予約(24時間受付可)
  • TOP
  • ブログ
  • 不妊治療の副作用・リスク一覧を生殖医療専門医が解説|OHSS・採卵・多胎【2026年版】

不妊治療の副作用・リスク一覧を生殖医療専門医が解説|OHSS・採卵・多胎【2026年版】

  • 公開日:2026.11.04
  • 更新日:2026.11.04
不妊治療の副作用・リスク一覧を生殖医療専門医が解説|OHSS・採卵・多胎【2026年版】|不妊治療・体外受精・卵子凍結なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院
この記事の監修者
松見 泰宇 学術顧問(医師)
松見 泰宇学術顧問(医師)

生殖医療クリニック錦糸町駅前院の学術顧問を拝命いたしました、松見泰宇(まつみ ひろたか)と申します。

わたくしはこれまで、東京大学関連の大学病院や基幹病院において、尊敬する同窓の諸先輩方のもとで研鑽を積んでまいりました。その一方で、著名なプライベートクリニックに勤務する機会にも恵まれ、クリニックならではの、身近できめ細やかな診療も学んでまいりました。

これまでに培った知見が、当クリニックの患者さまのお役に少しでも立てば幸いです。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

もっと見る

「不妊治療を始めたいけれど、副作用が怖い」「不妊治療ってどんなリスクがあるの」「注射や採卵で体に負担がかかるのでは」「生まれてくる赤ちゃんに影響はないの?」外来でこうした不安を打ち明けてくださる方は決して少なくありません。インターネットで調べるほど怖い言葉ばかりが目に入り、かえって一歩を踏み出せなくなってしまったという声もよく伺います。

日本産科婦人科学会の発表では、2023年に体外受精などで生まれた赤ちゃんは過去最多の85,048人。およそ9人に1人の計算です。不妊治療はもう特別なものではありません。ただし医療である以上、副作用やリスクがゼロになることもありません。大切なのは「何が、どのくらいの頻度で起こり、どうすれば防げるのか」を正しく知ることです。

この記事では生殖医療専門医の立場から、学会や厚生労働省、PMDA(医薬品医療機器総合機構)などの公的なデータをもとに不妊治療の副作用とリスクを正直にできるだけわかりやすくお伝えします。

不妊治療の副作用・リスクを知る前に押さえたい基本

「副作用」と「リスク」の違い

「副作用」とは、薬や処置によって本来の目的とは別に体に起こる好ましくない反応のことです。吐き気や頭痛、お腹の張りなどがこれにあたります。

一方「リスク」は、これから起こるかもしれない望ましくない出来事全般を指します。不妊治療では卵巣の腫れや採卵時の出血といった体への影響だけでなく、多胎妊娠や流産、心の負担、仕事や家計への影響まで含めて考える必要があります。

医療の現場では、リスクを「起こる確率」と「起こったときの重さ」の2つの軸で考えます。注射部位の痛みのように「よく起こるが軽いもの」と重症OHSSのように「まれだが重いもの」では向き合い方がまったく違います。この記事ではこの2つの視点を意識して解説していきます。

治療ステップごとに起こりうることは異なる

不妊治療は一般にタイミング法→人工授精→体外受精・顕微授精と段階的に進めます。使う薬の量や処置が増えるほど起こりうることの種類も増えます。

治療方法主な副作用・リスク
タイミング法排卵誘発剤を使う場合の薬の副作用、多胎妊娠
人工授精上記に加え、注入時の軽い痛み・少量の出血、まれに感染
体外受精・顕微授精注射薬の副作用、OHSS、採卵時の出血・感染、麻酔の副作用、多胎妊娠(移植数で大きく変わる)

また、同じ体外受精でも年齢や卵巣の働き、これまでの経過に合わせて「体への負担」と「妊娠の可能性」のバランスを調整できるということも知っておいてください。

排卵誘発剤など、薬の副作用

排卵誘発剤は、卵胞(卵子が入った小さな袋)の発育を促す薬です。飲み薬と注射薬があり、体外受精ではさらに排卵を抑える薬や着床を助けるホルモン剤も使います。薬ごとに特徴と注意点が異なります。

飲み薬(クロミフェン・レトロゾール)

