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ERPeak(子宮内膜受容能検査2)

ERPeak検査とは?

ERPeak(子宮内膜胚受容期検査2)は体外受精における胚移植の成功率を高めるための最先端の遺伝子検査であり、この検査では子宮内膜が胚を受け入れる準備ができている期間、すなわち「着床の窓(Implantation Window)」の正確なタイミングを特定します。

通常、着床の窓は黄体ホルモン(プロゲステロン)投与開始から5日後(P+5)とされているものの、実は女性の約30%でこのタイミングにずれが生じていることが分かっています。ERPeak検査ではRT-qPCR法という高精度な技術を用いて、着床に関連する48個の重要な遺伝子の発現量を解析することで、一人ひとりの最適な胚移植時期を明らかにします。

この検査により個人差のある着床の窓のタイミングを正確に把握したうえで、それに合わせて胚移植を行うことができれば、これまで原因不明とされていた着床不全の問題を解決できる可能性があります。

着床の窓(Implantation Window)とは何か

着床の窓とは子宮内膜が受精卵を受け入れることができる限られた期間のことを指します。この期間は通常2~3日程度と非常に短いうえに、このタイミングを逃してしまえば、どんなに質の良い胚を移植しても着床しません。月経周期の中で子宮内膜は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの影響を受けて変化しつつ、特定の時期にのみ胚を受け入れる準備が整います。

ERPeak検査ではこの微妙な子宮内膜の変化を遺伝子レベルで捉え、「受容期前」「受容期」「受容期後」あるいは「非受容期」という4段階で評価します。これによって見た目では判断できない子宮内膜の受容能を科学的に評価し、最適な移植タイミングを導き出すことが可能となります。

なぜ着床の窓のタイミングが重要なのか

胚移植において、胚の質と同じくらい重要なのが子宮内膜の受容能です。体外受精で良好な胚盤胞を移植したにもかかわらず妊娠に至らない場合、その原因の一つとして着床の窓のずれが考えられます。特に反復着床不全の女性の20~30%で着床の窓にずれが認められることが、研究で明らかになっています。

従来の治療ではすべての患者様に対して画一的にP+5のタイミングで移植を行っていたものの、ERPeak検査により個々の患者様に最適なタイミングで移植することが可能になりました。これはパーソナライズド医療の考え方に基づいたものであり、より精密な不妊治療アプローチといえるでしょう。

ERPeak検査が必要な方

ERPeak検査の適応となる患者様の特徴

ERPeak検査は、主に体外受精で良好な胚を複数回移植したにもかかわらず着床しなかった「反復着床不全」の方に推奨される検査です。とりわけ形態学的に良好な胚盤胞を移植したうえで妊娠に至らなかった経験をお持ちの方については、着床の窓のずれが原因である可能性があります。

また卵巣機能が低下している方や、年齢的に貴重胚となる可能性が高い方にも適応となることがあります。限られた胚を最も効果的に移植するために、事前にERPeak検査で最適なタイミングを確認しておくことで、成功の可能性を高めることができます。さらに過去に流産を繰り返している方あるいは原因不明の不妊でお悩みの方にも、検査を検討する価値があります。

反復着床不全の定義と現状

反復着床不全とは、一般的に良好な胚を3回以上移植しても着床に至らない状態を指すものの、施設によっては2回以上の不成功で検査を推奨する場合もあります。日本での体外受精の成功率は約30%程度とされている一方で、反復着床不全の患者様ではさらに成功率が低下する傾向にあります。

ERPeak検査を実施した臨床研究においては、検査結果に基づいて胚移植時期を調整した群で妊娠率が大幅に向上したという報告があります。具体的には、ある研究で生産率が9.7%から29.9%に改善したとの結果が示されていることからも、適切なタイミングでの移植がいかに重要かを物語っています。

