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不正出血はストレスが原因?!生殖医療専門医が教える見極め方と改善法【妊活中の方必見】

  • 公開日:2025.12.24
  • 更新日:2025.12.25
不正出血はストレスが原因?!生殖医療専門医が教える見極め方と改善法【妊活中の方必見】|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院

「また不正出血があった…仕事のストレスのせいかな?」 「妊活中なのに、予定外の出血が続いて不安…」

予期せぬ出血に戸惑い、「これは大丈夫なの?」「病気のサイン?」と不安な夜を過ごしていませんか。特に30代、40代で妊娠を希望されている方にとって、不正出血は心配の種となりやすいものです。

日々の診療の中で、多くの患者様から「ストレスで不正出血が起こるって本当ですか?」というご質問をいただきます。答えは「はい」です。ストレスは確かに不正出血の原因となり得ますが、それだけではありません。大切なのは、ストレスと不正出血の関係を正しく理解し、適切に対処することです。

この記事では、不正出血とストレスの医学的なメカニズムから、具体的な対処法、そして受診のタイミングまで、あなたの不安を解消するために必要な情報を詳しくお伝えします。

不正出血とは?基本を理解しよう

正常な月経と不正出血の違い

不正出血とは、正常な月経以外の出血のことを指します。正常な月経は、25~38日周期で、出血期間が3~7日間、ある程度予測可能なタイミングで起こるものです。一方、不正出血は月経周期とは関係なく、予期しないタイミングで起こる出血です。

不正出血の特徴は様々です。少量の茶色いおりもの程度のものから、月経のような鮮血まで、量も色も異なります。また、数時間で止まるものもあれば、数日間続くものもあります。「これは月経なのか不正出血なのか」と迷われる方も多いのですが、予定していた月経時期とずれている出血や、通常の月経と明らかに様子が違う出血は、不正出血と考えてよいでしょう。

特に30代後半から40代では、ホルモンバランスの変化により、月経周期が不規則になることがあります。このため、不正出血との区別が難しくなることもありますが、記録をつけることで判断しやすくなります。

不正出血の種類と特徴

不正出血は、大きく分けて「器質性出血」と「機能性出血」の2つに分類されます。器質性出血とは、子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、子宮頸がん、子宮体がんなど、子宮や卵巣に何らかの病変がある場合の出血です。一方、機能性出血は、明らかな病変がなく、ホルモンバランスの乱れによって起こる出血で、ストレスが原因となるのは主にこちらのタイプです。

機能性出血の中でも、排卵期に起こる「中間期出血」は比較的よく見られます。排卵時にエストロゲンが一時的に低下することで、少量の出血が起こるもので、2~3日で自然に止まることが多く、心配のないケースがほとんどです。しかし、毎周期繰り返す場合や量が多い場合は、受診をお勧めします。

また、ストレスによる機能性出血は、予測不可能なタイミングで起こり、量も期間も不定期なことが特徴です。これは、ストレスが視床下部に影響を与え、ホルモン分泌のリズムが乱れることで起こります。詳しいメカニズムは次の章で解説します。

ストレスが不正出血を引き起こすメカニズム

ストレスとホルモンバランスの関係

ストレスと女性ホルモンは、想像以上に密接な関係があります。私たちの体には、ストレスを感じると「コルチゾール」というホルモンが副腎から分泌されます。このコルチゾールは、短期的にはストレスから体を守る働きをしますが、慢性的に高い状態が続くと、女性ホルモンの分泌に影響を及ぼします。

女性ホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、この2つがバランスよく分泌されることで、規則正しい月経周期が保たれています。しかし、ストレスによってコルチゾールの分泌が増えると、エストロゲンとプロゲステロンの分泌バランスが崩れ、子宮内膜が不安定な状態になります。その結果、本来はがれ落ちるべきでないタイミングで内膜の一部がはがれ、不正出血として現れるのです。

また、ストレスは自律神経のバランスも乱します。交感神経が優位な状態が続くと、血管の収縮や血流の変化が起こり、これも不正出血の一因となることがあります。現代社会では、仕事のプレッシャー、人間関係の悩み、不妊治療への焦りなど、様々なストレスにさらされています。これらが積み重なることで、気づかないうちに体に影響が出ていることも少なくありません。

視床下部-下垂体-卵巣軸への影響

女性ホルモンの分泌は、脳の視床下部、下垂体、そして卵巣という3つの器官が連携して調整しています。これを「視床下部-下垂体-卵巣軸(HPO軸)」と呼び、月経周期を司る非常にデリケートなシステムです。