クロミフェン(商品名:クロミッドなど)は、脳に働きかけて卵胞を育てるホルモンの分泌を促す薬です。主な副作用はほてり、頭痛、吐き気などです。まれに目のかすみなどが出た場合は服用をやめてご相談ください。

また、子宮内膜が薄くなったり子宮の入り口の粘液(精子の通り道)が減ったりすることがあり、漫然と長く続けるのは勧められません。2011年には添付文書の「重大な副作用」に卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が追記されており、飲み薬でも経過観察は欠かせません。

レトロゾール(商品名:フェマーラなど)はもともと乳がんの治療薬です。2022年に不妊治療での使用が承認され、保険で使えるようになりました。子宮内膜への影響が少なく育つ卵胞が1つになりやすいのが特徴です。副作用は頭痛やだるさ、ほてりなど比較的軽いものが中心です。妊娠中は使えない薬なので、月経の初めの指示された期間だけ服用します。

注射薬(hMG・FSH製剤)

hMG・FSH製剤は、卵巣に直接働いて複数の卵胞を育てる注射薬です。体外受精では、一度の採卵で複数の卵子を得るために使います。

よくある副作用は、注射部位の痛み・赤み・腫れ、お腹や乳房の張り、気分の落ち込みやイライラです。注射部位を毎回少しずつずらすと痛みや腫れを抑えやすくなります。

飲み薬より効果が強い分、注意したいのがOHSSと多胎妊娠です。タイミング法や人工授精で注射を使い、卵胞が想定以上に育った周期は多胎を防ぐためにその周期の治療を見送ることもあります。残念に感じるかもしれませんが、お母さんと赤ちゃんを守るための大切な判断です。

黄体補充・ホルモン補充の薬

胚移植の前後には着床しやすい子宮内膜を整えるためにホルモン剤を使います。

黄体ホルモン剤(腟剤・飲み薬・注射)の副作用は、眠気、だるさ、むくみ、乳房の張りなどです。腟剤ではおりものの増加やかゆみが出ることもあります。妊娠初期の症状と似ているため、判定前に一喜一憂してしまう方もいますが、薬によるものであることが多いと知っておくと安心です。

卵胞ホルモン剤(エストロゲン)は、凍結胚移植の「ホルモン補充周期」で使います。吐き気や頭痛のほか、まれに血栓症(血管に血の塊ができる病気)が起こります。片脚の急な腫れや痛み、胸の痛み、息苦しさがあればすぐに連絡してください。喫煙は血栓のリスクを高めるため治療を機に禁煙をおすすめします。

最も注意したい副作用「卵巣過剰刺激症候群(OHSS)」

OHSSとは?起こる仕組みと症状

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)は、排卵誘発剤で卵巣が刺激されすぎて腫れ上がり、血管から漏れた水分がお腹や胸にたまる状態です。厚生労働省のマニュアルでは親指ほどの大きさ(3〜4cm)の卵巣が腫れ上がる病気と説明されています。

主な症状はお腹の張り(ウエストがきつい)、下腹部痛、吐き気、急な体重増加、尿量の減少です。多くは軽症で自然に落ち着きます。一方、重症では血液が濃くなり、血栓症や腎機能の低下に至ることがあり入院が必要になります。米国生殖医学会は、重篤な合併症に至るのは採卵を受ける女性の1%未満としています。

動画で見るOHSS

不妊治療の副作用、卵巣過剰刺激症候群とは?

OHSSになりやすい人の特徴

次に当てはまる方はOHSSが起こりやすい傾向があります。

  • 35歳未満の若い方
  • 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS:卵巣に小さな卵胞がたくさんある体質)と診断されている方
  • AMH(卵巣に残る卵子の数の目安になるホルモン)が高い方
  • 刺激中に育つ卵胞が非常に多い、または女性ホルモンの値が非常に高い方
  • やせ型の方、以前にOHSSになったことがある方

PMDAが示した重症例には採卵数が40個以上や、60個以上にのぼったケースがありました。「卵子は多いほどよい」とは限らないことがわかります。また、妊娠が成立すると妊娠で増えるホルモンの影響でOHSSが悪化・長引きやすくなります。

