目次
「今は仕事が忙しくて妊娠のタイミングではないけれど、将来は絶対に子どもが欲しい」 「まだ結婚の予定はないけれど、年齢的なタイムリミットが近づいていて焦っている」
診察室で、そんな切実な思いを打ち明けてくださる女性によくお会いしています。現代を生きる30代、40代の女性は、キャリアの構築とライフプランの狭間で、常に「時間」という目に見えないプレッシャーと戦っていらっしゃいます。「卵子凍結」という選択肢を知り、自分の未来の可能性を広げたいと願うのはごく自然なことです。
しかし、いざ卵子凍結を検討し始めると「凍結した卵子はいったい何年間保存できるのだろう?」「凍結期間が長くなると、卵子が劣化して妊娠できなくなるのでは?」といった「期間」に関する新たな不安が湧いてくるのではないでしょうか。
生殖医療専門医としてまずお伝えしたいのは、現代の優れた凍結技術を用いれば、卵子の時間を「今の状態のまま」止めておくことができるということです。しかし、医学的な技術の限界がないからといって、いつまでも無限に保存して使えるわけではありません。そこには、女性の体への安全性を考慮した倫理的な期限や、長期間保存し続けることによる経済的な負担といった現実が存在します。
この記事では、「卵子凍結期間」に焦点を当てどれくらいの期間保存できるのか、期間が品質に与える影響、そして実際の治療にかかるスケジュールまで専門医の視点で徹底的に解説していきます。あなたの心の中にあるモヤモヤとした不安を解消し、ご自身のライフプランに合った最善の選択ができるよう心を込めてお伝えします。
卵子凍結の「保存期間」はいつまで?技術的限界と倫理的な期限
卵子凍結を考える際、最初に気になるのが「一体いつまで保存しておけるのか?」という疑問だと思います。この疑問には、科学技術の観点と、医療倫理の観点の2つの側面からお答えする必要があります。
技術的には「半永久的」に保存が可能
「5年間凍結したら、卵子はダメになってしまいますか?」というご質問をよくいただきますが、技術的な観点からお答えすると、マイナス196℃の液体窒素という超低温の環境下で正しく保管されている限り、卵子は半永久的に保存が可能です。 細胞の活動は極低温下で完全に停止するため、生物学的な変化や劣化は起こりません。そのため、理論上は10年でも20年でも、品質を落とすことなく凍結保存し続けることができるのです。これは、現代の生殖補助医療における素晴らしい技術の進歩の賜物です。
日本産科婦人科学会が定める「生殖年齢」という制限
技術的には半永久的な保存が可能であっても、実際にいつでも使えるわけではありません。ここには「母体の安全」を守るための大切なルールが存在します。 日本産科婦人科学会のガイドラインでは、凍結した卵子や胚の保管について『被実施者の生殖年齢を超えない範囲での保管』を推奨しています【※1】。 卵子は若く保つことができても、それを受け入れ、妊娠・出産を経験するお母さんの体(子宮や心臓などの臓器)は、確実に年齢を重ねていきます。高齢出産になればなるほど、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、難産などの母体・胎児へのリスクが顕著に増加します。日本産科婦人科学会の「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ」でも、年齢を重ねてからの妊娠・出産は母体と胎児の双方にとってリスクが高くなることが明示されています【※6】。そのため、医学的な安全性を考慮し、無制限な期間の保存・使用は推奨されていないのです。
クリニックごとに異なる保管期限のルール
学会のガイドラインに基づき、各不妊治療クリニックや医療機関では独自の保管期限や使用期限(胚移植ができる年齢の上限)を設けています。 なお、日本生殖医学会の「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針」(2018年)では、社会的適応による卵子凍結について「未受精卵子等の採取時の年齢は、36歳未満が望ましい」とし、「対象者の生殖可能年齢を過ぎた場合は、通知の上で破棄することができる」と定めています【※2】。 多くの施設では、女性の年齢が「満45歳まで」あるいは「満50歳まで」といった具体的な期限を設定して保管を行っています。卵子凍結を検討される際は、必ずそのクリニックが何歳まで凍結卵子を保管し、何歳まで胚移植の治療を行ってくれるのかを事前に確認しておくことが、将来の人生設計を立てる上で非常に重要になります。
卵子凍結期間が長くなると卵子の「質」は落ちるのか?