視床下部は、体のストレス状態を最も敏感に感知する部位です。ストレスを受けると、視床下部からのGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌パターンが乱れます。すると、下垂体からのFSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)の分泌にも影響が及び、最終的に卵巣からのエストロゲンとプロゲステロンの分泌が不安定になります。

このHPO軸の乱れは、単に不正出血だけでなく、排卵障害や無月経にもつながることがあります。特に、長期間にわたる強いストレスは、排卵そのものが起こらなくなる「無排卵周期」を引き起こすこともあります。妊娠を希望されている方にとって、これは大きな問題です。ストレスによる一時的なホルモン変動であれば、ストレスが軽減されれば自然に回復しますが、慢性化すると治療が必要になることもあるため、早めの対処が重要です。

30代・40代女性が特に注意すべき理由

30代後半から40代の女性は、ストレスによる不正出血が起こりやすい年代です。その理由は、年齢に伴う卵巣機能の低下とストレスの影響が重なるためです。この年代になると、卵巣から分泌されるホルモンの量が徐々に減少し始め、もともとホルモンバランスが不安定になりやすい状態にあります。そこにストレスが加わることで、さらにバランスが崩れやすくなるのです。

また、30代・40代は、ライフステージ的にも多くのストレスを抱えやすい時期です。仕事では責任ある立場になり、家庭では育児や介護、不妊治療に取り組んでいる方も多くいらっしゃいます。睡眠時間の確保も難しく、自分のケアが後回しになりがちです。こうした複数のストレス要因が重なることで、体は慢性的なストレス状態に陥りやすくなります。

さらに、この年代では、子宮筋腫や子宮内膜症や子宮がんなどの器質的な疾患も増えてきます。ストレスによる機能性出血なのか、病気による器質性出血なのかを見極めることが重要です。特に妊娠を希望されている方は、不正出血を「ストレスのせい」と軽視せず、きちんと原因を確認することとおすすめします。

ストレス以外の不正出血の原因

器質的な原因(子宮筋腫・ポリープなど)

不正出血の原因は、前述した通りストレスだけではなく、子宮や卵巣に何らかの病変がある場合、これが不正出血の原因となることがあります。最も多いのは子宮筋腫で、30代以上の女性の約20~30%に見られる良性の腫瘍です。特に、粘膜下筋腫(子宮内腔に突出するタイプ)は、月経量の増加や不正出血を引き起こしやすくなります。

子宮内膜ポリープも、不正出血の原因としてよく見られます。これは子宮内膜の一部がポリープ状に増殖したもので、超音波検査や子宮鏡検査で診断することができます。また、子宮頚管ポリープは、赤みを帯びた柔らかい組織が子宮頸部から突出したもので、不正出血の原因となります。特に、小さくても出血しやすいため、性交後の出血の原因となることがあります。

子宮内膜症や子宮腺筋症も、不正出血を伴うことがあります。特に子宮内膜症は、30代・40代の女性に多く、不妊症とも関連が深い疾患です。月経痛が徐々に強くなっている、性交痛がある、不正出血を繰り返すといった症状がある場合は、子宮内膜症の可能性も考慮する必要があります。

最も重要なのは、子宮頸がんや子宮体がんなどの悪性疾患の可能性を除外することです。特に40代以降、がんの初期症状である可能性もあるため、必ず婦人科を受診して検査を受けることが大切です。早期発見であれば、治療の選択肢も広がります。

ホルモン異常による原因

また、ホルモンバランスの乱れによって不正出血が起こることがあります。代表的なのは「黄体機能不全」で、排卵後に形成される黄体からのプロゲステロン分泌が不十分な状態です。プロゲステロンは子宮内膜を安定させる働きがありますが、これが不足すると内膜が不安定になり、月経前に少量の出血が続いたり、月経期間が延びたりします。

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)も、不正出血の原因となることがあります。PCOSでは、卵巣に多数の小さな卵胞ができて排卵しにくくなり、エストロゲンが優位な状態が続きます。その結果、子宮内膜が過剰に増殖し、不定期に出血することがあります。PCOSは、月経不順、多毛、ニキビなどの症状を伴うことが多く、不妊症の原因としても重要です。

甲状腺機能異常(甲状腺機能低下症や亢進症)も、月経異常や不正出血を引き起こします。甲状腺ホルモンは、全身の代謝だけでなく、女性ホルモンの分泌にも影響を与えるためです。疲れやすい、体重の変化、動悸、冷えなどの症状がある場合は、甲状腺の検査も必要かもしれません。

