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精液検査

一般不妊検査における精液検査の重要性

不妊原因の約50%は男性側にある事実

不妊症の原因は女性だけにあると思われがちですが、実際には約50%は男性側に原因があることが明らかになっています。つまり、ご夫婦の2組に1組は男性側の要因が関わっているということです。WHO(世界保健機関)の調査では、男性のみに原因がある場合が24%、男女両方に原因がある場合が24%と報告されています。これは、不妊治療を成功させるためには、女性だけでなく男性も積極的に検査を受ける必要があることを示しています。多くのご夫婦が女性だけで婦人科を受診してしまいますが、最初から夫婦で検査を受けることで、より効率的な治療計画を立てることができます。

自覚症状がない男性不妊の特徴

男性不妊の大きな特徴は、ほとんどの場合自覚症状がないことです。精子の数が少ない、運動率が低い、形態異常があるといった問題があっても、日常生活では全く気づきません。性機能に問題がなく、正常に射精できていても、精液中の精子に問題がある可能性があります。実際に、精液検査を受けて初めて男性不妊が発覚するケースがほとんどです。このため、「自分は大丈夫だろう」と思っている男性でも、妊活を始める際には必ず精液検査を受けることが推奨されています。早期に問題を発見できれば、適切な治療により妊娠の可能性を高めることができます。

早期検査が妊娠への近道となる理由

不妊治療において時間は非常に重要な要素です。女性の年齢が上がるにつれて妊娠率は低下しますが、実は男性の精子も加齢とともに質が低下することがわかっています。そのため、早期に精液検査を受けて現状を把握することが、妊娠への近道となります。もし精液検査で異常が見つかった場合でも、生活習慣の改善や薬物治療、場合によっては手術などの治療法があります。精液所見の改善には通常3〜6ヶ月程度かかるため、早めの検査と治療開始が重要です。また、精液検査の結果によって、タイミング法、人工授精、体外受精など、最適な不妊治療法を選択できるため、無駄な時間と費用を削減できます。

精液検査で調べる4つの基本項目とWHO基準値(2021年最新版)

精液量(1.4ml以上)

精液量は、1回の射精で出る精液の総量を測定します。WHO基準値では1.4ml以上が正常とされています。精液量が少ない場合、精子の絶対数も少なくなるため、妊娠の可能性が低下します。極端に少ない場合(0.5ml未満)は、逆行性射精といって精液が膀胱に逆流している可能性も考えられます。精液量は禁欲期間によっても変化し、3〜5日の適切な禁欲期間を守ることで正確な検査結果が得られます。また、採取時に一部をこぼしてしまった場合は正確な測定ができないため、全量を採取することが重要です。

精子濃度(1600万/ml以上)

精子濃度は、精液1mlあたりに含まれる精子の数を示します。2021年に改訂されたWHO基準では、1600万/ml以上が正常値とされています。この数値を下回る場合は「乏精子症」と診断されます。精子濃度が500万/ml未満の場合は「高度乏精子症」、精子が全く存在しない場合は「無精子症」と診断されます。精子濃度は日々の体調やストレスによって大きく変動するため、1回の検査で判断するのではなく、複数回の検査結果を総合的に評価することが重要です。また、総精子数(精液量×精子濃度)も重要な指標となり、3900万個以上が正常とされています。

精子運動率(42%以上)

精子運動率は、精液中で活発に動いている精子の割合を示します。WHO基準では42%以上が正常とされており、前進運動率(まっすぐ前に進む精子)は30%以上が望ましいとされています。運動率が低い場合は「精子無力症」と診断されます。精子が卵子まで到達するためには、十分な運動能力が必要です。運動率が低いと、精子が卵管まで泳いでいけず、受精の可能性が低下します。精子の運動率は温度に敏感で、20℃以下や38℃以上では著しく低下するため、検査時の温度管理も重要な要素となります。

精子正常形態率(4%以上)

精子正常形態率は、正常な形をした精子の割合を示します。WHO基準では4%以上が正常とされています。この数値は意外に低く感じるかもしれませんが、実際にはほとんどの男性で正常形態の精子は少数派です。形態異常の精子が多い場合は「奇形精子症」と診断されます。精子の形態異常は、頭部、中片部、尾部のいずれかに異常がある場合を指し、受精能力の低下や、受精後の胚発育不良、流産率の上昇に関連するとされています。形態評価は検査者の技術や経験に左右されやすいため、専門的な施設での検査が推奨されます。

基準値を下回る場合の診断名

精液検査の結果がWHO基準値を下回った場合、以下のような診断名がつけられます。乏精子症(精子濃度1600万/ml未満)、精子無力症(運動率42%未満)、奇形精子症(正常形態率4%未満)、乏精液症(精液量1.4ml未満)などです。これらが複数組み合わさることも多く、例えば「乏精子無力症」のように診断されることもあります。ただし、基準値を下回っていても妊娠の可能性がゼロになるわけではありません。これらの診断は、自然妊娠の確率が低下することを示すものであり、適切な治療や人工授精、体外受精などの補助生殖医療により妊娠は十分可能です。

