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「一人目は自然にできたのに…」 二人目不妊は珍しくない|二人目不妊の原因と対策を専門医が解説

  • 公開日:2026.03.21
  • 更新日:2026.03.21
「一人目は自然にできたのに…」 二人目不妊は珍しくない|二人目不妊の原因と対策を専門医が解説|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院

「一人目は自然にできたのに…」その気持ち、あなただけではありません

「一人目は自然に授かったのに、二人目がなかなかできない」——そんなお悩みを抱えていらっしゃいませんか?

周囲からの「二人目はまだ?」という何気ない一言に胸が痛んだり、ママ友の妊娠報告を素直に喜べない自分を責めてしまったり。かといって「一人いるのだから贅沢な悩み」と感じて、誰にも打ち明けられずにいる方も少なくありません。

この記事では、二人目不妊の原因から最新の検査・治療法、2022年4月にスタートした保険適用制度、そして誰にも言えない心のつらさへのケアまで、専門医の立場からわかりやすくお伝えします。「もしかして自分も?」と感じている方の最初の一歩を後押しできれば幸いです。

二人目不妊とは?定義と現在の状況

二人目不妊(続発性不妊)の医学的定義

二人目不妊は、医学的には「続発性不妊(secondary infertility)」と呼ばれます。過去に妊娠・出産を経験した方が、その後妊娠に至らない状態のことです。日本産科婦人科学会は2015年に不妊症の定義期間を「2年」から「1年」に短縮し、現在では「妊娠を望む健康な男女が避妊せずに性交しているにもかかわらず、1年間妊娠しない場合」を不妊症としています。この基準は二人目不妊にも同様に適用されます。

なお、不妊期間の起算点は出産後ではなく「月経が再開してから」です。授乳中はホルモンの影響で排卵が抑制されるため、授乳期間は不妊期間には含みません。また、日本生殖医学会は「35歳以上の場合は6ヶ月の不妊期間で検査・治療の開始を検討すべき」という国際的な考え方を紹介しており、年齢が上がるほど早めの行動が大切です。

「二人目不妊」は珍しくない——データで見る現状

こども家庭庁のデータによれば、現在日本では10人に1人の赤ちゃんが生殖補助医療(ART)によって生まれています。不妊を心配したことがある夫婦は全体の約39%、つまり約2.6組に1組にのぼります。なかでも二人目を希望しながらも叶わない方は約3割に達するという調査結果があり、不妊治療クリニックの患者さんの2~3割は二人目不妊のご相談です。

背景には晩産化の影響があります。第一子出生時の母の平均年齢は2023年に31.0歳に達しました。約40年前の1985年は26.7歳でしたから、大きな変化です。第一子を30代前半で出産し、育児と仕事に追われるうちに数年が経ち、二人目を意識した頃には35歳を超えている——こうしたケースは非常に多いのです。

二人目不妊の5大原因|なぜ「前はできたのに」?

二人目不妊の原因は一つではなく、複数の要因が重なって起こることがほとんどです。専門医として強調したいのは、「一人目が自然妊娠だったから二人目も大丈夫」とは限らないということ。ここでは主な5つの原因を解説します。

加齢による卵子の質・数の低下

二人目不妊の最大の要因は加齢です。卵子は女性が胎児のときにすでに作られ、出生時に約200万個ありますが、思春期には約30万個まで減少します。その後も減り続け、37歳を過ぎると減少スピードが加速します。日本生殖医学会のデータによると、月経1周期あたりの自然妊娠率は21~24歳を基準(1.00)とした場合、34~36歳で0.82、37~39歳で0.60、40~45歳では0.40にまで低下します。

さらに重要なのは卵子の「質」の変化です。年齢とともに卵子の染色体異常率が上がり、受精しても着床しにくくなったり、流産のリスクが高まります。残念ながら、現在の医学では卵子の質の低下を防ぐ方法はありません。だからこそ、「時間」を味方につけることが何よりも大切なのです。

出産後のホルモン変化(高プロラクチン血症)