検査を検討すべきタイミング

ERPeak検査を検討するタイミングは患者様の状況により異なるものの、一般的には良好胚を複数回移植しても妊娠に至らない場合に推奨されます。ただし年齢が高い方や採卵で得られる胚の数が限られている方であれば、より早い段階で検査を検討することも選択肢の一つです。

担当医と相談したうえで、個々の治療歴や検査結果を総合的に判断し、最適なタイミングで検査を実施することが重要です。

ERPeak検査の具体的な方法と流れ

ERPeak検査の実施手順

ERPeak検査は通常の凍結融解胚移植と同じホルモン補充周期で実施されます。まず月経開始後からエストロゲン製剤を使用することで、子宮内膜を厚く育てます。その後、超音波検査で子宮内膜の厚さが十分(通常8mm以上)になったことを確認したうえで、黄体ホルモン(プロゲステロン)の投与を開始します。

黄体ホルモン投与開始から5日後(P+5)、つまり通常胚移植を行うタイミングにおいて、胚移植の代わりに子宮内膜生検を実施します。採取には細いピペット(カニューレ管)を使用して子宮内膜の一部を吸引採取しますが、この処置は通常3分程度で終了するため麻酔は必要ありません。採取した検体は専門の検査機関に送られたのち、RT-qPCR法により48個の遺伝子発現を解析します。

子宮内膜採取の実際と痛みについて

子宮内膜の採取は経膣的に行われる比較的簡単な処置です。使用するカニューレは非常に細いため、子宮頸管を通してスムーズに子宮内に挿入されます。多くの患者様は「生理痛のような軽い痛み」と表現される程度の不快感を感じることはあるものの、激しい痛みを伴うことは稀です。

処置後は少量の出血が見られることがありますが、通常は当日中に止まります。まれに軽い下腹部痛が続く場合でも、鎮痛剤で対処可能なレベルです。検査当日は安静にすることが推奨される一方で、翌日からは通常の生活に戻ることができます。

検査結果が出るまでの期間と過ごし方

ERPeak検査の結果は検体採取から約2~3週間で判明しますので、この期間中は次の移植周期に向けた準備期間として活用できます。検査を行った周期では胚移植はできないことから、結果を待ちつつ体調を整えることに専念することが大切です。

結果が出るまでの間、規則正しい生活習慣を心がけるとともに、ストレスを減らすことが推奨されます。また葉酸やビタミンDなどのサプリメントの服用を継続したうえで、適度な運動や十分な睡眠を取ることにより、次の移植に向けて最良の状態を保つことができます。医師と相談しつつ、必要に応じて他の検査(子宮内フローラ検査など)を併せて行うこともあります。

ERA検査との違い

ERPeakとERA検査の技術的な違い

ERPeak検査とERA検査はどちらも着床の窓を調べる検査であるものの、使用する技術と解析方法に大きな違いがあります。ERA検査はNGS(次世代シーケンシング)法を用いて238個の遺伝子を網羅的に解析する一方で、ERPeak検査はRT-qPCR法により着床に最も重要な48個の遺伝子に絞って解析を行います。

この違いによりERPeak検査にはいくつかの利点があります。まず解析遺伝子数を厳選することでノイズが減少するため、診断精度の向上が期待できます。またRT-qPCR法はダイナミックレンジが広いことから、少量の検体でも正確な判定が可能です。ERA検査では検体量不足で再検査となるケースがあるのに対し、ERPeak検査では再検査率が低いという特徴があります。

ERPeak検査のメリットと精度

ERPeak検査の最大のメリットは、少量の子宮内膜組織で検査が可能な点にあります。これによって子宮内膜が薄い方あるいは採取時の出血が少ない方でも、確実に検査結果を得ることができます。また検査結果が出るまでの期間もERA検査より短いため、治療計画を立てやすいという利点があります。

どちらの検査を選ぶべきか

ERPeak検査は特に子宮内膜が薄い方や、過去にERA検査で再検査となった経験がある方に適しています。またより早く結果を知りたい方あるいは検査時の身体的負担を最小限にしたい方にも推奨されます。