まとめ
精液量1.4ml以上
精子濃度1600万/ml以上
精子運動率42%以上
精子正常形態率4%以上

精液検査を受けるベストタイミングと準備

不妊治療開始時に夫婦で検査を受ける理由

不妊の定義は、避妊をせずに1年間性交渉を持っても妊娠しない状態を指します。このタイミングで女性だけが検査を受けるのではなく、夫婦そろって検査を受けることが理想的です。なぜなら、男性側に原因がある場合、女性だけが検査や治療を受けても効果が期待できないからです。実際に、女性が長期間タイミング法や排卵誘発剤の治療を受けた後で、男性の精液検査で重度の異常が見つかるケースも少なくありません。最初から夫婦で検査を受けることで、無駄な時間と費用を削減し、最適な治療方針を早期に決定できます。また、35歳以上のご夫婦や、半年以上妊娠しない場合は、より早めの検査が推奨されます。

禁欲期間3〜5日間の重要性

精液検査を受ける前には、3〜5日間の禁欲期間(射精をしない期間)を設けることが推奨されています。この期間が短すぎると精液量や精子濃度が低く出てしまい、逆に長すぎると古い精子が蓄積して運動率や正常形態率が悪化します。特に7日以上の長期禁欲は、DNAダメージを受けた精子の割合が増加するため避けるべきです。禁欲期間中は通常通りの生活を送って問題ありませんが、十分な睡眠(7〜8時間)を取ることで精液所見が良好になることが報告されています。

検査前に知っておきたい注意事項

精液検査を受ける前には、いくつかの重要な注意事項があります。まず、体調不良や発熱がある場合は検査を延期することを推奨します。高熱は精子形成に悪影響を与え、約3ヶ月間影響が続く可能性があります。また、過度の飲酒や喫煙は精液所見を悪化させるため、検査前は控えめにすることが望ましいです。さらに、サウナや長時間の入浴など、精巣を高温にさらす行為も避けるべきです。検査当日は、採取時間を正確に記録し、女性の排卵日付近は避けることが重要です。排卵日付近に検査を行うと、妊娠のタイミングを逃してしまう可能性があるからです。

精液検査の具体的な流れ【院内採取・自宅採取別】

検査予約から結果説明までの5ステップ

①検査予約

②事前説明と容器の受け取り

③精液採取

④検査実施

⑤結果説明

まずは、電話やインターネットで検査予約を取ります。初診時には問診票の記入と医師の診察があり、検査方法や注意事項の説明を行います。併せて感染症検査(HIV、B型肝炎、C型肝炎、梅毒)も行います。精液採取は予約日に行い、採取した検体を提出します。検査は通常30分〜2時間程度で完了し、当日または後日に結果説明を受けていただきます。

院内採取のメリットと採精室について

院内での精液採取は、最も正確な検査結果が得られる方法として推奨されています。採取から検査までの時間が短く、温度管理も適切に行えるため、精子の運動率低下を最小限に抑えられます。当院でもプライバシーに配慮した採精室を完備しています。採精室は個室でリラックスできる環境が整えられております。ただし、慣れない環境での採取に心理的なプレッシャーを感じる方も多いため、事前に施設の雰囲気をご確認いただければと思います。

自宅採取の方法と持参時の注意点

自宅での採取を選択する場合は、リラックスした環境で採取できるメリットがあります。採取には、クリニックから提供される専用容器を使用します。採取前には手をよく洗い、容器の内側に触れないよう注意します。マスターベーションにより全量を容器に採取し、こぼれた場合はその旨を必ず報告します。コンドームには殺精子剤が含まれているため使用は厳禁です。採取後は容器に採取時刻を記入し、指定時間内にご持参いただきます。

温度管理(25〜30℃)の重要性

精子は温度変化に非常に敏感で、20℃以下や38℃以上では運動率が著しく低下します。自宅からクリニックへの運搬時は、人肌程度の25〜30℃を保つことが重要です。冬季は容器をタオルで包み、胸ポケットや脇の下など体温に近い場所で保温します。100円ショップで購入できる保温バッグも有効です。夏季は室温保管で問題ありませんが、保冷剤の使用や車内への放置は厳禁です。直射日光も避け、できるだけ振動を与えないよう注意して運搬します。

採取から2時間以内の提出が必要な理由

WHO基準では、精液採取から検査開始まで1時間以内が理想とされていますが、当院では2時間以内の提出を求めています。時間経過とともに精子の運動率は低下し、pH値も変化するため、正確な検査結果が得られなくなります。特に運動率は30分経過するごとに約5〜10%低下するという報告もあります。また、時間経過により精液中の白血球や細菌が増殖し、精子に悪影響を与える可能性もあります。交通渋滞なども考慮し、確実に2時間以内に提出できる時間帯に採取することが重要です。時間内の提出が困難な場合は、院内採取をお勧めしております。