授乳に必要なプロラクチンというホルモンは、断乳後も高い値のまま残ることがあります。プロラクチンが高値だと排卵が抑制され、妊娠しにくくなります。これは二人目不妊に特有の原因であり、一人目の不妊治療では問題にならなかった方でも発症することがあります。断乳・卒乳後も月経が不規則な場合は、プロラクチン値の血液検査をおすすめします。比較的簡単な投薬治療で改善するケースが多い点も知っておいていただきたいポイントです。

帝王切開や手術による子宮環境の変化

第一子を帝王切開で出産された方は、「帝王切開瘢痕症候群」にご注意ください。切開の傷跡が完全に治癒せず、子宮内に陥没部分が残ると、そこに粘液や血液が貯留して受精卵の着床を妨げることがあります。超音波検査や子宮鏡検査で確認でき、場合によっては内視鏡手術で改善が期待できます。また、流産手術後の子宮内腔癒着も二人目不妊の原因になり得ますので、心当たりのある方は主治医にご相談ください。

男性因子の変化(精子の質の低下)

不妊というと女性側の問題と思われがちですが、WHOの調査では不妊原因の約半数は男性側にあるとされています。男性も加齢の影響を受け、日本生殖医学会によると精液量の減少は平均35.5歳から顕著になります。また、50歳以上の男性では精子のDNA断片化率が30歳未満の約4.6倍という報告もあります。パートナーが一人目のときより年齢を重ねていることを忘れず、男性側の精液検査も必ず受けていただきたいと思います。

性交渉の減少(セックスレス)と生活環境の変化

育児や仕事の忙しさから夫婦間の性交渉が大幅に減少するケースは非常に多く、「社会的不妊」とも呼ばれています。妊娠の機会そのものが少なくなれば、当然妊娠率は下がります。また、子宮筋腫や子宮内膜症など、年齢とともに進行する婦人科疾患が新たに発症・悪化していることもあります。「前はなかった問題」が二人目の妊娠を妨げている可能性は十分にあるのです。

まずはここから|二人目不妊の検査の流れ

基本検査でわかること

二人目不妊の検査は、基本的に一人目の不妊検査と同じ内容です。経腟超音波検査で卵巣・子宮の状態を確認し、ホルモン検査(FSH・LH・AMH・プロラクチン・甲状腺ホルモンなど)で排卵機能を評価します。子宮卵管造影検査(HSG)で卵管の通過性を調べ、パートナーの精液検査も同時に行います。二人目不妊では特に、帝王切開や手術後の癒着がないか確認するためにHSGが重要です。AMH検査(抗ミュラー管ホルモン検査)は卵巣に残っている卵子の目安を知ることができ、治療の方針決定に役立ちます。

「いつ受診すべき?」——目安となるタイミング

日本産科婦人科学会の基準では、避妊せず1年間妊娠しなければ不妊症と考えます。しかし35歳以上の場合は、半年を目安に受診を検討してください。また年齢にかかわらず、月経不順がある、帝王切開の既往がある、一人目の妊娠時に治療歴がある、といった場合は早めの受診をおすすめします。「まだ大丈夫」と思っているうちに時間が過ぎてしまうのが二人目不妊の大きな特徴です。気になったときが受診のタイミングだとお考えください。

二人目不妊の治療法|ステップアップの考え方

タイミング法・人工授精(一般不妊治療)

排卵日を予測し、最も妊娠しやすいタイミングで性交渉を持つ「タイミング法」が治療の第一歩です。超音波検査や尿中LH検査で排卵日を正確に把握することで、自然妊娠の確率を高めます。タイミング法で4~6周期ほど試みても妊娠に至らない場合は、調整した精子を子宮内に直接注入する「人工授精(AIH)」へとステップアップします。人工授精は1回あたりの保険適用後の自己負担が約6,000~15,000円と比較的負担が軽く、年齢制限や回数制限もありません。

体外受精・顕微授精(高度不妊治療・生殖補助医療)

一般不妊治療で結果が出ない場合や、検査で卵管閉塞や重度の男性因子が判明した場合は、体外受精(IVF)や顕微授精(ICSI)といった生殖補助医療(ART)に進みます。日本生殖医学会のデータによると、ARTの治療あたりの生産率は32歳まで約22~23%でほぼ一定ですが、33歳から年約1%ずつ低下し、37歳以降は年約2%の急激な低下を示します。39歳で12.7%、40歳で10.8%、43歳で4.2%です。年齢が上がるほど治療効率が下がるため、ステップアップのタイミングを逃さないことが重要です。