OHSSを防ぐために医療機関が行っていること

OHSSは「起こってから治す」より「起こさない」ことが何より大切です。現在は予防法が大きく進歩しています。

卵巣刺激法とトリガーの工夫

まず、AMHや超音波で数えた卵胞の数から卵巣の反応を予測し薬の量を一人ひとり調整します。リスクが高い方には、「アンタゴニスト法」や「PPOS法(黄体ホルモンで排卵を抑える方法)」を選びます。卵子を最終的に成熟させる「トリガー」には、hCGではなくGnRHアゴニストを使います。この組み合わせでOHSSのリスクを大きく下げられます。必要に応じて予防のための飲み薬を併用することもあります。

動画で見るアンタゴニスト法
卵巣刺激法の種類と方法-アンタゴニスト法
動画で見るPPOS法
卵巣刺激法の種類と方法-PPOS法

「全胚凍結」という選択肢

リスクが高い周期は採卵した周期に移植せず、胚(受精卵)をすべて凍結します。卵巣が落ち着いてから後の周期に移植すれば妊娠によるOHSSの悪化を避けられます。日本では体外受精で生まれる赤ちゃんの9割近くが凍結胚移植によるものです。「すぐに移植できない」と落ち込まなくて大丈夫です。安全のための前向きな選択です。

すぐに受診してほしい危険なサイン

採卵後から判定日ごろまでは毎朝同じ条件で体重を測ることをおすすめします。次のうち一つでも当てはまれば、次の診察日を待たずにすぐクリニックへ連絡してください。

  • 体重が1日で1kg以上増えた
  • ウエストが急にきつくなり、お腹が張って苦しい
  • 尿の量が明らかに減った、尿の色が濃い
  • 吐き気や嘔吐で、水分がとれない
  • 息苦しい、横になると苦しい
  • 片脚が腫れて痛む、胸が痛む

「この程度で連絡していいのかな」と遠慮する必要はありません。早めのご連絡が重症化を防ぐ一番の近道です。

採卵・人工授精・胚移植に伴うリスク

採卵の痛みと麻酔

採卵は超音波で確認しながら腟から細い針を卵巣に刺し、卵胞の中の卵子を吸い取る処置です。体外受精の中で唯一といえる「手術的な処置」であり不安を感じる方が多いのも当然です。

痛みの感じ方は、卵胞の数や卵巣の位置、個人の感じ方によって大きく異なります。そのため麻酔は、静脈麻酔(眠っている間に終わる方法)、局所麻酔、麻酔なしなどから選びます。当院でも患者さまの痛みに合わせた麻酔をご用意しています。

静脈麻酔では吐き気やふらつきが出ることがあります。当日は車や自転車の運転を控え、絶食など事前の指示を守ってください。「前回とても痛かった」「麻酔が怖い」といった気持ちも、遠慮なく事前にお伝えください。

採卵後の出血・感染

海外の調査をまとめると採卵の合併症の頻度は次のとおりです。

合併症頻度の目安
腟の壁からの軽い出血0.5〜8.6%
腹腔内の重い出血0.02〜0.7%
骨盤内の感染0.4〜1.3%

腟からの出血の多くはその場での圧迫で止まります。腹腔内の重い出血はまれですが、腹腔鏡手術で止血した例も日本産科婦人科内視鏡学会雑誌などで報告されています。海外の分析では、出血の症状の約6割が採卵後8時間以内に現れていました。帰宅後もその日の夜までは体調に気を配ってください。

子宮内膜症性の嚢腫(チョコレート嚢腫)や骨盤内の炎症を経験した方は、感染のリスクが高くなります。強まっていく腹痛、ふらつきや冷や汗、38℃以上の発熱、においの強いおりものがあればすぐにご連絡ください。

人工授精・胚移植のリスク

人工授精は調整した精子を細いチューブで子宮の中に入れる方法です。痛みはほとんどなく、軽い違和感程度ですむことが多いです。まれに少量の出血や下腹部の痛み、感染が起こることがあります。

胚移植も、超音波で見ながら柔らかいチューブで胚を子宮に戻すだけなので麻酔は通常必要ありません。移植後に少量の出血が見られることがありますが多くは心配ありません。移植後に横になって安静にしても妊娠率が上がるわけではないとされています。普段どおりの生活で大丈夫です。