また、高プロラクチン血症も不正出血の原因となることがあります。プロラクチンは本来、授乳時に分泌されるホルモンですが、ストレスや薬剤の影響で過剰に分泌されることがあります。これにより排卵障害や無月経、あるいは不正出血が起こることがあります。

排卵期出血との見分け方

不正出血の中でも、心配のない生理的なものが「排卵期出血(中間期出血)」です。これは、排卵時にエストロゲンが一時的に低下することで起こる出血で、多くの女性が経験します。月経周期が28日の方であれば、月経開始から12~16日目頃、つまり次の月経予定日の約2週間前に起こることが特徴です。

排卵期出血の典型的な特徴は、少量の出血(おりものに血が混じる程度から、少量の鮮血まで)で、期間は1~3日程度と短いことです。色は茶色っぽいことが多く、腹痛を伴うこともあります。基礎体温をつけている方であれば、低温期から高温期に移行する時期に起こる出血であることが確認できます。

排卵期出血と病的な不正出血を見分けるポイントは、規則性と量です。毎周期ほぼ同じ時期に起こり、量が少なく短期間で止まるのであれば、排卵期出血の可能性が高く、特に心配はいりません。一方、不規則なタイミングで起こる、量が多い、期間が長い、繰り返す場合は、他の原因を考える必要があります。

ただし、排卵期出血が毎周期起こり、量が多い場合は、黄体機能不全の可能性もあります。特に妊娠を希望されている方は、一度ホルモン検査を受けて、排卵後のプロゲステロンの分泌が十分かどうかを確認するのも1つです。排卵期出血自体は妊娠に影響しませんが、その背景にホルモンバランスの問題が隠れていることもあるためです。

不正出血とストレスのセルフチェック

注意すべき不正出血の特徴

全ての不正出血が緊急性を要するわけではありませんが、以下のような特徴がある場合は、早めの受診が必要です。まず、大量の出血がある場合です。ナプキンを1時間ごとに交換しなければならないほどの出血や、レバー状の血の塊が出る場合は、すぐに受診してください。

次に、出血が2週間以上続く場合です。少量でも長期間続く出血は、子宮内の病変やホルモン異常のサインかもしれません。

性交後の出血(接触出血)も要注意です。これは子宮頸部のポリープやびらん、あるいは子宮頸がんの初期症状である可能性があります。繰り返す場合は、必ず子宮頸がん検診を受けてください。また、下腹部痛を伴う不正出血、特に片側の強い痛みがある場合は、卵巣出血の可能性もあるため、緊急の受診が必要です。

妊娠の可能性がある場合の出血も注意が必要です。妊娠初期の出血は、流産や異所性妊娠(子宮外妊娠)の兆候かもしれません。妊娠検査薬が陽性になった後に出血があった場合は、すぐに産婦人科を受診してください。また、40歳以上の方、特に45歳を過ぎた方の不正出血は、閉経移行期の症状である可能性もありますが、子宮体がんのリスクも考慮し、必ず検査を受けることをお勧めします。

ストレスレベルの確認方法

不正出血とストレスの関連を理解するためには、自分のストレスレベルを客観的に把握することが大切です。以下のチェックリストで、あなたの現在のストレス状態を確認してみましょう。該当する項目が多いほど、ストレスが不正出血の原因となっている可能性が高まります。

身体的なサイン:

  • 夜、なかなか寝付けない、または夜中に何度も目が覚める
  • 朝起きても疲れが取れていない
  • 食欲が極端に増えた、または減った
  • 頭痛や肩こり、腰痛が慢性化している
  • 胃痛や下痢・便秘が続いている
  • 動悸や息苦しさを感じることがある

精神的なサイン:

  • 些細なことでイライラする
  • 以前楽しめていたことに興味が持てない
  • 集中力が続かず、仕事の効率が落ちている
  • 漠然とした不安感がある
  • 自分を責めたり、悲観的に考えることが多い

生活習慣のサイン:

  • 1日6時間未満の睡眠が続いている
  • 休日も仕事のことを考えてしまう
  • 1人でリラックスする時間がほとんどない
  • アルコールやカフェインの摂取量が増えた
  • 運動不足を感じている