長期間、卵子を凍結保存することに対して「冷凍庫に入れっぱなしの食品のように、時間が経つと質が落ちてしまうのでは?」と不安に感じる方は非常に多くいらっしゃいます。結論から申し上げますと、その心配は無用です。
マイナス196℃の液体窒素が止める「細胞の時計」
現在、当院を含む日本のほとんどの生殖医療施設で採用されているのが「急速ガラス化法(Vitrification)」という高度な凍結技術です。 卵子はその約9割が水分でできているため、ゆっくり凍らせると細胞内に氷の結晶(氷晶)ができ、そのトゲトゲとした結晶が卵子の細胞構造を破壊してしまいます。急速ガラス化法では、細胞内の水分を特殊な凍結保護剤と入れ替えた後、マイナス196℃の液体窒素に直接浸し、1分間にマイナス20,000℃という猛烈なスピードで超急速冷却します。 これにより、水分が氷の結晶を作る隙を与えず、まるでガラスのように透明な状態のまま凍結させることができるのです。この技術により、細胞のダメージを最小限に抑え、時計の針を完全に止めることが可能になりました。米国生殖医学会(ASRM)も2013年のガイドラインにおいて、ガラス化凍結法により凍結融解した卵子の受精率・妊娠率が新鮮卵子と同等であり安全かつ有効な臨床技術であるとの見解を示しています【※3】。
1年後でも10年後でも、採卵時の年齢のポテンシャルを維持
急速ガラス化法によってマイナス196℃で保管された卵子は、保存環境に大きな変化がない限り凍結期間の長さが細胞の品質に悪影響を与えることはありません。 つまり、あなたが30歳で凍結した卵子は、1年後に融解しても、10年後の40歳の時に融解してもその品質や妊娠のポテンシャルは「30歳の時の状態」のまま維持されているということです。卵子の質は女性の年齢に比例して低下(老化)していきますが、凍結することでその老化を食い止めることができるため、若い時期に卵子を凍結しておくことは、将来の妊娠率を担保する強力な手段となります。
長期間の保存における培養室の品質管理体制
長期間にわたって卵子の質を落とさずに維持するためには、培養室(ラボ)での徹底した品質管理が不可欠です。 マイナス196℃の液体窒素タンク内で保管される卵子は、24時間365日、厳重な温度管理と監視体制のもとに置かれています。液体窒素の定期的な補充はもちろん、停電や災害時に備えたバックアップシステム、そして患者様の貴重な卵子を取り違えないためのバーコード認証システムやダブルチェック体制など、各クリニックの胚培養士が細心の注意を払って皆様の大切な卵子をお守りしています。
「卵子凍結」と「胚凍結」で保存期間の考え方は変わる?
「卵子凍結」とよく比較されるのが、不妊治療で行われる「胚凍結(受精卵凍結)」です。実は、どちらを凍結するかによって、保存の安定性や将来の取り扱いのルールが大きく変わってきます。
未受精卵(卵子)と受精卵(胚)の決定的な違い
「卵子凍結」は、採卵した卵子を精子と出会わせる前の「未受精卵」の状態でそのまま凍結保存する方法です。一方の「胚凍結」は、採卵した卵子にパートナーの精子を受精させ、数日間培養して細胞分裂が進んだ「受精卵(胚・胚盤胞)」の状態で凍結保存する方法です。 現在ご結婚されている、または事実婚のパートナーがいらっしゃる場合は、原則として卵子凍結ではなく「胚凍結」が適応となります。
細胞数の違いがもたらす凍結・融解時の生存率の差
長期間保存した後に、いざ融解して使用する際、卵子と胚では「生存率」に大きな差が出ます。その理由は「細胞の数」の違いにあります。 未受精の卵子は単一の(たった1個の)細胞です。そのため、凍結・融解のプロセスでこの1個の細胞がダメージを受けてしまうと、そのまま死滅してしまいます。 一方で、受精後に発育した胚(胚盤胞)は、数十から数百個の細胞が集まった重合体です。例えるなら、卵子は1個の大きな風船、胚盤胞は小さな風船がたくさん集まった状態です。胚盤胞であれば、凍結・融解の過程で数個の細胞がダメージを受けたとしても、残りの多くの細胞が生存していれば、十分に赤ちゃんへと成長するポテンシャルを維持できます。そのため、一般的に胚凍結の方が融解後の生存率が圧倒的に高く、妊娠率も高いという医学的な特徴があります。
パートナーと別れた場合、長期間保存した凍結胚はどうなる?