妊娠・出産に関わるリスク

多胎妊娠と「単一胚移植」の原則

双子や三つ子などの多胎妊娠は、早産や妊娠高血圧症候群などが起こりやすくお母さんにも赤ちゃんにも負担が大きい妊娠です。国内の専門誌では単胎に比べて双胎では低出生体重児が9倍近くに増えると紹介されています。

そこで日本産科婦人科学会は2008年、一度に移植する胚を原則1個とする見解を出しました。35歳以上の方や、2回以上続けて妊娠しなかった方に限り2個まで認めています。

ところが2026年5月に公表された東邦大学などの研究では、2023年の生殖補助医療による多胎妊娠は過去最多の4,354例でした。保険で胚移植できる回数には「治療開始時に40歳未満は6回、40〜42歳は3回まで」という上限があります。その回数内で終えようと複数の胚を移植する人が増えた可能性が指摘されています。

「早く結果を出したい」という焦りは、とてもよくわかります。ただ、目指したいのは「1回あたりの妊娠率」ではなく「お母さんと赤ちゃんが元気に出産を迎えること」です。移植する胚の数は、年齢や胚の状態、残りの回数も含めて主治医と一緒に決めましょう。

流産・子宮外妊娠

流産の多くは胚そのものの染色体の数の異常が原因です。専門誌では流産の原因の約8割とされ女性の年齢とともに増えます。日本産科婦人科学会の2020年データでは、体外受精などの流産率は36歳で20%を超え、その後急に上がっています。不妊治療そのものが流産を引き起こすというより、治療を受ける方の年齢の影響が大きいと考えられています。

流産を繰り返す方や移植しても妊娠しないことが続く方には、胚の染色体を調べる「PGT-A(着床前胚染色体異数性検査)」という選択肢もあります。学会の見解に基づいて対象が限られた検査で、受ける前には遺伝カウンセリングで十分な説明を受けることが大切です。

また、胚を子宮に戻しても、まれに卵管など子宮の外で着床する「子宮外妊娠」が起こります。卵管に病気がある方は特に注意が必要です。判定が陽性でも超音波で子宮の中に胎嚢(赤ちゃんが入っている袋)を確認するまでは、腹痛や出血に注意してください。

妊娠高血圧症候群・癒着胎盤など周産期のリスク

体外受精での妊娠は、単胎であっても自然妊娠に比べて早産や妊娠高血圧症候群がやや多いことが知られています。北欧の約450万件の妊娠を分析した研究では、凍結胚移植による妊娠では妊娠中の高血圧が自然妊娠より74%多くみられました。

日本の学会登録データを使った研究でも、ホルモン剤で子宮内膜を整えた「ホルモン補充周期」の凍結胚移植は、自分の排卵を利用する「自然周期」に比べて、妊娠高血圧症候群や癒着胎盤(胎盤が子宮に強くくっつく状態)が多いと報告されています。

妊娠後は、体外受精での妊娠であることや移植の方法を分娩する病院の産科医に必ず伝えてください。それが一番の備えになります。

「がんになりやすくなる?」「赤ちゃんへの影響は?」長期的な疑問

排卵誘発剤とがんのリスク

「ホルモン剤を使うと、がんになりやすくなるのでは」とお思いの患者さまも少なくありません。以前は排卵誘発剤と卵巣がんの関連が心配されていました。しかし2013年に複数の研究をまとめて解析した結果(メタ解析)では関連は認められませんでした。

乳がんについてもオランダの研究(JAMA、2016年)が参考になります。体外受精を受けた約1万9,000人を平均21年追跡しても、一般の女性や他の不妊治療を受けた女性と比べてリスクに差はみられませんでした。2021年には、約180万人を平均27年追跡した研究の解析でも乳がんの増加は認められていません。

一方、英国の約25万人の調査(BMJ、2018年)では浸潤性の乳がんや子宮体がんの増加はありませんでしたが、ごく早期の乳がんや境界悪性の卵巣腫瘍がわずかに多いと報告されています。不妊の原因となる体質や、出産経験の有無の影響も考えられています。