これらのサインは、体がストレスに対処しきれていない状態を示しています。不正出血に加えて、これらの症状が複数ある場合は、ストレスが原因である可能性が高いと考えられます。ただし、ストレスと器質的な疾患が併存していることもあるため、不正出血が続く場合は、ストレス管理と並行して、必ず医療機関で検査を受けることをお勧めします。

専門医が教える対処法

すぐにできるストレス管理法

ストレスによる不正出血を改善するには、まずストレス自体を軽減することが最も重要です。とはいえ、仕事や人間関係のストレスを完全になくすことは難しいものです。そこで、日常生活の中で実践できる、効果的なストレス管理法をご紹介します。

まず、深呼吸とマインドフルネスです。1日に数回、5分間だけでも構いません。静かな場所で、ゆっくりと深く呼吸することで、自律神経のバランスが整います。吸う時は4秒、止めて7秒、吐く時は8秒というリズムで行う「4-7-8呼吸法」は、特にストレス軽減に効果的です。寝る前に行うと、睡眠の質も向上します。

次に、自分だけの時間を確保することです。たとえ15分でも構いません。好きな音楽を聴く、お気に入りのカフェでお茶を飲む、ストレッチをするなど、自分が心地よいと感じることをする時間を意識的に作りましょう。「時間がない」と思うかもしれませんが、この小さな積み重ねが、ストレス耐性を高めます。

また、信頼できる人に話を聞いてもらうことも大切です。悩みを言葉にするだけで、気持ちが整理され、ストレスが軽減されることがあります。パートナー、友人、家族、あるいは専門のカウンセラーでも構いません。1人で抱え込まないことが重要です。

笑うことも、ストレス軽減に効果があります。お笑い番組を見る、面白い漫画を読むなど、意識的に笑う機会を作ってみてください。笑うことで、ストレスホルモンのコルチゾールが減少し、幸せホルモンのエンドルフィンが分泌されます。

生活習慣の見直しポイント

ストレス管理と並行して、生活習慣を見直すことも、不正出血の改善に有効です。特に、睡眠、食事、運動の3つの柱を整えることが、ホルモンバランスの回復につながります。

睡眠の質を高める工夫

質の良い睡眠は、ホルモンバランスを整える上で最も重要な要素の一つです。理想的な睡眠時間は7~8時間ですが、長さだけでなく、質も大切です。まず、就寝時刻と起床時刻をできるだけ一定にすることで、体内時計が整います。休日も含めて、毎日同じ時間に寝起きすることを心がけてください。

寝る1~2時間前には、スマートフォンやパソコンの使用を控えましょう。ブルーライトは、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制し、入眠を妨げます。代わりに、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、軽いストレッチをする、読書をするなど、リラックスできる活動を取り入れてください。

寝室の環境も重要です。室温は22度、湿度は50%程度が理想的です。また、遮光カーテンで部屋を暗くし、静かな環境を作ることで、深い睡眠が得られやすくなります。アロマオイル(ラベンダーやカモミールなど)を使うのも効果的です。

カフェインは、夕方以降は控えめにしましょう。コーヒーだけでなく、緑茶や紅茶、エナジードリンクにもカフェインが含まれています。就寝前のアルコールも、一見眠りやすくなるように感じますが、実際には睡眠の質を低下させるため、避けた方が良いでしょう。

食事で整えるホルモンバランス

食事は、ホルモンバランスに直接影響を与えます。まず、1日3食、規則正しく食べることが基本です。特に朝食を抜くと、血糖値が不安定になり、ストレスホルモンの分泌が増えてしまいます。忙しい朝でも、バナナとヨーグルト、おにぎりとみそ汁など、簡単なものでも構いませんので、何か食べるようにしてください。

ホルモンバランスを整えるためには、以下の栄養素を意識的に摂取しましょう

タンパク質: 卵、魚、鶏肉、大豆製品など。ホルモンの材料となる必須アミノ酸を含みます。

ビタミンB: 豚肉、レバー、玄米、納豆など。ストレスに対抗する副腎機能をサポートします。

ビタミンE: ナッツ類、アボカド、かぼちゃなど。抗酸化作用があり、卵巣機能を保護します。

オメガ3脂肪酸: 青魚(サバ、イワシ、サンマ)、亜麻仁油など。炎症を抑え、ホルモンバランスを整えます。

鉄分: レバー、赤身肉、小松菜、ひじきなど。不正出血で失われる鉄を補充します。

逆に、避けた方が良いのは、精製された糖質の過剰摂取、トランス脂肪酸を含む食品、過度のアルコールやカフェインです。これらは血糖値を乱し、炎症を引き起こし、ホルモンバランスを崩す原因となります。