二人目不妊の治療で知っておきたいこと

二人目不妊特有の治療上の注意点があります。まず、授乳中は原則として不妊治療を開始できません。プロラクチン高値による排卵抑制に加え、子宮収縮薬の影響で流産リスクが高まるためです。断乳・卒乳後の治療開始が推奨されます。もう一つの大きな課題は「上のお子さまの預け先」です。不妊治療は通院頻度が高く、診察の時間も読みにくいため、一時保育やファミリーサポート、ご家族の協力体制を事前に整えておくことが大切です。多くのクリニックでは他の患者様へ考慮してお子様連れをお断りしているケースが多いです。

※当院ではお子様連れでのご通院も可能です。

保険適用でどう変わった?費用と制度の最新情報

2022年4月からの保険適用の概要

2022年4月から不妊治療の保険適用範囲が大幅に拡大されました。タイミング法・人工授精などの一般不妊治療に加え、体外受精や顕微授精、胚培養、胚移植、胚凍結保存なども保険の対象となっています。従来は全額自費だった高額な治療が原則3割負担で受けられるようになり、さらに高額療養費制度も適用できるため、経済的なハードルは大きく下がりました。事実婚のカップルも対象となっています。

年齢制限と回数制限——二人目不妊への影響

生殖補助医療(ART)の保険適用には条件があります。女性の年齢が治療開始時点で43歳未満であることが必要です。また回数制限として、40歳未満の方は1子あたり通算6回まで、40~43歳未満の方は通算3回までとなっています。この回数は胚移植の回数でカウントされ、採卵は含みません。二人目不妊で重要なのは、出産するたびに回数がリセットされる点です。一人目の治療で回数を使い切っていても、出産後は新たにカウントが始まります。

保険適用後の費用目安

治療法保険3割負担の目安備考
タイミング法数千円~1万円/周期年齢・回数制限なし
人工授精約6,000~15,000円/回年齢・回数制限なし
体外受精約65,000~164,000円/周期43歳未満・回数制限あり
顕微授精体外受精+加算精子を直接卵子に注入

さらに高額療養費制度を利用すれば、年収に応じて月の自己負担上限が設定されます。2024年6月には胚凍結保存期間の上限撤廃など制度の改定も行われており、こども家庭庁のウェブサイトで最新情報をご確認ください。

二人目不妊の「心のつらさ」にどう向き合うか

「贅沢な悩み」と自分を責めないで

二人目不妊特有のつらさは、その悩みを「贅沢な悩み」だと感じてしまい、SOSを出しにくい点にあります。不妊当事者の集まりでは「一人いるんだからいいじゃない」と思われそうで居場所がなく、ママ友の中では不妊の話題を出せない。どちらにも居場所がない孤立感は、一人目の不妊とはまた異なるつらさです。しかし、子どもを望む気持ちに「贅沢」などありません。お一人おひとりの家族の形を望むことは、ごく自然なことです。

パートナーとの温度差にどう対処するか

二人目不妊の相談で非常に多いのが、パートナーとの温度差です。「一人いるんだから、二人目はできたらいいね、くらいの気持ちで」という夫に対し、妻は強い焦りを抱えているという構図はよく見られます。大切なのは、お互いの気持ちを否定せず、「なぜ二人目が欲しいのか」「治療をどこまで続けるのか」について定期的に話し合うことです。二人だけで話がまとまらない場合は、不妊カウンセラーなど第三者を交えることもぜひ検討してみてください。

不妊治療心理士カウンセリングの活用

当院には、不妊治療に伴うメンタルケアを専門とする「臨床心理士」が常駐しています。完全個室のプライバシーが守られた空間やオンラインを利用し、医師には少し聞きづらいような生々しい感情もすべて吐き出していただけます。

よくある質問(FAQ)|二人目不妊についてのQ&A

質問と回答

Q1. 二人目不妊は何歳から増えますか?