現時点で、不妊治療ががんを大きく増やすという根拠はありません。ただし、治療中も子宮頸がん検診や乳がん検診は欠かさず受けてください。

生まれてくる子どもへの影響

体外受精で生まれた子どもの先天異常は、海外のメタ解析で自然妊娠の約1.4倍と報告されています。日本産科婦人科学会のデータを分析した研究では、2011〜2017年の体外受精などによる出生児のうち1.9%に何らかの先天異常がありました。なお、先天異常は自然妊娠でも生まれてくる赤ちゃんの3〜5%にみられるとされます。集計の方法が異なるため単純には比べられませんが多くの赤ちゃんは元気に生まれています。

専門家の間では、治療の技術そのものよりも不妊の背景にある体質やご両親の年齢の影響が大きいと考えられています。

最新の研究も紹介します。2026年10月、大阪母子医療センターと大阪大学のチームは約10万人の子どものデータを分析しました。その結果、不妊治療で生まれた子どもは5歳までに川崎病になるリスクが自然妊娠の1.42倍でした。ただ、研究チームも「川崎病の治療法は確立されている。過度に不安にならず発熱や発疹があれば受診を」と呼びかけています。長期的な影響は学会の登録制度などで今も追跡と検証が続いています。

見落とされがちな「心」と「生活」へのリスク

治療中のストレスと心のケア

体の副作用と同じくらい大切なのが心への影響です。国立成育医療研究センターは、体外受精などを始めたばかりの女性344人を調べ日本受精着床学会雑誌に報告しました。

最も強く感じるストレス割合
喪失体験を繰り返す、終わりの見えないつらさ28%
ひとりで抱えるつらさ25%
高額な治療費17%
自分らしさの揺らぎ15%

「終わりの見えないつらさ」を挙げた方のうち、約7割に抑うつ症状がみられました。治療初期でも約半数の女性に軽度以上の抑うつ症状があったという先行研究もあります。

気持ちが沈むのはあなたが弱いからではありません。パートナーとつらさを共有すること、「いつまで、どこまで続けるか」を早めに話し合っておくことが心の負担を軽くします。当院では心理士によるカウンセリングを行っています。「こんなことで相談していいのかな」と思う段階で気軽に頼ってください。

仕事との両立・費用の負担

国立社会保障・人口問題研究所の調査では、不妊の検査や治療を経験した夫婦は4.4組に1組にのぼります。一方で、通院回数の多さから仕事との両立に悩む方も少なくありません。

厚生労働省は、職場に治療中であることを伝えるための「不妊治療連絡カード」や、社会保険労務士・産業医によるオンライン相談を用意しています。

費用面では2022年4月から不妊治療が保険適用となりました。自己負担は原則3割です。治療開始時の女性の年齢が43歳未満であることが条件で胚移植は40歳未満で6回まで、40歳以上で3回までです。高額療養費制度や医療費控除、自治体の助成も組み合わせられます。

当院は錦糸町駅から徒歩4分で、朝8時から夜21時まで、土日祝日も診療しています(休診日なし)。仕事を続けながら治療を受けたい方は通院の計画もご相談ください。

副作用・リスクを最小限にするためにできること

治療前に医師へ確認したい5つの質問

リスクを下げるいちばんの方法は「自分の場合はどうか」を主治医と共有しておくことです。次の5つを診察のときにそのまま聞いてみてください。

  1. 私のOHSSのリスクはどのくらいですか?(AMHや卵胞の数から見て)
  2. 今回の卵巣刺激法を選んだ理由と、ほかの選択肢は何ですか?
  3. 移植する胚の数はいくつで、その理由は何ですか?
  4. 採卵の麻酔は何を使い、当日と翌日はどう過ごせばよいですか?
  5. 夜間や休日に体調が悪くなったらどこに連絡すればよいですか?

あわせて持病や飲んでいる薬、アレルギー、喫煙の有無は必ず伝えてください。副作用を防ぐための大切な情報になります。

万一のときの救済制度・相談窓口

薬を正しく使っていても副作用で入院が必要になることはあります。そのようなときは、PMDAの「医薬品副作用被害救済制度」で医療費や医療手当などが給付される場合があります。OHSSでも、2021年度に51件の給付が決まっています。

困りごと相談先
薬の副作用による健康被害PMDA 救済制度相談窓口(0120-149-931、平日9〜17時)
不妊・不育症の悩み全般各都道府県などの「不妊専門相談センター」(こども家庭庁の事業)
仕事との両立厚生労働省「不妊治療と仕事の両立」特設サイトの個別相談
気持ちのつらさ通院先の心理士・不妊カウンセラー

ひとりで抱え込まず使える制度や窓口を頼ってください。

よくある質問(FAQ)

質問と回答

Q1. 排卵誘発剤で閉経が早まることはありますか?