また、体を冷やさないことも大切です。冷たい飲み物や食べ物は控えめにし、温かい食事を心がけましょう。生姜、にんにく、シナモンなどの体を温める食材を積極的に取り入れることもお勧めします。

適度な運動の取り入れ方

運動は、ストレス軽減とホルモンバランスの改善に非常に効果的です。ただし、激しすぎる運動は逆にストレスとなり、かえってホルモンバランスを崩すこともあります。大切なのは、「適度な運動を継続する」ことです。

お勧めなのは、ウォーキング、ヨガ、ピラティス、水泳などの有酸素運動です。特にウォーキングは、道具も必要なく、誰でも始められます。1日30分、週に3~5回を目標にしましょう。通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うなど、日常生活の中で取り入れる工夫をすることで、継続しやすくなります。

ヨガは、ストレス管理に特に効果的です。深い呼吸と緩やかな動きにより、自律神経のバランスが整い、リラックス効果が得られます。また、骨盤周りの血流を改善し、生殖器官の機能をサポートする効果も期待できます。1週間に1~2回、ヨガ教室に通うのも良いですし、最近は自宅で動画を見ながら行うこともできます。

運動のタイミングも重要です。夕方から夜にかけての運動は、その後の睡眠の質を高めます。ただし、就寝直前の激しい運動は逆効果なので、寝る2~3時間前までに終えるようにしましょう。朝の軽いストレッチも、1日の始まりとして効果的です。体が目覚め、血行が良くなります。

運動を始める際は、無理のない範囲から始め、徐々に強度や時間を増やしていくことが継続のコツです。「今日は疲れているから」と完全に休むのではなく、「今日は10分だけ」と短時間でも行うことで、習慣化しやすくなります。

受診すべきタイミングと検査内容

こんな症状があればすぐに受診を

不正出血があっても、全てが緊急性を要するわけではありません。しかし、以下のような症状がある場合は、できるだけ早く婦人科を受診してください。

すぐに受診が必要なケース:

  • 大量の出血(1時間ごとにナプキンを交換する必要がある)
  • レバー状の大きな血の塊が出る
  • 強い下腹部痛や腰痛を伴う出血
  • めまい、立ちくらみ、動悸など貧血症状がある
  • 妊娠の可能性がある状態での出血
  • 性交後に毎回出血する
  • 40歳以上で突然始まった不正出血
  • 閉経後の出血

早めの受診が望ましいケース:

  • 不正出血が2週間以上続いている
  • 月に2回以上、不正出血がある
  • 量は少ないが、数ヶ月間繰り返している
  • 不正出血とともに、おりものの異常(悪臭、色の変化)がある
  • 月経周期が極端に乱れている(24日以内または39日以上)
  • 妊娠を希望しているが、不正出血が続いている

特に30代後半から40代で妊娠を希望されている方は、「様子を見よう」と時間を過ごすことが、妊娠のチャンスを逃すことにつながります。

不妊治療中の方への注意点

不妊治療中の方にとって、不正出血は特に不安な症状です。治療との関連や、今後の治療への影響など、心配されることも多いでしょう。不妊治療中に不正出血があった場合の注意点をお伝えします。

まず、排卵誘発剤を使用している方は、卵巣が刺激されることで、一時的にホルモンバランスが変化し、不正出血が起こることがあります。クロミッドやレトロゾールなどの内服薬でも、少量の不正出血が見られることがありますが、多くは一時的なものです。ただし、量が多い場合や長期間続く場合は、必ず担当医に相談してください。

hCG注射後やプロゲステロン補充中にも、不正出血が起こることがあります。これらは治療の過程で起こる生理的な反応であることが多いですが、自己判断せず、クリニックに相談することをおすすめします。

クリニックで行う検査の流れ

不正出血でクリニックを受診した際、どのような検査が行われるかを知っておくと、不安が軽減されます。一般的な検査の流れをご説明します。

問診: まず、出血の状況について詳しく伺います。いつから、どのくらいの量、色、期間、繰り返しているか、随伴症状(痛み、発熱など)はあるか、最終月経はいつか、妊娠の可能性はあるか、現在服用している薬はあるか、ストレス状況などです。できれば、基礎体温表や月経周期の記録を持参していただくと、診断の助けになります。

