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「子宮鏡検査の痛み」本当のところはどうなの?!効果的な対処法を生殖医療専門医が徹底解説

  • 公開日:2025.12.24
  • 更新日:2025.12.25
「子宮鏡検査の痛み」本当のところはどうなの?!効果的な対処法を生殖医療専門医が徹底解説|不妊治療なら生殖医療クリニック錦糸町駅前院


子宮鏡検査を勧められたけれど痛みが心配…。そんな不安を抱えている方は少なくありません。この記事では、生殖医療専門医として多くの子宮鏡検査を行ってきた経験から、検査の痛みの実態や軽減方法について詳しく解説します。実際の体験談も交えながら安心して検査を受けるための情報をお届けします。

子宮鏡検査とは?基本情報と実施される理由

子宮鏡検査の目的と適応

子宮鏡検査は、子宮内部を直接観察する検査法です。細いカメラ(子宮鏡)を子宮内に挿入し、子宮内膜の状態を詳細に確認します。主に以下のような場合に実施されます。

  • 不正出血や過多月経の原因検索
  • 不妊、特に着床障害の原因検索
  • 子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の診断
  • 流産を繰り返す場合となる子宮内腔の評価
  • 子宮内の癒着(アッシャーマン症候群)の確認

子宮鏡検査は、婦人科でも行われていますが、特に不妊治療中の方では、子宮内環境が妊娠成立に大きく影響するため、子宮鏡検査を勧められることがあります。

子宮鏡検査で分かること

子宮鏡検査の最大の利点は、子宮内部を直接目で観察できる点です。婦人科検査で一般的な、超音波検査では見逃されがちな小さなポリープや粘膜下筋腫、子宮内の形状異常などの診断も明確にできます。また、子宮内膜の局所的な炎症も観察可能で、着床障害の原因の1つである慢性子宮内膜炎や不育症の原因になり得る微細な変化も捉えることができます。

子宮鏡検査と他の検査の違い

子宮鏡検査は、超音波検査やMRI検査、子宮卵管造影検査(HSG)とは異なる特徴を持っています。超音波検査は簡便ですが、生理周期によっては小さな病変は観察しにくく、見逃される可能性があります。また、MRI検査は骨盤内の詳細な画像が得られますが、子宮内腔の微細な変化の検出には限界があります。さらに、子宮卵管造影検査は卵管の通過性の確認とともに、子宮内の大きな病変は確認することができますが、子宮内の詳細な病変の観察には適していません。

不妊症例において、子宮鏡検査は、超音波検査やMRI検査、子宮卵管造影検査(HSG)などの検査よりも、より詳細な情報を得るために行われることが多いです。

子宮鏡検査における痛みの実際

検査中に感じる痛みの程度

「子宮鏡検査はどれくらい痛いのか」この点を最も不安になる方が多いと思います。結論から言うと、痛みの程度には個人差がありますが、一般的には軽度から中等度の痛みと表現されることが多いです。経験上は、「下腹部が重い感じがしたが耐えられる程度だった」と感じられる方が多く、軽めの生理痛に似た痛みを想像していただけるといいのかなと考えます。また、検査は通常5~10分程度で終わりますので、持続的な痛みではなく、一過性のものと考えてください。

痛みを感じやすい場面とタイミング

子宮鏡検査中の痛みは、以下のタイミングで特に感じやすい傾向があります:

子宮に子宮鏡を挿入する時:子宮鏡が子宮の入口(子宮口)を通過する際、細い入口を通過するので、一時的な痛みを感じることがあります。

子宮内に液体を注入するとき:子宮鏡検査では、子宮内側を観察するために、子宮を広げて視野を確保するために液体を注入しますが、このときに子宮が膨らむ感覚と一緒に痛みを感じることがあります。また、子宮内に入れた液体の一部が、卵管から逆流して腹腔内に流入する時に鈍痛を感じることがあります。

個人差がある理由と影響因子

痛みの感じ方には大きな個人差があります。以下の要因などが痛みの程度に大きく影響すると考えられ、特に子宮口が狭い方や子宮の傾きによっては、痛みを強く感じる傾向があります。

子宮や子宮口の状態子宮口の広さや子宮の位置など
過去の出産経験出産経験のある方は子宮口が通過しやすく、痛みが軽減される傾向があります
月経周期のタイミング月経直後は子宮口が開きやすく痛みが少ない傾向があります
婦人科基礎疾患の有無子宮内膜症や骨盤内の炎症がある方は痛みを強く感じることがあります

特に検査への不安や緊張は痛みを増強させる要因となるため、リラックスして臨むことが重要です。

子宮鏡検査の痛みを軽減する方法

検査前の心構えと準備

痛みを軽減するためには、検査前の準備も重要です。以下のポイントを参考にしてみてください。:

