのプレゼントになります。

【事例紹介】卵子凍結をした女性たちのその後

実際に卵子凍結を選択した女性たちが、その後どのような人生を歩んだのかイメージをご紹介します。

Case1: キャリアのために凍結し、数年後に自然妊娠したAさん(32歳で凍結)

大手企業で働くAさんは、海外赴任が決まった32歳の時に「今は結婚できないけれど、将来は絶対に子供が欲しい」と20個の卵子を凍結しました。帰国後、36歳で現在のパートナーと出会い結婚。すぐに妊活を始めましたが、なんと自然妊娠され、無事出産されました。「凍結卵子は使いませんでしたが、『もしダメでも凍結卵子がある』という心の余裕が、婚活や妊活のプレッシャーを減らしてくれたと思います」と仰っていました。現在も卵子は、第二子のために保管されています。

Case2: 40歳で凍結卵子を使用し、貴重な1個で出産したBさん(38歳で凍結)

38歳で「パートナーはいないけれど、最後のチャンスかもしれない」と卵子凍結を決意したBさん。AMHが低く、3回の採卵でなんとか8個を凍結しました。その後40歳で結婚。自然妊娠や人工授精を試みましたがうまくいかず、凍結卵子の使用を決断。8個を融解し、6個が生存、受精して胚盤胞になったのはたった1個でした。しかし、その貴重な1個の胚盤胞が見事に着床し、41歳で元気な女の子を出産されました。「あの時、勇気を出して凍結しておいて本当によかった。この子がいない人生は考えられません」という言葉が印象的でした。

「使わなかった」としても、それは無駄ではない

統計的には、凍結卵子を実際に使用する人は10~30%程度と言われています。多くは自然妊娠したり、あるいはライフプランの変化で使用しなかったりします。「使わなければお金の無駄」と考える方もいるかもしれませんが、「心の保険」として、その時期のキャリアや人生を全力で生きるための支えになったのであれば、その投資には十分な価値があったと言えるのではないでしょうか。

もし迷っているなら、ぜひ一度当院へご相談ください。
あなたのライフプランに寄り添い、医学的な視点からベストな提案をさせていただきます。

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