内診・超音波検査: 子宮や卵巣の状態を確認します。子宮筋腫、卵巣嚢腫、子宮内膜ポリープなどの器質的な病変がないか、子宮内膜の厚さはどうか、卵巣の状態はどうかなどを評価します。経腟超音波検査は、少し違和感がありますが、痛みはほとんどありません。リラックスして受けていただければと思います。

子宮頸がん検診: 子宮頸部から細胞を採取し、がん細胞やその前段階の異常細胞がないかを調べます。特に性交後出血がある場合や、長期間検診を受けていない場合は必須です。結果が出るまで1~2週間かかります。

血液検査: ホルモン値(エストロゲン、プロゲステロン、FSH、LH、甲状腺ホルモンなど)を測定し、ホルモンバランスの乱れがないかを確認します。また、貧血の有無、炎症反応、妊娠反応なども調べます。必要に応じて、血液凝固機能の検査を行うこともあります。

追加検査: 必要に応じて、子宮鏡検査(子宮内腔を直接観察)、MRI検査(子宮筋腫や子宮腺筋症の詳細評価)、子宮内膜組織診(子宮体がんの検査)などを行います。

これらの検査結果を総合的に判断し、不正出血の原因を特定します。ストレスによる機能性出血と診断された場合は、生活習慣の改善指導や、必要に応じてホルモン剤による治療を行います。器質的な病変が見つかった場合は、それに応じた治療(薬物療法、手術など)を検討します。

よくある質問と回答

質問と回答

Q1: ストレスによる不正出血は、どのくらいで治りますか?

A1: ストレスが軽減されれば、通常数ヶ月以内に改善することが多いです。ただし、慢性的なストレス状態が続いている場合や、ストレス以外の要因も関与している場合は、もう少し時間がかかることもあります。生活習慣の改善を行いながら、2ヶ月程度経過を見て、改善が見られない場合は、ホルモン療法などの治療を検討します。

Q2: 不正出血中に妊娠することはありますか?

A2: はい、可能性はあります。不正出血があっても排卵が起こっていれば、妊娠の可能性はあります。逆に、妊娠初期の着床出血を「不正出血」と勘違いしていることもあります。妊娠を希望されている場合や、妊娠の可能性がある場合は、不正出血があっても妊娠検査薬でチェックすることをお勧めします。

Q3: ピルを飲めば不正出血は治りますか?

A3: ピルは、ホルモンバランスを整え、不正出血の治療に使われることがあります。ただし、すべての不正出血にピルが適しているわけではありません。原因によっては、ピル以外の治療が必要な場合もあります。また、妊娠を希望されている方には使用できません。必ず医師と相談の上、最適な治療法を選択してください。

Q4: 漢方薬は不正出血に効きますか?

A4: 漢方薬は、体質やホルモンバランスを整える効果があり、不正出血の改善に有効なことがあります。特に、ストレスや冷えが関係している場合、当帰芍薬散、温経湯、加味逍遙散、桂枝茯苓丸などが使われることがあります。ただし、漢方薬も薬ですので、自己判断で服用せず、医師や薬剤師に相談してから使用してください。

Q5: 不正出血があると、不妊症になりやすいですか?

A5: 不正出血そのものが直接不妊の原因となるわけではありません。しかし、不正出血の背景にある原因(排卵障害、黄体機能不全、子宮内膜症、子宮筋腫など)が、不妊の原因となることはあります。また、ストレスによる不正出血が続いている場合、そのストレスが排卵障害を引き起こし、結果として妊娠しにくくなることもあります。妊娠を希望されている方は、不正出血を放置せず、早めに原因を特定し、適切に対処することが大切です。

まとめ

不正出血とストレスには、密接な関係があります。ストレスは、視床下部-下垂体-卵巣軸に影響を与え、ホルモンバランスを乱すことで、予期せぬ出血を引き起こします。特に、30代・40代の女性は、年齢による卵巣機能の低下とストレスの影響が重なり、不正出血が起こりやすい年代です。

しかし、全ての不正出血がストレスによるものとは限りません。子宮筋腫、子宮内膜ポリープ、ホルモン異常、さらには子宮頸がんや子宮体がんなど、器質的な病変が隠れていることもあります。そのため、不正出血が続く場合や、大量の出血、強い痛みを伴う場合は、必ず婦人科を受診し、原因を特定することが重要です。

妊娠を希望されている方にとって不正出血は不安な症状です。しかし、適切に対処すれば多くの場合改善します。早めに専門医に相談し原因を明らかにすることをおすすめします。

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