適切な情報収集:どのような検査なのか分からないと不安が増強されますので、検査の流れをあらかじめ理解しておくことで不安の軽減につながります。

検査前の軽食摂取:検査で痛くなって気持ち悪くなるのが怖いからと食事を抜いてくる方もいらっしゃいますが、経験上は、空腹だと自律神経のバランスを崩し、痛みを強く感じる原因になりますので、軽食摂取してからの検査をお勧めします。

検査1時間前くらいにトイレを済ませる:膀胱に尿が貯まった状態や、極度な便秘があると、腹部の膨満感が強くなり痛みを感じやすくなります。ただ、子宮鏡検査の際に腹部超音波を併用しながら行うことで、子宮鏡検査の際の子宮穿孔のリスクを回避することができるため、膀胱が完全に空の状態ではない方が、スムーズに行うことができる場合があります。ですので、検査の1時間前くらいにトイレを済ませるのがいいでしょう。

リラックスできる環境づくり:信頼できる方に付き添ってもらうことも一つの方法です。また、医師や看護師に不安なことがある場合は、事前に相談しておくこといいでしょう。

痛み止めの種類と効果

多くの医療機関では、検査前に痛み止めの服用を勧めています。一般的に使用される痛み止めには以下のようなものがあります

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)ロキソニン®、ボルタレン®など。検査1時間前に服用すると効果的です。
鎮痛鎮静剤ブスコパン®などの鎮痙剤を併用することで、子宮の痙攣による痛みを抑えられます。
局所麻酔子宮の入口に直接リドカインなどの麻酔薬を注射する方法もあります。

子宮鏡検査でも軽い鎮静を行う施設もありますので、痛みに不安が強い方は事前に相談してみるのも1つだと思います。また、検査中のリラックス法も痛みの軽減に効果的です。痛みを感じたら、ゆっくりと深呼吸をしてみるなどもいいかもしれません。

子宮鏡検査(診断的子宮鏡)と子宮鏡手術の違い

子宮鏡には、外来で行われる子宮鏡検査(診断的子宮鏡検査)と子宮鏡を用いて治療まで行う、子宮鏡手術の2つがあります。

診断的子宮鏡の特徴と痛み

診断的子宮鏡検査は、細径の子宮鏡(直径2.7~5mm程度)を使用し、子宮内腔を観察することが主な目的です。検査時間は通常5~10分程度で、比較的短時間で終了します。

痛みについては、先述のように軽度から中等度の痛みを感じることがありますが、細径の子宮鏡を使用する最新の検査では、痛みが少なくなっています。

子宮鏡手術の特徴と麻酔

一方、子宮内膜ポリープや粘膜下筋腫の切除など、治療を目的とした子宮鏡手術は、局所麻酔、静脈麻酔、あるいは全身麻酔下で行われることが一般的です。そのため、処置中の痛みはほとんど感じませんが、麻酔からの回復や術後の痛みを考慮する必要があります。また、子宮鏡手術では、一般的に子宮鏡検査の時に使用する子宮鏡よりも太い子宮鏡(直径5~9mm程度)を使用するため、手術前に子宮口を広げる前処置が必要なこともあります。手術時間も30分~2時間程度で、子宮鏡検査よりも比較的処置の時間は長くなります。

一般的には、最初に診断的子宮鏡検査を行い、そこで処置が必要と判断した場合に子宮鏡手術を行うこととなります。不妊症の原因検索や子宮内膜の状態確認などは、子宮内腔の観察目的ですので、診断的子宮鏡検査を行うこととなります。ただし、痛みに非常に敏感な方で、事前の検査から子宮鏡手術を行う必要があると事前に診断できる場合には、子宮鏡検査ではなく、子宮鏡手術を行うこともあります。

子宮鏡検査後の過ごし方と注意点

検査後に起こりうる痛みや出血

子宮鏡検査後には、以下のような症状が現れることがあります:

軽度の下腹部痛:検査直後から数時間程度、軽い生理痛のような痛みを感じることがあります。

少量の出血:子宮内操作による軽度の出血が1~2日続くことがあります。通常は生理程度かそれ以下の出血量であることがほとんどです。

これらの症状は通常一時的なもので、多くの場合は鎮痛剤で対処可能です。ただし、強い痛みや生理2日目を超えるような多量の出血、および38度以上の発熱がある場合は医療機関に連絡してください。

日常生活への復帰タイミング

子宮鏡検査の場合、当日中に日常生活に戻れることがほとんどです。ただし、個人差はありますので、以下の点を目安にしてください:

  • 検査当日:激しい運動や長時間の立ち仕事は避け、比較的安静に過ごすことをお勧めします。
  • 検査翌日以降:特に問題がなければ、通常の生活・仕事に復帰できます。
  • 性生活の再開:出血がなくなってから再開することをお勧めします(通常1週間程度)。

子宮鏡手術の場合は、処置の内容により回復期間が異なりますので、医師の指示に従ってください。

異常を感じた際の対処法

以下のような症状がある場合は、早めに医療機関に連絡することをお勧めします:

  • 強い下腹部痛:鎮痛剤でも改善しない強い痛み
  • 大量の出血:生理2日目を超えるような多量出血、または大きな血塊
  • 悪臭のある帯下:子宮内感染の可能性があります
  • 38度以上の発熱:子宮内感染の可能性があります

これらの症状は稀ですが、早期対応が重要です。検査を受けた医療機関の緊急連絡先を確認しておくとよいでしょう。

子宮鏡検査の痛みに関する実際の体験談と医師の見解

患者さんの体験談から学ぶこと

私のクリニックで子宮鏡検査を受けた患者さんの体験談をいくつか紹介します:

Aさん(35歳・未経産):「検査前はとても不安でしたが、実際には想像していたほど痛くありませんでした。子宮口を通過する瞬間に一瞬の痛みはありましたが、事前に服用した痛み止めが効いていたようです。全体としては強めの生理痛程度でした。」

Bさん(42歳・経産婦):「出産経験があるからか、ほとんど痛みを感じませんでした。むしろ検査結果がすぐわかるので安心感があり、良い経験でした。」

Cさん(38歳・子宮内膜症あり):「子宮内膜症があるせいか、かなり痛みを感じました。でも医師が丁寧に声をかけてくれたり、深呼吸を促してくれたりしたので、何とか乗り切れました。結果的に小さなポリープが見つかって治療できたので、受けて良かったです。」

痛みの個人差と心理的要因

体験談からもわかるように、痛みの感じ方には大きな個人差があります。また、痛みは不安や緊張などの心理的要因によって、より強く感じてしあうことがあります。

検査の説明をしっかり受け、内容をしっかり把握して不安を取り除くことも、重要です。

医師として伝えたい安心ポイント

生殖医療専門医として、検査を受ける患者さんに伝えたい安心ポイントがいくつかあります:

  • 最新の子宮鏡は細く、痛みが少ない:近年の子宮鏡は細径化が進み、痛みが軽減されています。
  • 検査時間は短い:診断的子宮鏡検査は通常5~10分程度で終了します。
  • 鎮痛薬などの対応:事前の痛み止めから、必要に応じた鎮静まで、痛みへの対応策は多様です。また、医師や看護師は痛みに配慮しながら検査を行います。
  • 検査によるメリット:多くの場合、不妊治療や不正出血の原因が明確になり、適切な治療へとつながります。

最も大切なのは、適切な検査を受けることで、より効果的な治療計画を立てることができます。

子宮鏡検査を受ける際のよくある質問と回答

質問と回答

Q1: 検査自体はどれくらいの時間がかかりますか?

A1: 診断的子宮鏡検査は通常5~10分程度です。ただし、詳細な観察が必要な場合や組織採取を行う場合はもう少し時間がかかることがあります。

Q2: 痛みはどれくらい続きますか?

A2: 検査中の痛みは一過性で検査終了とともに大部分の痛みは軽減します。検査後も軽い下腹部痛が数時間続くことがありますが、通常は市販の鎮痛剤で対応可能です。

Q3: 検査を受けるのに適した時期はありますか?

A3: 月経終了後から排卵前までの時期(月経5~12日目頃)が最適です。この時期は子宮内膜が薄く、視野が確保しやすいためです。また、妊娠の可能性が低い時期でもあります。

Q4: 月経中は検査できませんか?

A4: 原則として月経中は避けます。出血があると視野が確保できず、また感染リスクも高まります。

Q5: 一度受ければ十分ですか?将来的に再検査の必要性はありますか?

A5: 基本的には必要に応じて行う検査ですので、結果が正常であれば定期的な再検査は必要ありません。ただし、以下のような場合は再検査が推奨されることがあります

  • 不正出血などの症状が再発した場合
  • 治療(ポリープ切除など)後の経過観察
  • 長期間不妊治療を行っている場合の再評価
  • 流産を繰り返す場合の子宮内環境の再評価

再検査が必要かどうかは症状や治療経過に応じて医師が判断します。

まとめ

子宮鏡検査は、子宮内部の状態を直接観察できる貴重な検査です。痛みへの不安は理解できますが、適切な準備と心構えで乗り越えられる検査です。この記事が少しでも不安軽減のお役に立てば幸いです

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