保存期間において倫理的・法的に大きく異なる点があります。胚(受精卵)は、女性と男性の両者の遺伝情報を含むため、保存の継続や廃棄、そして使用にあたっては、必ず「カップル双方の同意」が必要になります。 もし長期間保存している間に、離婚や死別などでパートナーとの関係が解消された場合、あるいは相手の同意が得られなくなった場合には、その胚を使用することはできず、原則として廃棄しなければなりません。 そのため、「現在はパートナーがいるが、将来の結婚や妊娠の確証がない」「万が一パートナーが変わっても、自分の遺伝子を残す可能性をキープしたい」とお考えの女性にとっては、自分一人の意思で保存・使用が可能な「卵子凍結」の方が適しているケースもあります。
卵子凍結にかかる期間(スケジュール)|初診から凍結完了まで
「卵子凍結にはどのくらいの期間、病院に通う必要があるの?」と、お仕事との両立を心配される方も多いでしょう。厚生労働省でも「不妊治療と仕事との両立」に関する支援情報を公開しており、治療を受けながら働き続けるための環境整備が進められています【※8】。ここでは、初診から卵子が凍結されるまでの具体的なスケジュールを解説します。
ステップ1:初診と検査で卵巣予備能をチェック
まずはクリニックを受診し、詳細な問診と超音波検査、血液検査を行います。この初期段階で非常に重要なのが「AMH(抗ミュラー管ホルモン)検査」です。 AMHは、卵巣内に残っている卵子の数の目安を知るための指標です。この数値が高いと一度の採卵で多くの卵子を確保できる可能性が高く、逆に数値が低い場合は、目標とする個数を凍結するために数ヶ月にわたって複数回の採卵期間が必要になる可能性があるなど、全体の治療期間(スケジュール)を立てるための重要な判断材料となります。初診と検査には約1〜2週間を見込んでいただきます。
ステップ2:卵巣刺激(排卵誘発)で複数の卵子を育てる期間
自然な月経周期では通常1個の卵子しか育ちませんが、卵子凍結では効率よく複数個の卵子を獲得するため、月経開始の2~3日目頃から「卵巣刺激(排卵誘発)」を開始します。 内服薬や自己注射を連日使用し、卵巣内の卵胞を育てていきます。この期間は、卵胞の育ち具合を確認するために3〜4日ごとに数回の通院(エコー検査と採血)が必要です。月経開始からおおよそ10~14日間が、この卵巣刺激の期間となります。当院ではお仕事が忙しい方でも通いやすいよう、朝早くや夜遅くまで診療を行っております。
ステップ3:採卵手術と培養室での凍結保存プロセス
卵胞が18〜20mm程度に十分に育ったら、いよいよ採卵日を決定します。採卵の約36時間前に、卵子の最終成熟を促す注射や点鼻薬を使用します。 採卵は経腟超音波を見ながら細い針で卵巣から卵胞液ごと卵子を吸い出す手術で、麻酔を使用するため痛みはほとんどなく、10〜20分程度で終了します。手術後は数時間の安静を経てその日のうちに帰宅できます。 採取された卵子はすぐに培養室に運ばれ、胚培養士が成熟した卵子を見極め、採卵から数時間後には「急速ガラス化法」によってマイナス196℃の液体窒素タンクへと凍結保存されます。 つまり、初診から凍結完了までの期間は、スムーズに進めば「約1ヶ月〜1ヶ月半(1周期)」で完了することになります。
年齢別・卵子凍結戦略と「保存しておくべき期間」の目安
卵子凍結は、「何歳の時に凍結するか」によって、保存の意義や将来の妊娠に対する現実的な戦略が大きく異なります。
20代~34歳:将来の選択肢を最大限に広げるための長期保存
20代から34歳までの期間は、卵巣予備能も高く、卵子の質(染色体異常の少なさ)も担保されている理想的な時期です。この時期に卵子を凍結しておけば、1個の卵子あたりの妊娠率が比較的高く(約8~15%)、少ない採卵回数で十分な数を確保できる可能性が高いです。 「まだ結婚も妊娠も考えていない」という方でも、この時期に凍結して長期間(例えば5〜10年)保存しておくことで、30代後半から40代になってから「いざ子どもが欲しい」と思った時に、極めて強力な「心の保険」として機能します。将来のキャリアやライフプランの選択肢を最大限に広げるための、非常に価値のある長期保存と言えます。