精液検査にかかる費用と保険適用について

検査にかかる費用

保険適用となる場合の条件

2022年4月から不妊治療の保険適用範囲が拡大されましたが、精液検査の保険適用には一定の条件があります。不妊症の診断や治療を目的とした検査の場合、医師が必要と認めれば保険適用となることがあります。ただし、単なる健康チェックや妊活前のスクリーニング検査は自費診療となります。

感染症検査も必要な理由

精液検査を受ける際、感染症検査(B型肝炎、C型肝炎、HIV、梅毒、クラミジア、淋菌など)も同時に実施します。これは医療スタッフの安全確保と、不妊治療における感染リスク管理のために必要です。特に人工授精や体外受精を行う場合、感染症の有無を事前に確認することは必須となります。

精液検査の結果が悪かった場合の次のステップ

複数回検査が推奨される理由

精液検査の結果は、体調、ストレス、気温、禁欲期間など様々な要因により大きく変動します。実際に、健康な男性でも検査ごとに精子濃度が2〜3倍変動することは珍しくありません。そのため、WHO及び日本泌尿器科学会のガイドラインでは、1ヶ月以内に2〜3回の検査を行い、総合的に判断することが推奨されています。初回の結果が悪くても、2回目、3回目で改善することも多く、逆に初回が良好でも後の検査で異常が見つかることもあります。複数回の検査により、その方の平均的な精液所見を把握でき、より適切な治療方針を決定できます。特に境界域の数値の場合は、3回以上の検査が必要となることもあります。

泌尿器科での詳細検査の内容

精液検査で異常が認められた場合、泌尿器科専門医(特に男性不妊専門医)による詳細な検査が必要となります。まず詳細な問診により、既往歴、手術歴、服薬状況、生活習慣などを確認します。身体診察では、精巣の大きさや硬さ、精索静脈瘤の有無などを触診で確認します。陰嚢超音波検査により、精巣の内部構造や血流状態を詳しく調べます。血液検査では、FSH、LH、テストステロン、プロラクチンなどのホルモン値を測定し、内分泌異常の有無を確認します。無精子症や高度乏精子症の場合は、染色体検査やY染色体微小欠失検査も行います。これらの検査により、男性不妊の原因を特定し、最適な治療法を選択できます。

男性不妊の治療法と妊娠への道筋

男性不妊の治療法は、原因により大きく異なります。精索静脈瘤が原因の場合は、手術により精液所見の改善が期待できます。ホルモン異常がある場合は、ホルモン補充療法や薬物療法が有効です。生活習慣の改善も重要で、禁煙、節酒、適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠により、3〜6ヶ月で精液所見が改善することがあります。サプリメント(亜鉛、ビタミンE、コエンザイムQ10など)も補助的に使用されます。改善が見られない場合は、人工授精や体外受精、顕微授精などの生殖補助医療を検討します。無精子症でも、精巣内精子採取術(TESE)により精子を回収し、顕微授精で妊娠可能な場合があります。

精液検査についてよくある質問【Q&A】

Q-A

Q1: パートナーに検査を受けてもらうための伝え方

A1: 多くの女性が「夫に精液検査を受けてもらうのが難しい」と悩んでいます。男性にとって精液検査は心理的ハードルが高く、プライドや恥ずかしさから拒否することも少なくありません。効果的な伝え方として、まず「不妊の原因の半分は男性側にある」という事実を共有し、二人の問題として捉えることが大切です。「あなたに問題があるかも」ではなく「私たち二人で原因を調べよう」というスタンスで話すことをお勧めします。また、検査は痛みもなく簡単であること、早期発見により治療の選択肢が広がることを説明します。

Q2: 検査結果は体調やストレスで変動する

A2: 前述の通り、精液検査の結果は、想像以上に日々変動します。仕事のストレス、睡眠不足、風邪などの体調不良、気温の変化などで、精子濃度が50%以上変動することもあります。特に精神的ストレスは、ホルモンバランスを崩し、精子形成に悪影響を与えます。また、3ヶ月前の生活習慣が現在の精子に影響するため、一時的な不摂生の影響が後になって現れることもあります。そのため、1回の検査結果で一喜一憂する必要はありません。悪い結果が出ても、生活習慣の改善により3〜6ヶ月後には大幅に改善する可能性があります。逆に良い結果でも油断せず、妊娠まで良好な状態を維持することが大切です。

Q3: 精子の質を改善する生活習慣

A3: 精子の質を改善するためには、まず禁煙が最重要です。喫煙は精子濃度、運動率、正常形態率すべてを悪化させます。過度の飲酒も避け、週に2〜3回程度の適量に留めましょう。食事面では、抗酸化作用のあるビタミンC、E、亜鉛、セレンを含む食品(ナッツ類、魚介類、緑黄色野菜)を積極的に摂取します。適度な運動は血流を改善し精子形成を促進しますが、過度な運動は逆効果です。精巣を高温にさらさないよう、サウナや長風呂は控え、締め付けの強い下着も避けます。十分な睡眠(7〜8時間)も重要で、規則正しい生活リズムを保つことが大切です。これらの改善により、多くの場合3〜6ヶ月で精液所見の向上が期待できます。

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