A1. 女性の妊孕性(妊娠する力)は30代半ばから徐々に低下し、37歳を境に急激に下がります。日本生殖医学会のデータでは、月経1周期あたりの自然妊娠率は37~39歳で20代前半の約6割にまで低下します。第一子を30代前半で出産された方が二人目を考える頃には35歳を超えていることが多く、この「数年のブランク」が二人目不妊の大きな要因になります。年齢を問わず早めの受診が大切ですが、35歳以上の方は半年妊娠しなければ専門医への相談をおすすめします。

Q2. 一人目が自然妊娠でも二人目不妊になることはありますか?

A2. はい、十分にあり得ます。一人目が自然妊娠だったとしても、出産からの数年間で卵子の質や数は確実に変化しています。加えて、出産後のホルモンバランスの乱れ(高プロラクチン血症など)、帝王切開後の子宮内環境の変化、パートナーの精子の質の低下、育児による性交渉の減少など、一人目のときにはなかった要因が複合的に重なることで二人目不妊が起こります。「前はできたから」と安心せず、なかなか授からないと感じたら早めにご相談ください。

Q3. 授乳中でも不妊治療は受けられますか?

A3. 原則として、授乳中の不妊治療開始は推奨されません。授乳中はプロラクチンというホルモンが高い状態が続くため排卵が不安定になり、また一部の治療薬が母乳を通じて赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があります。さらに、治療で使用する薬剤には子宮を収縮させる作用があるものもあり、妊娠した場合の流産リスクが懸念されます。本格的な治療を始める場合は、断乳・卒乳後に月経が安定してからが望ましいです。ただし、事前の検査や相談は授乳中でも可能ですので、まずは受診して今後の計画を立てることをおすすめします。

Q4. 二人目不妊の治療費はどれくらいかかりますか?

A4. 2022年4月から不妊治療が保険適用となり、自己負担は原則3割になりました。タイミング法は1周期あたり数千円~1万円程度、人工授精は1回約6,000~15,000円、体外受精は1周期あたり約65,000~164,000円が目安です。さらに高額療養費制度を利用すれば、年収に応じて月の自己負担上限が設定されます。例えば年収約370~770万円の方であれば、月の上限は約80,000円+αとなります。一人目の治療で保険適用の回数を使い切っていても、出産によりリセットされますのでご安心ください。

Q5. 上の子を連れてクリニックに通院できますか?

A5. クリニックによって対応が異なります。多くのクリニックでは他の患者さまへの配慮から制限を設けている施設もありますので、事前にクリニックへ確認されることをおすすめします。当院は完全個室もご用意しておりますので、お子様連れでの通院も可能となります。

Q6. 二人目不妊の治療はいつまで続けるべきですか?

A6. 治療の継続期間に「正解」はなく、ご夫婦の年齢、身体的・精神的・経済的な状況を総合的に考えて判断するものです。ただし医学的な目安として、保険適用のART(体外受精・顕微授精)は女性が43歳未満であることが条件であり、43歳以降は治療あたりの成功率が数%にまで低下します。「いつやめるか」という決断は非常に難しいものですが、ご夫婦だけで抱え込まず、主治医や心理士に相談しながら、お二人が納得できる形を見つけていただきたいと思います。

Q7. 二人目不妊で夫が非協力的です。どうすればいいですか?

A7. パートナーとの温度差は、二人目不妊のご相談で最も多いテーマの一つです。「一人いるのだから十分」「自然に任せよう」という男性側の考えと、女性側の切実な思いがすれ違うケースは非常に多く見られます。まず大切なのは、感情的にならず「なぜ二人目が欲しいのか」「治療への不安は何か」をお互いに言葉にすることです。WHOの調査で不妊原因の約半数が男性側にあるというデータを共有し、精液検査だけでも受けてほしいとお伝えするのも一つの方法です。二人だけでは話がまとまらない場合は、不妊カウンセラーや主治医を交えた面談も効果的です。治療はご夫婦の共同作業ですので、一方だけが頑張る形は長続きしません。

参考文献・引用元

・日本産科婦人科学会「不妊症」

・日本生殖医学会「生殖医療Q&A」

・こども家庭庁「不妊治療に関する取組」

・厚生労働省「不妊治療に関する取組」

・日本受精着床学会「ARTの歴史」

・日本産科婦人科学会「ARTデータブック2022」

・日本がん・生殖医療学会「妊孕性温存について」

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