35~39歳:タイムリミットを見据えた計画的な保存と使用時期
35歳を過ぎると、卵子の質の低下(染色体異常の増加)が加速し始め、妊娠率は緩やかに、そして37歳以降は急激に低下していきます。 この年代での卵子凍結は、まさに「時間との勝負」です。凍結による妊娠の可能性を残すことは非常に有意義ですが、同時に「長期間保存して安心する」のではなく、数年以内(できれば30代のうち)の使用を見据えた計画的な保存が求められます。将来1人の子どもを授かるためには、35歳なら15〜20個、それ以上なら20個以上の卵子確保が目安となりますが、年齢が上がると一度に採れる卵子の数も減るため、保存目標に達するまでに複数回の採卵が必要になることも覚悟しておく必要があります。
長期間保存する場合の「費用」の現実と助成金の活用
卵子凍結は、凍結して終わりではありません。長期間保存し続けるためには経済的な負担という現実とも向き合う必要があります。
採卵・凍結にかかる初期費用の相場
社会的適応(将来の備えとして)による卵子凍結は、健康保険が適用されない全額自費診療となります。なお、令和4年4月より、不妊症と診断されたカップルに対する体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」は保険適用となりましたが、社会的適応の卵子凍結は保険適用の対象外です【※4】。 初診から検査、排卵誘発の薬剤費、採卵手術、そして卵子を凍結する技術料までを含めた「初期費用」は、クリニックや凍結する卵子の個数によって異なりますが、おおよそ45万~65万円程度が相場です。AMHが低く、目標個数に達するまでに複数回の採卵を行う場合は、この初期費用がその都度かかってくることになります。当院では安心して卵子凍結にトライしていただきやすい全て込みの一律料金プランをご用意しております。
東京都の助成金など、長期保存の負担を減らす公的サポート
高額な費用負担を軽減するため、近年では自治体による助成制度が始まっています。 東京都では、2023年度から都内に住む18歳から39歳までの女性を対象に、画期的な「卵子凍結に係る費用の助成」を実施しています【※5】。
- 卵子凍結を実施した年度: 上限20万円(または最大30万円の枠組み)
- 次年度以降の保管更新時: 1年ごとに一律2万円(最大5年間) 合計で最大30万円の助成を受けることができ、初期費用だけでなく、長期間保存するための保管料の一部もサポートしてくれます。ただし、事前に都が開催する説明会への参加が必須であり、指定された登録医療機関で治療を受けるなどの条件があります。東京都以外でも支援を始めている自治体や、福利厚生で補助を出す企業も増えていますので、お住まいの地域や職場の制度を必ず確認し、賢く活用してください。
質の高い卵子を長期間保存するために今できること
せっかく長期間凍結保存するのであれば、少しでも「質の高い」卵子を採卵しておきたいものです。卵子の質を劇的に若返らせることはできませんが、日常生活の工夫によって質を低下させないことは可能です。
卵子の老化を防ぐ生活習慣(食事・睡眠・運動)
卵子の質は、細胞のエネルギー工場である「ミトコンドリア」の機能と深く関わっており、酸化ストレス(体のサビ)は大敵です。
- 食事: 抗酸化作用の高いビタミンCやビタミンE、そして青魚に含まれるオメガ3脂肪酸を積極的に摂りましょう。地中海式食事法(オリーブオイル、魚、野菜、ナッツ類が中心)は卵子の質向上に良いとされています。
- 睡眠: 卵子の成熟に関わるホルモンは睡眠中に分泌されます。最低でも1日7時間の質の高い睡眠を心がけ、寝る前のスマートフォンの使用は控えましょう。
- 運動: 激しい運動は逆効果ですが、1日30分程度のウォーキングやヨガなどの適度な有酸素運動は、骨盤内の血流を改善し、卵巣にしっかりと栄養と酸素を届けるために非常に重要です。