A1. 早まるという根拠はありません。卵巣では毎月いくつもの卵胞が育ち始めますが、ふだんは1つを除いて自然に消えていきます。排卵誘発剤はその「消えるはずだった卵胞」を育てる薬です。将来の卵子を前借りしているわけではないので安心してください。

Q2. 副作用がつらいとき、薬や方法を変えられますか?

A2. はい、変えられます。飲み薬の種類、注射の量、自然周期や低刺激への切り替え、麻酔の方法など選択肢はたくさんあります。当院では患者さまの状態にあわせてすべての卵巣刺激法に対応しています。「つらい」と感じたら我慢せずに伝えてください。

Q3. 男性側の検査や治療にもリスクはありますか?

A3. 精液検査や採精は体へのリスクはほとんどありません。精液中に精子がいない場合に精巣から精子を採る手術(精巣内精子採取術)では痛みや腫れ、出血、感染が起こることがあります。当院の男性不妊外来では泌尿器科と生殖医療の両方の専門医資格を持つ医師が担当しています。

Q4. 乳がんなどの病気があっても治療できますか?

A4. 病気の種類や状態によっては可能です。たとえば乳がんのように女性ホルモンが関わる病気では、レトロゾールを併用して女性ホルモンの上昇を抑える方法がとられることがあります。がん治療の前に卵子や胚を凍結する「妊孕性温存」という方法もあり日本がん・生殖医療学会が情報や相談先をまとめています。どの場合も、病気の主治医と生殖医療の医師が連携して判断します。

参考文献・出典

学会・省庁・公的機関

学術論文・専門誌

この記事の監修者
松見 泰宇 学術顧問(医師)
学術顧問(医師)
HIROTAKA MATSUMI

資格・専門医

  • 東京大学医学博士
  • 日本産婦人科学会産婦人科指導医・専門医
  • 日本生殖医学会生殖医療専門医
  • 日本抗加齢医学会専門医
  • 日本スポーツ協会認定スポーツドクター
  • 難病指定医
  • 日本産科婦人科遺伝診療学会生殖領域遺伝カウンセリング研修会(反復流産(PGT-A)における遺伝カウンセリング)修了
  • 日本産科婦人科遺伝診療学会周産期領域遺伝カウンセリング研修会(胎児の染色体異常を中心とした出生前遺伝カウンセリング)修了
  • 新生児蘇生インストラクターAコース修了
  • 日本産婦人科乳腺医学会講習会修了
  • 日本臨床免疫学会
  • 日本産科婦人科学会
  • 日本生殖医学会
  • 日本生殖免疫学会
  • 日本不育症学会
  • 日本抗加齢医学会
  • 日本再生医療学会
  • 日本産婦人科乳腺医学会
  • 日本スポーツ協会
  • 産婦人科PRP研究会

経歴

  • 東京大学医学部卒業
  • 東京大学大学院医学系研究科博士課程(生殖・発達・加齢医学)修了
  • 博士論文「A possible role of nitric oxide in the regulation of developmental status of rat ovarian follicles(卵胞発育・閉鎖における一酸化窒素(NO)の関与)」
  • 国立がん研究センター東病院 がん治療開発部
  • 日本学術振興会特別研究員
  • スタンフォード大学生殖生理学教室リサーチフェロー
  • 成育医療研究センター特別研究員
  • 東京大学大学院医学系研究科文部教官助手
  • 帝京大学溝口病院講師
  • 帝京大学非常勤講師
  • 焼津市立総合病院、武蔵野赤十字病院など総合病院にて勤務
  • 秋葉原ARTクリニック、花みずきウィメンズクリニック吉祥寺、両角レディースクリニック、木場公園クリニックなど不妊クリニックにて勤務
  • 愛育病院、きりんウィメンズクリニックなど周産期医療専門病院および産科クリニックにて勤務
もっと見る
RELATED ARTICLES

関連記事

CONTACT

ご予約・お問い合わせ