一方でERA検査は世界的に広く普及しているうえに、長年の実績があるという利点があります。最終的には担当医と十分に相談したうえで、個々の状況に最も適した検査を選択することが重要です。

ERPeak検査の費用と先進医療について

ERPeak検査にかかる費用の詳細

費用には、子宮内膜の採取、検体の処理、遺伝子解析、結果報告までが含まれています。ただし、検査を行うための準備周期に必要な薬剤費や超音波検査などの費用は別途必要となります。

先進医療としての位置づけと保険適用

ERPeak検査は、「先進医療A」として認定されており保険診療との併用が可能です。先進医療とは、厚生労働省が定める高度な医療技術で、将来的に保険適用を検討される可能性がある治療法です。検査自体は自費診療となりますが、同じ周期の他の診療行為については保険適用が可能な場合があります。

2022年4月から不妊治療の保険適用が開始されましたが、ERPeak検査については先進医療の扱いとなっているため、検査費用は全額自己負担となります。ただし、医療費控除の対象となるため、確定申告により一部還付を受けることができます。また、一部の民間医療保険では先進医療特約により給付対象となる場合があるので、加入している保険会社に確認してみてください。

結果の見方と胚移植時期の調整

ERPeak検査結果の4つのパターン

ERPeak検査の結果は、「受容期前(Pre-receptive)」「受容期(Receptive)」「受容期後(Post-receptive)」「非受容期(Non-receptive)」の4つのパターンで報告されます。最も多いのは「受容期」で、この場合は従来通りP+5での移植が適切です。一方、「受容期前」の場合は子宮内膜の準備がまだ整っていないため、P+6やP+7など、より遅いタイミングでの移植が推奨されます。

「受容期後」と判定された場合は、子宮内膜の受容能が既に過ぎているため、P+4など早めのタイミングでの移植が必要です。「非受容期」は子宮内膜が胚を受け入れる準備ができていない状態を示し、この場合は再検査や治療方針の見直しが必要となることがあります。検査結果には、具体的な移植推奨時期も記載されるため、次回の移植計画が立てやすくなります。

個別化された胚移植(pET)の実施

ERPeak検査の結果に基づいて行う胚移植は、「個別化胚移植(personalized Embryo Transfer: pET)」と呼ばれます。これは、画一的なプロトコールではなく、個々の患者様の着床の窓に合わせて移植タイミングを調整する、オーダーメイドの治療アプローチです。

例えば、検査で「12時間の遅れ」と判定された場合、黄体ホルモン投与を12時間早く開始するか、移植を12時間遅らせることで対応します。このような細かな調整により、子宮内膜が最も受容的な状態で胚を迎え入れることができ、着床率の向上が期待できます。

検査結果に基づく治療計画の立案

ERPeak検査の結果が判明したら、担当医と詳細な治療計画を立てます。移植時期の調整だけでなく、使用する薬剤の種類や投与方法についても検討が必要です。例えば、着床の窓が大幅にずれている場合は、ホルモン補充の方法を変更したり、自然周期での移植を検討したりすることもあります。

ERPeak検査を受ける前に知っておきたいQ&A

Q-A

Q1:検査周期に移植はできますか?

A1:できません。検査周期は組織を採取するため、受精卵の移植は行えません。検査結果に基づき、次周期以降に移植を行います。

Q2:子宮内膜炎の検査も同時にできますか?

A2:慢性子宮内膜炎検査や子宮内フローラ検査と同時に検体採取を行うことが可能です。一度の痛みで複数の検査を行えるため、希望される場合は医師にご相談ください。

Q3:結果が「ズレなし」だった場合は無意味ですか?

A3:無意味ではありません。「タイミングは合っている」ということが医学的に証明されるため、着床しない原因を「胚側の問題」や「不育症」など他の要因に絞り込むことができ、治療方針の決定に大きく役立ちます。

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