- 禁煙: 喫煙は卵子の老化を著しく早めるため、絶対に避けてください。
抗酸化サプリメントの効果的な活用法
食事だけで補いきれない栄養素は、サプリメントを活用するのも有効な手段です。 細胞のエネルギー産生を助ける「コエンザイムQ10(還元型)」、カルシウム代謝や細胞増殖に関わる「ビタミンD」、そして着床や胎児の初期発生に不可欠な「葉酸(1日400〜640μg推奨)」などは、採卵の数ヶ月前から意識して摂取しておくことで、より質の高い卵子を凍結保存できる可能性があります。なお、厚生労働省も妊娠を望む女性に対し葉酸の積極的な摂取を推奨しています【※7】。
【Q&A】卵子凍結の「期間」に関するよくある質問5選

Q1. 凍結する期間が長いと、卵子の細胞の品質は下がりますか?
A1. 下がりません。マイナス196℃の液体窒素タンク内で適切な温度管理がされている限り、細胞の生物学的な変化は完全に停止します。そのため、30歳で凍結した卵子は、5年後でも10年後でも「30歳の品質」のまま維持されます。凍結期間の長さが卵子の品質を劣化させることはありません。
Q2. 凍結した卵子や胚に保管の期限はありますか?
A2. 技術的には半永久的に保存可能ですが、日本産科婦人科学会のガイドラインでは「被実施者の生殖年齢を超えない範囲での保管」が推奨されています【※1】。妊娠・出産時の母体の安全性を考慮し、多くのクリニックでは「満45歳まで」や「満50歳まで」といった実質的な保管期限や使用期限を定めています。
Q3. パートナーがいないのですが、卵子凍結と胚凍結のどちらが良いですか?
A3. 現在、結婚や事実婚のパートナーがいらっしゃらない場合は、「卵子凍結」を選択してください。胚(受精卵)凍結は融解後の生存率が高いというメリットがありますが、女性と男性両者の遺伝情報を持つため、将来使用する際や廃棄する際にカップル双方の同意が必須となります。パートナーが未定の場合は、ご自身の意思だけで将来使える卵子凍結が適しています。
Q4. 採卵のための通院期間は、仕事を休まないとダメですか?
A4. お仕事を休む必要はほとんどありません。排卵誘発の期間中(約10~14日間)に3〜4回程度の通院が必要ですが、朝早くや夕方遅くまで診療しているクリニックを選べば、仕事の前後に受診することが可能です。ただし、採卵手術の当日だけは、麻酔を使用し術後に安静が必要なため、半日〜1日のお休みを確保していただく必要があります。
Q5. 保管期間の途中で、凍結卵子を別のクリニックに移動させることはできますか?
A5. 完全に自費診療で行っている場合は、専門の輸送業者を利用して温度を保ったまま別のクリニックへ移送することが技術的には可能です。ただし、東京都などの自治体の助成金を利用している場合は、指定機関以外への移送が認められないケースがあります。また、受け入れ先のクリニックの設備や方針によって断られることもあるため事前に確認が必要です。
引用・参考文献
【※1】公益社団法人 日本産科婦人科学会「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する見解」(被実施者の生殖年齢を超えない範囲での保管)
【※2】一般社団法人 日本生殖医学会 倒理委員会報告「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関する指針」(平成30年3月30日)
【※4】こども家庭庁「不妊治療に関する取組」― 令和4年4月より体外受精・顕微授精等の「生殖補助医療」が保険適用(社会的適応の卵子凍結は対象外)
【※6】公益社団法人 日本産科婦人科学会「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ」(2023年5月公開)
【※7】厚生労働省「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妖娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供について」